北欧プログレ女王ヘドヴィグ・モレスタッド、新結成セクステットで轟音轟かすジャズメタル快作

Hedvig Mollestad - Ekhidna

ノルウェーの女性ギタリスト、ヘドヴィグ・モレスタッド新譜

サイケな轟音ギターとヘヴィーなドラム、プリミティヴなリズムを刻むパーカッションにスピリチュアルなジャズ・トランペット。
ジャズメタルの感情的な熱さと、北欧らしい乾いた冷たさが同居する不思議な体験。

ノルウェーのギタリスト、ヘドヴィグ・モレスタッド(Hedvig Mollestad)の2020年新譜『Ekhidna』は、これまでHedvig Mollestad Trioでの10年以上にわたる活動で北欧ジャズメタル・ファンの心を鷲掴みにしてきた彼女の新境地。

ベースレスの6人編成だが、ヘドヴィグのギターと二人のキーボーディスト、そしてツインペダルのバスドラムで低音の物足りなさなど全く感じない。

(1)「No Friends But The Mountains」(山の他に友達はいない)からの(2)「A Stone’s Throw」(すぐ近く)への流れが最高にかっこいい。内向きな孤独への対峙から、何かから開放されたような発散へ。メタルやプログレに近いサウンドだが、スサナ・サントス・シルヴァのトランペットがジャズのエネルギーを強烈に注ぎ込む。

極め付けは(3)「Antilone」。印象的なギターのイントロで始まり、ギターもトランペットも、キーボードもドラムスもパーカッションも、あらゆる楽器が荒ぶるさまは圧巻。

(3)「Antilone」

表題曲(5)「Ekhidna」も秀逸。上半身が美しい女性、下半身が蛇で翼が生えたギリシャ神話の怪物の名を冠した楽曲だが、各人の禍々しいソロの不気味さがたまらない。

バンドは男性3人、女性の編成

今作のメンバーはギターのヘドヴィグの他、ポルトガル出身トランペッターのスサナ・サントス・シルヴァ(Susan Santos Silva)、Morning Has Occurred や Highasakite といったバンドで活躍する鍵盤奏者マルテ・エバーソン(Marte Eberson)(以上3名女性)、そしてノルウェーのバンド Shining やElephant 9 で活躍するドラマー、トーシュタイン・ルフトフス(Torstein Lofthus)、パーカッショニストのオーレ・モフジェル(Ole Mofjell)、キーボーディストのエアレン・スレッテフォル(Erland Slettevoll)(以上3名男性)という6人編成。

この編成は、男性中心と思われてきたプログレという音楽文化にも一種の風穴を開けるかもしれない。2013年から同国の首相を務めるエルナ・ソルベルグ氏をはじめ、女性が社会で当たり前に活躍するノルウェー(事実、閣僚の約半数が女性だ)にとって、これはごく自然なことなのだろう。高齢男性ばかり、女性閣僚は10%という絶望的な内閣を生んだ“令和2年”の日本に生きる身としては羨ましい限りである。

Hedvig Mollestad Thomassen – guitar
Torstein Lofthus – drums
Ole Mofjell – percussion
Erland Slettevoll – keyboards
Marte Eberson – keyboards
Susana Santos Silva – trumpet

Hedvig Mollestad - Ekhidna
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