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ヨーロッパジャズ

  • 2024-07-20
  • 2024-07-20

マルチェラ・カルボーニがハープで紡ぐ、珠玉のピエラヌンツィ曲集。これほど美しいジャズは他にない

1970年代以降、イタリアのジャズを牽引してきた巨匠ピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)がつくった美しい詩や絵画のような曲たちを、ハープ奏者のマルチェラ・カルボーニ(Marcella Carboni)が再解釈した作品『Miradas』。ゲストにはピエラヌンツィの最大の理解者であるクラリネット奏者ガブリエーレ・ミラバッシ(Gabriele Mirabassi)を迎え、目も眩むような耽美な世界が広がる。

  • 2024-06-25
  • 2024-06-25

イタリアの巨匠アントニオ・ファラオ、ジャズの真髄を確信する新譜『Tributes』

イタリアを代表するピアニスト/作曲家アントニオ・ファラオ(Antonio Faraò)が、ジョン・パティトゥッチ(John Patitucci, b)とジェフ・バラード(Jeff Ballard, ds)という名手を迎えて録音した2024年の新作『Tributes』。8曲のオリジナルと2曲のカヴァーという構成で、目新しさこそないものの、ジャズの粋の結晶のような優れた作品だ。

  • 2024-06-21
  • 2024-06-11

ジャンルレスなデンマークの現代ジャズを象徴する美しいアルバム。Hvalfugl + 弦楽団『Drømme』

デンマーク・オーフスのジャズトリオ、イヴェイフール(Hvalfugl)は新作『Drømme』で同郷の弦楽合奏団フー・キルド・バンビ(Who Killed Bambi)とコラボレーションし、静謐で深遠な音楽の世界へとリスナーを誘う。スカンジナビアの伝統音楽、西洋クラシック音楽、そしてジャズが境界なく溶け合い、デンマーク語で“夢”を表すタイトルのとおり、夢見心地の気持ちにさせてくれる美しい作品だ。

  • 2024-06-18
  • 2024-06-18

北欧ジャズのレジェンド e.s.t、その30周年の追悼盤。数多の感情のレイヤーを生み出すライヴ作

ジャズのひとつの歴史を作ったバンド、e.s.t.(Esbjörn Svensson Trio)が結成されたのは1993年。15年後の2008年6月に不慮の事故によってピアニストのエスビョルン・スヴェンソン(Esbjörn Svensson)は亡くなり、バンドは事実上の解散状態となったが、残されたドラマーのマグヌス・オストロム(Magnus Öström)とベーシストのダン・ベルグルンド(Dan Berglund)はその後もそれぞれの活動に勤しみながら、たびたびe.s.t.の活動を振り返るようなプロジェクトを発信してきた。

  • 2024-06-01
  • 2024-06-01

北欧の天才イーロ・ランタラ、新生ピアノトリオ HEL Trio 始動!最高のジャズがここにある。

独創的なユーモアと超絶技巧でピアノトリオの世界に輝かしい足跡を残したトリオ・トウケアット(Trio Töykeät)が2008年に解散して以来、イーロ・ランタラ(Iiro Rantala)は一般的なピアノトリオのフォーマットをずっと避けてきた。2011年にACTからソロデビュー作『Lost Heroes』からは挑戦の連続だ。ソロ、デュオ、チェロとヴァイオリンとのトリオ、ヒューマンビートボックスとギターとのトリオ、オーケストラとの共演などなど。リリースのたびに手を変え品を変え繰り出されてきた彼の作品、その目的は観客を楽しませること、そして自らも楽しむことだったように思う。

  • 2024-05-31
  • 2024-05-30

ウクライナの名手ディミトリ・ナイディッチ、ショパンに捧げる詩情溢れる美しいジャズ

クラシックとジャズの両分野で活躍するウクライナを代表するピアニスト、ディミトリ・ナイディッチ(Dimitri Naïditch)の最新作『Chopin Sensations』はピアノトリオ編成でショパンに捧げる甘美で叙情的なジャズだ。収録曲はラストの(12)「Valses, Op. 64: n°2 en do dièse mineur」(ワルツ第7番 嬰ハ短調 作品64-2)を除き他はすべてディミトリ・ナイディッチの作曲クレジットとなっているが、随所にショパンのフレーズも引用され、ため息の零れるような美しい音世界を作り上げてゆく。

