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ロック

  • 2025-05-10
  • 2025-05-10

忘れられた異端児セルジオ・サンパイオの物語と、フェリピ・ヂ・オリヴェイラが新作『Velho Bandido』で受け継ぐ反骨精神

優れた音楽を発表しながら、商業的に成功せず“異端”(maldito)と呼ばれたセルジオ・サンパイオ(Sérgio Sampaio, 1947 - 1994)への再評価の機運が高まっている。フェリピ・ヂ・オリヴェイラ(Felipe De Oliveira)の新譜『Velho Bandido』もまた、セルジオ・サンパイオへのトリビュートだ。ロックは、サンバの精神は“死んだ”のか?本作は、その答えを探る問題作だ。

  • 2025-04-26
  • 2025-04-26

スーパーベーシスト、モヒニ・デイ最新作!強烈な印象を残すプログレッシヴ・ジャズロック

米国ロサンゼルス出身、現在はインドに移住したサックス奏者/作曲家マーク・ハートサッチ(Mark Hartsuch)と、彼の妻でありインド出身の世界的なベース・ヒロインであるモヒニ・デイ(Mohini Dey)、そしてモヒニと長年音楽活動を共にしてきたインド出身のドラマー、ジーノ・バンクス(Gino Banks)によるプログレッシヴ・ジャズロック・トリオ、マモジ(MaMoGi)が新作『MaMoGi II』をリリースした。トリオのデビュー作『Mamogi』(2023年)から2年、今作でも強固でパワフルで超絶的なバンドサウンドを聴かせてくれる好盤となっている。

  • 2025-02-14
  • 2025-02-14

文化の交易に想いを馳せる、ウルグアイの現代カンドンベ・ロック。SSWニコラス・イバルブル新譜

ウルグアイのSSW/ギタリスト、ニコラス・イバルブル(Nicolas Ibarburu)の2025年新譜『La Ruta de la Seda』は、音楽家としての彼の圧倒的な才能を感じさせる素晴らしい傑作だ。ジャズやフュージョン、ロックにウルグアイの伝統的なカンドンベを巧みに組み込んだ最高のラテンロック。“シルクロード”を意味するアルバム・タイトルどおり、異なる文化を繋ぎ、混ぜ合わせた個性的な音楽でリスナーを潜在意識の巡礼の旅へと誘う。

  • 2025-01-04
  • 2025-01-04

トーゴ発の衝撃的アフロ・サイケ傑作!アラガア・ビートがアフリカ音楽の新時代を開拓する

トーゴ出身で米国ワシントンD.C.に20年間住み、現在はトーゴの首都ロメとワシントンD.C.を行き来するシンガーソングライター/ギタリストのドゴ・デュ・トーゴ(Dogo Du Togo)が率いるバンド、アラガア・ビート・バンド(The Alagaa Beat Band)のデビュー・アルバム『Avoudé』。彼が“アラガア・ビート”と呼ぶサウンドは、トーゴの伝統的なリズムや旋律にロックやファンクの要素が絡み、エネルギーに溢れる独特の創造的な音楽を作り上げている。

  • 2024-12-08
  • 2024-12-08

バルセロナのジャズ集団、SoulCareによるレノン=マッカートニー名曲群の素敵すぎる再解釈

ソウル・ミュージックやジャズ、ロックに感化され、新型コロナ禍で“人々の魂を癒すために”結成されたスペイン・バルセロナのバンド、ソウルケア(SoulCare)によるビートルズ(レノン=マッカートニー)曲集『Into the Soul of Paul & John』がリリースされた。誰もが知る名曲から、熱心なファン以外にはそれほど知られていないような曲まで10曲を選び、独自のアレンジを加えた作品となっており、ビートルズの音楽に関心がある多くの人々に訴求できる内容になっている。

  • 2024-11-26
  • 2024-11-25

ジンバブエ・ヴィクトリアの滝から現れた最高のアフロ・フュージョンバンド、Flying Bantu

世界最大の瀑布であるジンバブエのヴィクトリアの滝近くを拠点とするバンド、フライング・バントゥー(Flying Bantu)。非常に洗練されたアフロ・フュージョンで、ファンク、レゲエ、ロック、ジャズの要素が混ざり合ったサウンドに英語やバントゥー語の歌詞が乗る。楽器は一部でムビラの音色が聴こえるほかはほぼ西洋楽器で、スケールなども西洋音楽のものなので民族音楽色はかなり薄いが、それが逆に耳馴染みの良さに繋がっている。

