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イスラエル

  • 2025-02-01
  • 2025-02-01

イスラエル・ジャズ若手代表格の人気ピアノトリオ、GTO Trio 待望の新作『Within』

ピアノのガディ・レハヴィ(Gadi Lehavi)、ダブルベースのタル・マシアハ(Tal Mashiach)、ドラムスのオフリ・ネヘミヤ(Ofri Nehemya)という現代イスラエル・ジャズ最高峰の若手3人によるピアノトリオ、GTO Trio が新作『Within』をリリースした。10年以上にわたるコラボレーションの中でトリオとしてのアルバムはこれまでに2018年の『From the Road』のみだったが、それぞれがリーダーとして、あるいはプレイヤーとして世界中の様々なミュージシャンらと共演してきた経験を再び長い友情の中に持ち込み、それぞれの成長を反映させたような素晴らしい作品となっている。

  • 2025-01-18
  • 2025-01-18

パレスチナの鬼才ファラジュ・スレイマンが描く、非日常に生きる恋人たちの物語

パレスチナ人として初のジャズ・ピアニストと言われるファラジュ・スレイマン(Faraj Suleiman) が新作『Maryam』をリリースした。衝撃的なプログレッシヴ・ジャズの前作『As much as it takes』のリリースが2023年9月29日。そのわずか10日後に彼の世界は一変し、一時はその怒りとショックから所謂西側メディアから姿を消してしまった彼だが、2024年のモントルー・ジャズ・フェスティバルへの出演を機に徐々に復帰。こうしてまた、素晴らしい音楽作品を届けてくれた。

  • 2024-12-14
  • 2024-12-11

フレンチポップの流れを汲む懐かしくて新しいアートポップ。注目のSSWアナット・モシュコフスキー

イスラエル・テルアビブのSSW、アナット・モシュコフスキー(Anat Moshkovski)の初のフルレンス・アルバム『ANAT』が素晴らしい。1970年代前後のフォークロックやフレンチポップの手触りのある良質なポップスで、アコースティック楽器を軸にした室内楽的な優しいサウンドに英語やフランス語の歌詞を乗せて優美に歌う。

  • 2024-12-07
  • 2024-12-07

驚異の微分音ピアノ。イスラエルのディナ・キトロスキー、激動の体験が生み出す未知のジャズ

イスラエルのピアニスト、ディナ・キトロスキー(Dina Kitrossky)のデビューアルバム『Waves』は2023年の年末にリリースされた。彼女のピアノはマカーム(アラビア音楽の旋法)を取り入れた音楽を弾くために特別な調律が施されており、微分音が特徴的な強く印象に残る旋律を奏でる。それは聴衆の興味関心を引くための姑息な戦術などではなく、その深い音楽の先には西洋のクラシックや中東の民族音楽、彼女の両親が聴いていたロシアの音楽、その他様々な世界中の音楽を経由して辿り着いた彼女の独創的な視点から生まれる、音の芸術の未来の兆しがある。

  • 2024-11-17
  • 2024-11-17

イスラエルの気鋭女性ピアニスト、Stav 世界観をより深化させた現代ジャズで魅せる新作

初リーダー作『Plastic Cocoon』(2020年)から4年、イスラエルの才能溢れるジャズ・ピアニスト/作曲家スタヴ・アハイ(Stav Achai)の待望の新作『Tears in Colours』がリリースされた。今作でも彼女の音楽はジャズの領域に留まらないポップで新鮮な感覚に満ち、さらにサウンドもアレンジも前作からさらなる進化を見せ、その創造的なオリジナリティをより確信的にした。世界が彼女を“発見”するのも時間の問題だろう。

  • 2024-11-02
  • 2024-11-02

変幻自在のイスラエルジャズ!最高峰ベーシスト、アヴィシャイ・コーエン 独自の感性で魅せる新譜

イスラエル・ジャズを象徴する存在であるベーシスト/作曲家のアヴィシャイ・コーエン(Avishai Cohen)が、近年の活動の集大成ともいえる新譜『Brightlight』をリリースした。レギュラートリオであるロニ・カスピ(Roni Kaspi, ds)とガイ・モスコヴィッチ(Guy Moskovich)との演奏を軸に、ほかにも10名近いミュージシャンを迎え、独創的なコンポージングと豪快なアップライトベース演奏から生み出される彼独自の圧倒的なジャズを展開する。