  • 2024-05-20
  • 2024-05-20

カンタン・デュジャルダン&オリヴィエ・ケル・オゥリオ、“セレンディピティ”を探す航海

ベルギー出身のギター奏者カンタン・デュジャルダン(Quentin Dujardin)と、レユニオン出身のハーモニカ奏者オリヴィエ・ケル・オゥリオ(Olivier Ker Ourio)によるデュオ作品『Serendipity』は、思いがけない偶然の幸運(=セレンディピティ)を求めて、2人きりで港から港へ、音楽の大海を旅するようなアルバムだ。

  • 2024-05-19
  • 2024-05-12

本能を踊らせるクラリネットとアコーディオンのデュオ、再び。至福の地中海ジャズ

クラリネット奏者ガブリエーレ・ミラバッシ(Gabriele Mirabassi)と、アコーディオン奏者シモーネ・ザンキーニ(Simone Zanchini)のデュオ第二弾となるアルバム『Un Ballo Con La Luna』がリリースされた。二人の初デュオ作である前作『Il Gatto E La Volpe』(2022年)はオリジナルが中心だったが、今作は逆にカヴァー曲を軸に、燦々とした地中海ジャズを聴かせてくれる絶品だ。

  • 2024-05-18
  • 2024-05-18

古都カサブランカの街の匂いが薫る。気鋭ピアノトリオ、EYM Trioによる直情的ワールド・ジャズ

西はヨーロッパや北アフリカ、東はインドまで、広大な音楽文化の地図をジャズの上で描き出すフランスのピアノトリオ、EYM Trioが新作『Casablanca』をリリースした。モロッコ最大の都市をタイトルに据えた今作はアラビア音楽の伝統を大胆に取り入れ、久々にゲストを迎えず、トリオの3人のみでオリジナリティに富む壮大な音世界を繰り広げる素晴らしい作品に仕上がっている。

  • 2024-05-16
  • 2024-05-16

気鋭ドラマー、ステファン・ギャラン。多国籍セクステットで世界のリズムを“狩る”!

Aka Moonを始めとした様々な革新的ジャズ・プロジェクトで知られるベルギーのドラマー/作曲家、ステファン・ギャラン(Stephane Galland)が多国籍セクステットによる新バンドを従えての新譜『Stéphane Galland & The Rhythm Hunters』をリリースした。アフリカのポリフォニックでトランス的なリズム、数学的複雑さを備えたインドのリズム、不規則に脈動するバルカンのリズムといったように、彼がこれまでに様々なアーティストと共演したりする中で経験してきた世界各地のリズムを持ち帰り、自身の語彙になるまで咀嚼し理解を深め、インスピレーションを得て創作に落とし込んできた結果が凝縮された新鮮な音楽が展開される。

  • 2024-04-27
  • 2024-04-27

ジャズ・トランペット異端児ダウド、ヘビロテ必至のデビュー作『GOOD BOY』

音楽界において“異端児”というのは、最高の褒め言葉だ。このモロッコ系フランス人のトランペッター、ダウド(daoud)は間違いなくこの言葉が当てはまるミュージシャンだ。なんの間違いか『GOOD BOY』と題されてしまった彼のデビュー作は、ジャズのなかにヒップホップ、R&Bやサイケロック、エレクトロニックが渾然と混ざり合い、この人物が只者ではなさそうだということがすぐに感じ取れる。

  • 2024-04-22
  • 2024-04-21

奇才レイニエル・バース新譜、これは音楽的サイコパスたちのエキセントリック・パーティーだ

オランダのギタリスト、レイニエル・バース(Reinier Baas)の新作『Relief Party』は、まさに奇妙な人々のためのダンス・ミュージックと呼ぶにふさわしい。音楽的サイコパスたちのエキセントリックなパーティーに、ようこそ…。類は友を呼び、アルバムには世界中から奇才たちが集う。