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  • 2024-04-13
  • 2024-04-17

燃え尽きたシャバカ、サックスを置き尺八を手に新たな表現を試みた衝撃作『美を知覚し、恵みを認識する』

シャバカ・ハッチングス(Shabaka Hutchings)の新しいアルバムだと思って聴き始めたから、正直に言うとかなり驚いた。テナーサックスの音を待ち構えていたところに聴こえてきたのは、クラリネットの美しく温もりのある、悲しい音だった。人気バンドを率い、わくわくするような新世代のジャズを聴かせてきてくれた彼は、今作から名義をシャバカ(Shabaka)と変え、代名詞だった力強いテナーサックスを静かにケースに仕舞い、代わりの楽器としていくつかの笛を手に取ったようだ。

  • 2024-03-24
  • 2024-03-24

ウェールズ出身ジャズハープ奏者アマンダ・ホワイティング、優しく力強い『The Liminality of Her』

ウェールズ出身のグランドハープ奏者/作曲家アマンダ・ホワイティング(Amanda Whiting)の2024年新譜『The Liminality of Her』が絶品だ。クラシックを学んだ確かな技術を基底に持ちながら、ジャズの即興や民族音楽的な独特のスケールを試みる演奏は彼女の好奇心の表れ。バンドメンバーとのアンサンブルも熱く、比較的珍しいジャズ・ハープの近年における最高の作品のひとつと言えるだろう。

  • 2023-12-29
  • 2023-12-23

Música Terra が選ぶ 2023年ベストアルバムTOP10【DJ mitsu編】

Música Terra(ムジカテーハ)ライターDJ mitsuが選ぶ2023年のベストアルバム。
基本、当サイトで紹介してきたもの中心ではありますが、取り上げきれなかった作品もここではPick Up。「何を落としたらいいのか悩む」大豊作の昨年に対し、「何を入れるか悩んだ」今年。なかなかコレ!というものがなかった年でもありましたが、ここに挙げたのは間違いなく「いい音楽」。
今年1年お世話になった作品を振り返っていきましょう。

  • 2023-11-06
  • 2023-11-06

ロンドンで活躍するザンビア出身SSWナンヴラ、社会的テーマを独自の音で表現する新作

ロンドンを拠点に活動するシンガーソングライター、ナンヴラ(Namvula)。彼女のアイデンティティはアフリカ南部の内陸国ザンビアにあり、彼女の音楽もまた、ザンビアの伝統的な音楽スタイルとロック、ジャズ、フォークなどのジャンルを融合させた独自のものを築いている。彼女の新作EP『All Shades of the Sun』は、前作『State of Emergency』で試みたエレクトロニックとの融合は幾分影をひそめ、ギターを中心とした素朴な曲調、丁寧なサウンド・プロダクションが印象的な作品に仕上がっている。

  • 2023-10-30
  • 2023-10-30

優れた音楽は言語も時代も超える。アルバニア出身歌手/作曲家エリーナ・ドゥニ、ECMからの新譜

アルバニア出身の歌手エリーナ・ドゥニ(Elina Duni)、ロンドンのギタリストのロブ・ラフト、ピアノとドラムスを担当する同じくロンドンのフレッド・トーマス、そしてスイス出身のフリューゲルホルン奏者マチュー・ミシェルの4人による新作『A Time to Remember』がリリースされた。移民が置かれた状況をテーマとしその音楽的豊かさから絶賛された前作『Lost Ships』と同じメンバーで、アルバニアの伝統音楽にインスパイアされたオリジナル曲を深い叙情を湛え描く。

  • 2023-09-14
  • 2023-09-13

ビート、リズム、そしてグルーヴ。黒人音楽のルーツを探求するUK天才ドラマーのデビュー作

ロンドンのジャズシーンで活躍する1993年生まれのドラマー、ユセフ・デイズ(Yussef Dayes)が待望の初リーダー作 『Black Classical Music』をリリースした。タイトルが示す通り、ジャズのルーツ、つまり黒人のクラシック音楽を探求しながら自身の音楽として昇華させる内容となっている。その中心にあるのは“ビート”であり、“リズム”であり、それらが緻密に絡み合って生まれる“グルーヴ”だ。

  • 2023-08-31
  • 2023-08-30

半世紀の時を経て蘇った伝説のインド・ジャズ・フュージョン!Shakti まさかの2023年新作

ギター奏者ジョン・マクラフリン(John McLaughlin)、タブラ奏者ザキール・フセイン(Zakir Hussain)を中心に1974年に結成され、数年の間に3枚のアルバムを残した伝説的フュージョン・バンド、シャクティ(Shakti) がまさかの復活。最後のアルバム『Natural Elements』(1977年)から実に46年ぶりとなる4thアルバム『This Moment』は、まさに彼らの今の瞬間を捉えたアルバムだ。

  • 2023-08-03
  • 2023-08-03

ロンドンで活躍するテルアビブ出身鍵盤奏者ヨニ・メイラズ。悪霊祓いをテーマにしたデビュー作

イスラエル出身でロンドンを拠点に活動する鍵盤奏者ヨニ・メイラズ(Yoni Mayraz)による初のフルレンス・アルバム『Dybbuk Tse!』は、ヒップホップやネオソウル、ロックの影響も感じさせるハイブリッドな現代ジャズ作品だ。バンドメンバーには活発なイスラエルのジャズシーンの中でも特に勢いのある精鋭を揃え、先進的な演奏を聴かせてくれる。

  • 2023-07-25
  • 2023-07-26

喜怒哀楽の全てを表現するマンデ・ジャズ!UKの最注目バンド、Balimaya Project 熱狂の2nd

ナイジェリアとセネガルにルーツを持つロンドン育ちのジャンベ奏者イヒエル・カマラ・オノノ(Yahael Camara Onono)率いる大世帯“マンデ・ジャズ”バンド、バリマヤ・プロジェクト(Balimaya Project)が待望の2ndアルバム『When The Dust Settles』をリリースした。オノノが今作について“黒人の悲しみ、喜び、怒り、そして希望の物語を伝えるアルバム”と語っているとおり、西アフリカの伝統的なマンデ音楽に由来する複雑に躍動するリズムと、ロンドンの先鋭的なジャズのサウンドをミックスし力強いメッセージを発している。

  • 2023-06-28
  • 2023-06-27

コロナ禍、当代最高峰の気鋭即興音楽家がリモートで集結。MultiTraction Orchestra デビュー作

米国デトロイト出身、現在はポーランドを拠点に活動する作曲家/ギタリストのアレックス・ロス(Alex Roth)の呼びかけに応じて集まった実験的ジャズ集団、マルチトラクション・オーケストラ(MultiTraction Orchestra)がファースト・アルバム『Reactor One』をリリース。演奏には北欧を代表する個性派トランペット奏者アルヴェ・ヘンリクセン(Arve Henriksen)らが参加している。