  • 2024-11-01
  • 2024-10-31

ジューイッシュ・ジャズの象徴ダニエル・ザミール、SSWとしての新章を告げる新譜

ダニエル・ザミール(Daniel Zamir)といえば、イスラエルの現代ジャズシーンを代表するソプラノサックス奏者として世界に広く知られていることに疑念の余地はない。その音楽観は非常に個性的で、彼は2000年代以降一種のムーヴメントとなった所謂“イスラエル・ジャズ”勢の中でも突出してユダヤの伝統に強くインスパイアされた“ジューイッシュ・ジャズ”の音を鳴らし続けてきた。

  • 2024-10-16
  • 2024-10-13

精神世界を解き放つ。ピアノとチェロによる清らかで静謐なデュオアルバム『Pauses in Shades』

チェリスト/歌手のマヤ・ベルシッツマン(Maya Belsitzman)と、ピアニストのウリエル・ヘルマン(Uriel Herman)はともにクラシック音楽を学んでいた20年以上前からの友人だったが、これまでにレコーディングを行ったことはなかった。COVID-19によるパンデミックは彼らに再会と初めての録音の機会を与え、二人は事前のリハーサルも楽譜も計画も何もないままにスタジオに入り、互いに深い精神的な対話を重ねることによって僅かなコンポージングを即興で彩った素晴らしい音楽『Pauses in Shades』を作りあげた。

  • 2024-10-10
  • 2024-10-09

至福の歌とギター。イスラエルのSSWナルキス・ラアムのデビュー作『אחיזה אחרת』

イスラエルのシンガーソングライター/ギタリストのナルキス・ラアム(Narkis Raam, ヘブライ語表記:נרקיס רעם)のデビュー・アルバム『אחיזה אחרת』がとても良い。穏やかで瑞々しい彼女の歌とギターを中心としつつ、センスよく注意深くアレンジされた控えめなバンドによる彩りが添えられている。

  • 2024-09-28
  • 2024-09-28

自然体が魅力のジャズ・クラリネット奏者アナット・コーエン、あまりに美しい新譜『Quartetinho: Bloom』

アナット・コーエン(Anat Cohen)は、僕が毎年そのリリースを超楽しみにしているアーティストのひとりだ。卓越したクラリネット奏者であり、特に“ブラジル音楽”への新しい視点を提供してくれる彼女のアルバムはどれも音楽がどれだけ美しく、楽しいものであるかを完璧に伝えてくれる。それは2024年の彼女の新作『Quartetinho: Bloom』でも変わらなかった。

  • 2024-09-22
  • 2024-12-31

イスラエルのSSWノガ・エレズ待望の新譜『THE VANDALIST』、欺瞞に満ちた社会への最後の抵抗

ずっと厭世的だった彼女の歌は、いよいよ絶望の色を極めてきた。イスラエルのシンガーソングライター/プロデューサー、ノガ・エレズ(Noga Erez)。新作アルバムに付けられたタイトルは『THE VANDALIST』。つまり、愛し尊ぶべきもの、美しいものの“破壊者”たちへの彼女なりの最後通牒なのだろう。

  • 2024-08-08
  • 2024-08-08

世界を音で繋ぐクラリネット奏者オラン・エトキン、平和への祈りを込めた新譜『Open Arms』

ワールドワイドな活動で知られるイスラエル出身のクラリネット奏者オラン・エトキン(Oran Etkin)の新譜『Open Arms』は、ブラジル、ジンバブエ、カナダ、チェコ共和国、トルコ、そして米国と世界中で現地のミュージシャンたちと録音した意欲的な作品だ。そのタイトルのとおり、分断と相互破壊が進む近年の世界において、あらゆる文化を尊重し受け入れ、つながることに焦点をあてている。