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ブラジル

  • 2025-02-06
  • 2025-02-05

ポルトの新世代ヴィブラフォン奏者エドゥアルド・カルヂーニョ、豊かな音像の現代ジャズ新譜

ポルトガルの新世代ジャズ・ヴィブラフォン奏者エドゥアルド・カルヂーニョ(Eduardo Cardinho)の3枚目のアルバム『Not far from paradise』は、ジャズ、現代音楽、クラシックといった要素が高次元で融合した知性的な作品だ。7人編成のバンドには特別な才能が集結し、高度な即興のロジックの上に成り立つ自由な実験的精神性が発揮された演奏が繰り広げられる。

  • 2025-01-30
  • 2025-01-30

ブラジル最高の作曲家が遺した音楽を芯まで味わう。パウラ・モレレンバウム&アルトゥール・ネストロフスキ『ジョビンの歌』

あらためて、アントニオ・カルロス・ジョビンは史上最高の作曲家だったと思う。彼がこの世を去って久しいが、遺された作品のあまりに洗練されたコードとメロディー、そして詩情豊かな歌詞──その多くはヴィニシウス・ヂ・モライスの才能によるものだが──による奇跡的な音楽は、今も多くの人々を惹きつけてやまないし、その“新しさ”は決して古臭くなることがない。

  • 2025-01-25
  • 2025-01-25

現代社会の行く末を視る。ブラジリアン・ミクスチャー最強バンド、BaianaSystem 圧巻の新譜

ブラジルの人気アフロロック・バンド、バイアーナシステム(BaianaSystem)の2025年新譜『O Mundo Dá Voltas』。2025年も始まったばかりだが、早くも年間ベストの候補となりそうな凄まじいクオリティの作品だ。彼らにとって5枚目のアルバムは、ブラジル音楽やレゲエ、ヒップホップを中軸としたこれまでの路線を踏襲しつつ、さらにアフリカやカリブ海、ポルトガル新世代の色が濃くなり、その表現は急速に混ざり合うグローバル社会の中での存在感を増している。

  • 2025-01-19
  • 2025-01-20

“宗教2世”として育ったブラジル出身新鋭女性ラッパー、ライス。必聴の新世代グローバルHip-Hop

1999年にブラジル・サンパウロに生まれ、新興宗教の信者としての実家での生活に適応できず14歳でアメリカに移住、その後2018年にドイツに移住した女性ラッパー、ライス(Laíz)のデビュー作『Ela Partiu』は、新人とは思えないクオリティに驚かされる作品だ。彼女の確立された個性から放たれるラップ、20名から成るバックバンド”The New Love Experience”によるジャズ、ファンク、トロピカリア、アフロビートなどを境界なく融合した高度なアンサンブルは、この特異な人生を歩んできた新世代のアーティストの登場を盛大に祝福する。

  • 2024-12-29
  • 2024-12-22

サンバ・ヒップホップの先駆者マルセロD2、“新しいトラディショナル・サンバ”を謳う新作

全編生バンドでのブラジリアン・ヒップホップ作『Direct-to-Disc』を2024年11月にリリースしたばかりのサンバ・ヒップホップの先駆者、マルセロ・デードイス(Marcelo D2)が、早くも新しいプロジェクトからの新譜『Manual Prático Do Novo Samba Tradicional, Vol. 1: DONA PAULETE』をリリースした。“新しい伝統サンバの実践マニュアル”という意味を持つ今回のプロジェクトでは、2025年のカルナヴァルまでに4枚のアルバムをリリースする予定。

  • 2024-12-26
  • 2024-12-25

カナダを代表するピアニスト、リニー・ロスネスは新作でブラジル音楽への深い愛情を結実させた

カナダを代表する女性ジャズ・ピアニストのリニー・ロスネス(Renee Rosnes)の2024年の新作『Crossing Paths』は、彼女のブラジル音楽への強い愛が存分に注がれた一枚だ。エグベルト・ジスモンチ(Egberto Gismonti)やエドゥ・ロボ(Edu Lobo)、アントニオ・カルロス・ジョビン(Antonio Carlos Jobim)、ジョイス・モレーノ(Joyce Moreno)といったブラジルの偉大な芸術家たちの作品を9曲選び、曲によってはゲスト・ヴォーカリストとして作家自身(!)を迎え、本格的なブラジリアン・ジャズを披露している。

