- 2023-05-29
- 2023-05-28
音楽の申し子、天才アンドレ・メマーリのピアノトリオ新譜『Choros e Pianos』
近年クラシック絡みのプロジェクトが多くなっていたブラジルを代表するピアニストのアンドレ・メマーリ(André Mehmari)が、久々にジャズアルバムをリリースした。タイトルは『Choros e Pianos』。その名の通りブラジルのショーロに影響を受けたオリジナル曲集で、基本的にピアノトリオを軸とした編成の作品となっている。
近年クラシック絡みのプロジェクトが多くなっていたブラジルを代表するピアニストのアンドレ・メマーリ(André Mehmari)が、久々にジャズアルバムをリリースした。タイトルは『Choros e Pianos』。その名の通りブラジルのショーロに影響を受けたオリジナル曲集で、基本的にピアノトリオを軸とした編成の作品となっている。
スコットランドのヴォーカリスト、ルイーズ・ドッズ(Louise Dodds)と、アゼルバイジャン出身のピアニスト、エルチン・シリノフ(Elchin Shirinov)のデュオによるスコットランド歌曲集 『Two Hours After Midnight』がリリースされた。スコットランドの原風景を感じさせる素朴で美しい旋律と歌声、個性的で優れた編曲とピアノ演奏がジャズの感性で調和し、耳に優しく響く素晴らしい作品だ。
ウクライナ出身の歌手ローラ・マルティ(Laura Marti)が、スウェーデンのベーシスト/作曲家ラーシュ・ダニエルソン(Lars Danielsson)へのトリビュート・アルバム『Africa』をリリースした。アルバムには(1)「Africa」や(3)「Lviv」といったラーシュ・ダニエルソンの過去の名曲のほか、ラーシュがローラのために書き下ろした新曲(5)「For Laura」も収録されている。アレンジはウクライナを代表する女性ピアニストのナターリヤ・レベジェヴァ(Nataliya Lebedeva)によって施されている。
20年以上前にその活動を始め、以来常に変化し続けてきたというニュージーランドのジャズ・コレクティヴ、ザ・サークリング・サン(The Circling Sun)が待望のファースト・アルバム『Spirits』をリリースした。サン・ラやファラオ・サンダース、アリス・コルトレーンらを彷彿させるスピリチュアル・ジャズを身上とする9人のミュージシャンと、8人から成るコーラス隊が繰り広げる音楽は非常に空間的かつ刹那的で、身を委ねたくなる心地よさがある。
サックス、ピアノ、ドラムスの3人から成るUKジャズ新世代トリオ、ママール・ハンズ(Mammal Hands)の通算5枚目となる新譜『Gift from the Trees』がリリースされた。今作は彼らとしては初めてレコーディングスタジオではなくウェールズの住宅で演奏・録音されたものとのことで、意識的にリラックスした環境の中で即興的なアイディアを試したり、より深く、より有機的な体験を求めて夜遅くまで過ごす機会を楽しみながら制作されたという。
クラウヂオ・ジョルジ(Cláudio Jorge)とギンガ(Guinga)。ブラジル音楽界における二人の個性的な実力者によるデュオ・アルバム『Farinha do Mesmo Saco』が登場した。ともにリオデジャネイロ出身、年齢もほぼ同じ二人は50年ほど前、ジョアン・ノゲイラのアンサンブルで知り合ったが、その共演はごく短いもので、以来二人が切望していた再会と共演がついに叶った形の作品だ。
米国のジャムバンド・シーンの立役者の二人、ギタリストのエリック・クラズノー(Eric Krasno)とドラマーのスタントン・ムーア(Stanton Moore)が新たなプロジェクトを始動した。『Krasno/Moore Project: Book of Queens』と題された彼らの最初のアルバムで、卓越したグルーヴ・マスターの共演を楽しむことができる。
フルートやピアノ、パーカッションなどのマルチ奏者であり、類稀な声を持つ歌手のマガリ・サレ(Magalí Sare)と、コントラバス奏者マネル・フォルティア(Manel Fortia)のデュオによる第二作『reTORNAR』。二人の高い芸術性のなかで、即興のアイディアがこれでもかと溢れる傑作だ。
イスラエル・テルアビブを拠点に活動するインディー・フォークバンド、MIQEDEMの3rdアルバム 『Eshkona』。傑作と絶賛された前作『כרך ב׳』の民族音楽的なニュアンスをそのままに、さらにサウンド面で洗練された音楽に仕上がっている。“休息”をテーマにした今作には安堵はあれど暗澹さはまったくない。全編にわたって感じられるのは辛い時期を乗り越えて未来へ向かう希望だ。
仮面で素顔を隠し活動するドイツのピアニスト/作曲家ランバート(Lambert)による実験的な新譜『All This Time』。カテゴライズするとしたら、ジャズか現代音楽、もしくはクラシック・クロスオーヴァーか。エレクトロニックも交え、刺激的な世界観だが、音は聴きやすく万人にもおすすめできる作品だ。
イラン出身のケマンチェ奏者カイハン・カルホール(Kayhan Kalhor)と、マリのコラ奏者トゥマニ・ジャバテ(Toumani Diabaté)がデュオを組み、事前の取り決めをほとんど何も行わずに即興で演奏したアルバム『The Sky Is the Same Colour Everywhere』。ペルシャと西アフリカ、ふたつの伝統的な弦楽器が奏でる音楽は国や言葉、文化の壁に阻まれず、どこまでも幽玄で美しい。
1994年フランス生まれ、2020年のデビュー作『Spirit Song』が広く絶賛された新鋭ヴィブラフォン奏者、サイモン・ムリエ(Simon Moullier)。コロナ禍でブルックリンを離れ過ごしたブルターニュ沖の小さな島で家族たちとの時間を通じて生み出した新作『Isla』は、創造的で美しい音に満ちた素敵なヴィブラフォンのジャズとなっている。
ロンドンを拠点とするギタリスト、デヴィッド・プレストン(David Preston)が新しいカルテットを率いての初のアルバム『Purple / Black (Vol. 1)』をリリースした。今作はこれまでの彼のトリオでも活動をともにしていた6弦ベーシストのケヴィン・グラスゴウ(Kevin Glasgow)との絆はそのままに、ECMからデュオ作『A Short Diary』を出したばかりのピアニストのキット・ダウンズ(Kit Downes)とドラマーのセバスチャン・ロックフォード(Sebastian Rochford)を新たに迎え、ジャズロックやフュージョンが持つ熱量と、抒情的なメロディーや即興とのバランスに優れた作品になっている印象だ。
EVISBEATS(エビスビーツ)の最新作『That's Life』が5月24日にCD / CASSETTE / LP の3フォーマットでフィジカル化される。本サイトでも何度も取り上げているJ・ラモッタ・スズメをゲストに迎えるなど、盟友・Nagipanと共作した前作『PEPE』も非常にクオリティの高い作品であったし、2012年のMix作品『Sletchbook』も(一部ボーカル曲はあるものの)インスト作品という観点では素晴らしいものであった。だがしかし本作ではそれらのクオリティに加え、タイトル『That's Life』に込められた諦念にも似た明確なメッセージによって、作品としてより強固なものになったと言える。