- 2024-03-10
- 2024-03-10
才媛J. ラモッタ すずめ、テルアビブでの幼少期の想い出にインスパイアされた傑作新譜『אסולין』
モロッコ系イスラエル人SSWのJ. ラモッタ すずめが、7枚目となるアルバム『Asulin』(ヘブライ語表記:אסולין)をリリースした。2022年作『So I’ve heard』以来積極的に母国語の歌をリリースする彼女だが、今作も全編ヘブライ語でサウンド面でも中東音楽の影響が強くなっている。
モロッコ系イスラエル人SSWのJ. ラモッタ すずめが、7枚目となるアルバム『Asulin』(ヘブライ語表記:אסולין)をリリースした。2022年作『So I’ve heard』以来積極的に母国語の歌をリリースする彼女だが、今作も全編ヘブライ語でサウンド面でも中東音楽の影響が強くなっている。
インド西部グジャラート州ヴァドーダラー出身のSSW、ダミニ・チョーハン(Damini Chauhan)によるソロプロジェクト、クラメリ(Krameri)の新譜『INTRUSIVE THOUGHTS』。アコースティックとエレクトロニックをバランスよく融合したチル感のあるサウンドに、ほんの少しのインド声楽のエッセンスが混ざる繊細なヴォーカルが心地の良い、素晴らしいアルバムだ。
シベリアの先住民族チュリム族の人々らによって構成され、彼らの伝統楽器と歌唱法を西洋音楽やEDMと結びつけた注目のグループ、オティケン(Otyken)。2023年の新譜『Phenomenon』は、彼らが守ろうとする伝統文化を、世界の人々が最も興味を持つであろう形で発信した稀有な作品だ。
ユーロビジョン・ソングコンテストの最高得点記録保持者として著名なポルトガル出身のSSW、サルヴァドール・ソブラル(Salvador Sobral)の4枚目のアルバム『TIMBRE』は、彼の持ち味である柔和な歌声がジャズの影響を受けた美しいサウンドに馴染む、とても良質な音楽作品だ。
発表自体は昨年の3月ながらも延期に延期を重ね、ようやく昨年末にフィジカル化されたSigala(シガーラ)の実に5年ぶりの新作『Every Cloud,Silver Linings』。まさに楽しむための音楽ともいうべきこの作品を、このタイミングで紹介していきたい。
欧州最大のソング・コンテストである「ユーロヴィジョン」優勝経験のあるウクライナの歌手/作曲家ジャマラ(Jamala)が、故郷クリミアの名を冠した新作『QIRIM』をリリースした。今作はクリミア半島に伝わる古い歌がイスラム文化の特徴をもった素晴らしいオーケストラ・アレンジで収録されており、80人以上のクリミアの音楽家が参加する壮大な作品となっている。
カーボベルデの両親のもと、ポルトガル・リスボンに生まれたシンガーソングライター、ルーラ(Lura)。モルナやフナナ、バトゥーキといったカーボベルデの伝統音楽をベースにした彼女の音楽は同国の伝説的歌手の後継と期待され“ポスト・セザリア・エヴォラ”と称賛されてきたが、2023年の新作『MULTICOLOR』ではそうした伝統音楽のソダーデ(郷愁)を感じさせるエッセンスを残しつつ、現代的なサウンドへと進化を遂げた最先端のカーボベルデ音楽を聴かせてくれるものに仕上がっている。
2018年の前作『Miradas』がラテングラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・ポップ・アルバム」部門にノミネートされたメキシコのSSW、ナナ・メンドーサ(Nana Mendoza)の2023年新譜『...』は限りなく良質なスペイン語ポップスだ。R&B、ジャズ、ボサノヴァなどから少しずつ影響を受けた爽やかだが安っぽさのない歌とサウンドで、エレクトリック要素も濃かった前作に比べると随分とアコースティックでジャズ寄りの作風が特徴的。彼女の最高傑作ではないかと思わせる素晴らしい仕上がりの作品となっている。
コロンビア・ボゴタを拠点とするバンド、ムッシュ・ペリネ(Monsieur Perine)。5年ぶり新作『Bolero Apocalíptico』の全12曲のサウンドはムッシュ・ペリネらしさを失わず、さらに彼らの個性を進化させた洗練された音楽となっている。
メジャーデビューアルバム『Ctrl』は2018年の第60回グラミー賞では主要部門〈最優秀新人賞〉を含む計5部門という女性最多ノミネートを達成。Doja Cat(ドージャ・キャット)とのコラボ曲「Kiss Me More」では「最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞」を受賞と、名実ともに一流アーティストの仲間入りを果たしている。それから5年。新人アーティストとしては非常に長いスパンでの発表となった最新作『SOS』は、5年間の思いと苦悩が詰まった全23曲の大長編に仕上がった。
現地の伝統的なポピュラー音楽であるハイライフの流れを汲みつつ、世界的なスターのアシャ(Asa)やビヨンセといったアーティストからの影響も独自に消化し、ソウルフルな世界観を確立したガーナの若きシンガーソングライター、Baaba J。 彼女の待望の2ndとなる『Okay Baby, Lets Do This』も様々な音楽ジャンルが絶妙にブレンドされ、彼女の豊かな才能と創造性を示している。
この夏、二人の天才が来日する。それもBlue NoteやBillboardといった格式高いジャズ箱ではなく、フェスへの出演である。一人は本サイトでも取り上げたことのある「神童」ジェイコブ・コリアー(Jacob Collier) 。そしてもう一人が、そのMVも含めすべてにおいて独特なクリエイティビティを見せつけながらも、質の高さからそれすらもスタンダードに昇華されてしまう「奇才」と呼ぶべきマルチアーティスト、ルイス・コール(Louis Cole)だ。2022年のベストアルバムに入れそびれてしまった最新作『Quality Over Opinion』を今回は来日を記念してご紹介したい。
カタルーニャを代表する女性SSW、シルビア・ペレス・クルス(Sílvia Pérez Cruz)の2023年新譜『Toda la vida, un día』は、全21曲の膨大な楽曲群を5つの楽章に分け、人生のサイクルと無限の循環に焦点を当てた圧巻の作品だ。シルビア・ペレス・クルスはパンデミックの中で人の命について考える必要性を感じ、実に90人の音楽家たちとじっくりと作品を練り上げていったという。
ウクライナのシンガーソングライター/バンドゥーラ奏者クルート(KRUTЬ)の2022年新譜『Літепло』は、フォーク・ミュージックの香りのする繊細で抒情的なサウンドから現代的なネオソウルまで、夜空の星々のようなバンドゥーラの美しい弦の響きと、穏やかで柔らかい彼女の声が胸に沁みる素晴らしい作品だ。