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スペイン

  • 2026-05-20
  • 2026-05-09

口腔から深淵へ。人生の得難さを歌う、カタルーニャの才媛シルビア・ペレス・クルス新譜

カタルーニャを代表するシンガーソングライター、シルビア・ペレス・クルス(Silvia Perez Cruz)が2026年5月にリリースした新譜『Oral_Abisal』を聴いて、私は「とてつもなく絵画的な音楽だな」と感じた。脳裏に即座に浮かぶのは、同郷の画家であるサルバドール・ダリ(Salvador Dalí)やジョアン・ミロ(Joan Miró)だ。心の奥底に眠る想像力が、夢のような自由さ(=シュルレアリスムという便利な言葉もある)で表現された彼らの絵が乗り移ったような世界観。“口腔から深淵へ”という大胆で挑戦的なタイトルからして、近年の充実した創作活動によってますます神秘性の増すシルビア・ペレス・クルスの集大成的な一枚と言っても過言ではなさそうだ。

  • 2026-05-12
  • 2026-05-11

モロッコとアンダルシア そのルーツの深淵を探る、魅惑のアラビック・フラメンコ

モロッコ・カサブランカ出身のウード奏者/作曲家アラア・ズイテン(Alaa Zouiten)は、アラブ古典音楽を学び演奏していたが、パコ・デ・ルシアの音楽をきっかけにフラメンコに傾倒したという経歴の音楽家だ。2015年以降、彼はスペインのアンダルシア地方(特にグラナダ)を拠点にフラメンコを学び、ウードでフラメンコを演奏し、さらに自身のルーツであるモロッコの音楽とフラメンコを融合するという独自の表現を磨いてきた。

  • 2026-05-06
  • 2026-04-24

詩情豊かな歌とピアノが心に沁みる。マルタ・ゴメス&アントニオ・マゼイによる南米の歌

コロンビア出身の歌手/ギター奏者マルタ・ゴメス(Marta Gómez)と、ベネズエラ出身のピアノ奏者アントニオ・マゼイ(Antonio Mazzei)による『Arauca』。アルバムのタイトルは二人の出身国の間に流れるアラウカ川から取られており、南米の伝統曲(フォルクローレ)にジャズの洗練が加わった素敵な作品だ。

  • 2026-04-22
  • 2026-04-08

フラメンコ・ミクスチャー Canteca de Macao、音楽の在り方を世に問うた『Unadecada』嬉しい再発

2003年にスペイン・マドリードで結成されたデュオ・グループ、カンテカ・デ・マカオ(Canteca de Macao)が、結成10周年を記念して2013〜2014年にかけて展開した革新的なトランスメディアプロジェクト「#UNADECADA」。毎月15日にYouTubeで新曲とMV(ミュージック・ヴィデオ)を公開するというこのプロジェクトは、直前に行われたスペイン音楽史上最大規模の600人が参加したクラウドファンディングのプロジェクトとともに、音楽がフィジカルからインターネット配信での消費に移行する過渡期であった当時、大いに注目された。

  • 2026-04-15
  • 2026-04-15

カタルーニャ出身トロンボーン奏者アルバ・プジャルス、「文化混淆」をテーマにした先鋭的ジャズ

スペイン・カタルーニャ出身、現在はアメリカ・ニューヨークを拠点とするトロンボーン/フルート奏者/歌手/作曲家のアルバ・プジャルス(Alba Pujals)の2ndアルバム『Sincretisme』。8曲中6曲がアルバ・プジャルスによる作曲で、タイトルであるシンクレティズム(混淆主義)が示すとおり、ジャズを基調に現代的なジャンル混淆をテーマとした先鋭的な快作だ。

  • 2026-03-13
  • 2026-03-12

地中海メノルカ島出身ピアニスト、マルコ・メスキーダが呼び覚ます“音楽の触覚”

スペイン・メノルカ島出身のジャズピアニスト/作曲家のマルコ・メスキーダ(Marco Mezquida)は、新作『Táctil』で“音の手触り”を表現しようとしている。Táctilとはスペイン語で「触覚の」「手触りの」といった意味を持つ単語で、音楽における触覚的な感覚を呼び覚まそうとする試みだ。