  • 2024-10-08
  • 2024-10-08

6ヵ国で育った気鋭ギタリスト、シュブ・サラン。今も探し続けるアイデンティティー

作曲家/ギタリストのシュブ・サラン(Shubh Saran)が新作EP『Being Anybody Else』をリリースした。インドの外交官の息子として各国を転々として多様な文化の中で育ちグローバルな感覚を身につけると同時に、それはつまり逆説的に彼の帰属意識を希薄にしており、“アイデンティティの探求”はこれまでの彼の作品における重要なテーマでもあった。今回の作品は各メディアから絶賛された前作『Inglish』のささやかな続編とも言える内容で、楽曲のタイトルにも彼がいまだに自己探究の途上でその心を浮き沈みさせている様が垣間見える。

  • 2024-09-10
  • 2024-09-10

ブラジリアン・ロック新世代の Chico Chico、北東部音楽との融合が魅力の新譜『Estopim』

ブラジルのシンガーソングライター、シコ・シコ(Chico Chico)がロックやMPB、そしてブラジル北東部音楽などにインスパイアされた新作『Estopim』をリリースした。ソロ名義では2021年の『Pomares』以来となる第二作目で、都会的な洗練と、田舎風の素朴さを併せ持った彼らしい素直な音楽が楽しめる作品に仕上がっている。

  • 2024-07-26
  • 2024-07-24

ブラジルのSSWパウロ・オハナ、耳心地の良いジャジーなインディーロック『Língua na Orelha』

ブラジリア出身で現在はサンパウロを拠点に活動するシンガーソングライター、パウロ・オハナ(Paulo Ohana)の4枚目のアルバム『Língua na Orelha』。2本のギターを中心に、フェルナンド・サガワ(Fernando Sagawa)によるジャジーなサックスがアクセントとなったバンドサウンドに自然体のヴォーカル、爽やかで馴染みやすいメロディーラインが特徴的な親しみやすいアルバムだ。

  • 2024-07-05
  • 2024-07-04

ギターインスト好きへ贈る最高のプログレッシヴ・ジャズロック!ダニエル・ウェイス新譜

プログレッシヴ・ロックバンド「Square to Check」のギタリスト/作曲家、ダニエル・ウェイス(Daniel Weiss)がソロ名義として2作目となるアルバム『The Vortex』をリリースした。今作もバンドメイトのシャロン・ペトロヴェール(Sharon Petrover, ds)、リオール・オゼリ(Lior Ozeri, b)らとともに、圧巻の超絶技巧アンサンブルが繰り広げられる。

  • 2024-06-28
  • 2024-06-29

日本大好きコメディバンド、ラマ・アニ・ハイ 日常をパロディする笑撃のパンクロック

イスラエルのコメディ・パンク・バンド、ラマ・アニ・ハイ(ヘブライ語:למה אני חי?)が最高に面白い!バンドは日本のアニメやゲームから多大な影響を受けたコメディアンのコンビ、シュガー・ザザ(Sugar Zaza)と、過去に当サイトでも絶賛とともに紹介させていただいたバカテク系マルチ奏者ロン・ミニス(Ron Minis)の3人で構成され、ユニークな笑撃的パンクロックを展開する。2022年にリリースされたデビューアルバム『הלוואי הייתי מת』は突き抜けたお馬鹿さ加減が楽しく、全13曲18分間を台風のように駆け抜ける。

  • 2024-06-16
  • 2024-06-16

チャーリー・パーカーの“予言”を具現化する気鋭サックス奏者が示す、未来のジャズ

米国ミズーリ州カンザスシティ出身のアルトサックス奏者、ローガン・リチャードソン(Logan Richardson)が自身のバンドBlues Peopleを率いた新作『Sacred Garden』をリリースした。アルバムはカンザスシティが生んだ偉大な巨人チャーリー・パーカー(Charlie Parker, 1920 - 1955)のインタビュー音源がサンプリングされた(1)「Dna」で始まる。

  • 2024-05-29
  • 2024-05-29

これは比類なきビッグバンド・ジャズロック。新鮮な驚きが連続する、モニカ・ロッシャー新譜

ドイツの作編曲家/シンガー/ギタリストのモニカ・ロッシャー(Monika Roscher)率いるビッグバンド、Monika Roscher Bigbandの3rdアルバム『Witchy Activities and the Maple Death』が壮絶に凄い。2023年にリリースされたアルバムだが、こんな凄いものを聴き逃してしまっていた…。言葉で説明するのは難しい。とにかく聴き、体験してみるべき作品だ。