  • 2026-03-03
  • 2026-03-17

21世紀のジャズ・ヒロイン、アンドレア・モティスの音楽的集大成『Intimate』

サン・アンドレウ・ジャズバンド出身のトランペット奏者/シンガーのアンドレア・モティス(Andrea Motis)の2026年新譜『Intimate』は、彼女の音楽的ルーツであるフォーク、R&B、ジャズ、そして特にブラジルの音楽たちを、ギタリストとのデュオで淑やかに演奏する親密な作品だ。1曲を除きカヴァーとなっており、幅広いジャンルからの選曲は、10代の頃から華やかな活躍で注目されてきた彼女の音楽的な集大成と言えるだろう。

  • 2026-02-12
  • 2026-02-11

女性たちの歴史的トラウマ「結婚」についての深い考察。マガリ・サーレの壮大な音楽抒情詩

カタルーニャのシンガーソングライター、マガリ・サーレ(Magalí Sare)の2026年新譜『DESCASADA, Vol. 1』は、単なる美しい楽曲のコレクションではない。これは、数世紀にわたり女性を縛り付けてきた「結婚」という制度、そしてそこからの解放を巡る、壮大な音楽的人類学の試みであり、アーティストとしての彼女にとって重要なマイルストーンでもある。

  • 2026-02-11
  • 2026-02-10

マヨルカ島の伝統を現代のポピュラー音楽シーンに統合する、稀代のSSWジュリア・コロム『Paradís』

スペイン・マヨルカ島出身、伝統的なフォーク音楽をポップスやエレクトロニックと融合させ独自のスタイルを築くシンガーソングライターのジュリア・コロム(Júlia Colom)。高く評価された2023年のデビュー作『Miramar』につづく2ndアルバムとして、2025年末に『Paradís』がリリースされた。

  • 2026-01-23
  • 2026-01-21

卓越したフラメンコギターの伝統と情熱を受け継ぎ、未来へ発散するフラスキート新譜

ロマ(ジプシー)の家系に生まれ育ったスペインのギタリスト、フラスキート(Fraskito)の新作『Camino de Agua』は、卓越した演奏技術に裏付けされた伝統的なフラメンコを基盤としつつ、そこに留まらない未来志向を感じさせる傑作だ。マヌーシュ・ジャズやラテン、ジャズの要素も取り込んだ新しい時代を目指そうとする彼の音楽の真髄を垣間見せる。

  • 2025-07-29
  • 2025-08-02

逆境とトラウマを乗り越え、現代ジャズシーンで注目を浴びるミレーナ・カサド 話題のデビュー作

『Reflection Of Another Self』は、スペイン出身で現在はニューヨークのジャズシーンで活躍するトランペット/フリューゲルホルン奏者ミレーナ・カサド(Milena Casado)の初リーダー作。自身のアイデンティティやトラウマ、自己発見を深く掘り下げた個人的なプロジェクトであり、伝統的なジャズと実験的なエレクトロニック音楽のテクスチャーを融合させた非凡な感性で創られた繊細なアルバムだ。

  • 2025-07-23
  • 2025-07-21

カタルーニャのSSWポル・バトリャ、エレクトロ×サイケロックで人生の転換期を表現するEP

カタルーニャのシンガーソングライター/ギタリストのポル・バトリャ(Pol Batlle)の新作EP『A Caballo Voy』は、彼の人生における転換期と、音楽的な進化のプロセスを示す重要な作品だ。今作はポル・バトリャが2018年から2019年にかけて作曲した5曲で構成されており、彼の母親が若年性アルツハイマー病と診断された後に創作活動を再開した時期の作品集で、アコースティックとエレクトロニックの絶妙なブレンドによって感情的な深さを捉えている。

  • 2025-07-11
  • 2025-07-12

NYで生まれた奇跡の魔法。アダム・ニーリー&ラウ・ノア、親密なデュオの対話が紡ぐ秘密の音楽

YouTubeでの活動などを通じて、ジャズの領域だけでなく多様なファンを獲得した人気ベーシストのアダム・ニーリー(Adam Neely)と、カタルーニャ出身で独自の現代ギター音楽を探求し、ジェイコブ・コリアーやシルビア・ペレス・クルス、シャイ・マエストロといった世界中の音楽家たちと共演するギタリストのラウ・ノア(Lau Noah)が、デュオによるEP『The Way Under』をリリースした。