  • 2024-12-19
  • 2024-12-18

北東部音楽のヒロイン、ルーシー・アウヴェスが新譜で描き出す現代のフォホー

2024年末にリリースされたルーシー・アウヴェスの新作『Gato do Mato』には、ほぼすべてが彼女のオリジナルである10曲が収録されている。現代的なサウンド・デザインだが、根幹にあるのはブラジル北東部の音楽であるフォホーだ。アルバムタイトルは“ヤマネコ”を意味し、ルーシーは自分自身を山猫のイメージと重ね合わせている。

  • 2024-12-15
  • 2024-12-15

現代最高峰の音楽家ムニール・オッスン、観客と一体となった稀有なステージを収めたライヴ録音

ブラジルの貧しいシングルマザーの家庭に生まれ、10歳からプロとして音楽活動を行い家計を支えてきたムニール・オッスン(Munir Hossn)が、ユニークなライヴ体験を提供する米国フロリダ州マイアミのブラック・ルーム・セッションズ(Black Room Sessions)での素晴らしい演奏を収録したライヴ盤『Munir Hossn & Elas (Live at the Black Room Sessions)』をリリースした。

  • 2024-12-12
  • 2024-12-11

多彩なゲストを迎えたポスト・ボッサ注目作。デリア・フィシェール『Beyond Bossa』

ブラジルのSSW/ピアニスト、デリア・フィシェール(Delia Fischer)の新作『Delia Fischer: Beyond Bossa』は、その名のとおりアントニオ・カルロス・ジョビンを参照するボサノヴァの雰囲気を残した良質な音楽だ。彼女がポルトガル語で書いた詩はすべてピアニスト/作曲家/ライターのアレン・モリソン(Allen Morrison)によって英語詞となり、デリア・フィシェールやその他多彩なゲストによって英語で歌われている。

  • 2024-12-05
  • 2024-12-04

MPBの遺産を受け継ぐSSW、マトゥ・ミランダ。 大物ゲストも参加した注目のデビュー作

マトゥ・ミランダ(Matu Miranda)というシンガーソングライター/ギタリストの登場は、今年(2024年)のブラジル音楽におけるひとつの重要なトピックだ。マットグロッソ・ド・スル州カンポ・グランデで生まれ、現在はリオデジャネイロを拠点とする彼は2023年にオーディション番組「The Voice Brasil」で準決勝まで進出。2024年9月に待望の初アルバム『Matutando』をリリースした。

  • 2024-12-01
  • 2024-11-30

臍から臍へとサンバは受け継がれる──。バイーアの女性バンドが魅せるディープなブラジル音楽

ヤヤ・マセンバ(Yayá Massemba)の音楽はアフリカ系ブラジル人の文化を尊重し、女性として表現し、そして叡智を生み出す基盤としてのサンバのルーツを広めることを目的としている。グループ名の「Yayá」はヨルバ語で“母親”を意味し、キンブンドゥ(アンゴラで話されているアフリカの言語)に由来する「Massemba」はアフリカ起源の宗教に存在するウンビガダ(臍 = umbigo を突き出す動作)を指す。

  • 2024-11-22
  • 2024-11-13

サロマォン・ソアレス、偉大な先人たちへのリスペクトを込めた新譜『Espirais』

ブラジルを代表するピアニスト/作曲家のサロマォン・ソアレス(Salomão Soares)の2024年新譜『Espirais』はシンプルに一般的なピアノトリオ編成のジャズ・アルバムだが、随所に“ブラジルらしさ”が散りばめており、特にブラジル音楽ファンには楽しめるジャズとなっている。

  • 2024-11-16
  • 2024-11-16

ロンドン発!優れた作曲とアンサンブルで聴かせる本格派ショーロバンド、Alvorada 新譜

イギリス・ロンドンを拠点とするバンド、アルヴォラーダ(Alvorada)。5人のメンバーで構成される彼らは、ショーロを中心としたブラジル由来の高揚感溢れる音楽を現代のロンドンの視点から捉え演奏する。2019年のデビュー作『First Light』以来の2枚目となる今作『Faz Tempo』ではほとんどをオリジナル曲でまとめ、ハーモニーもリズムもより複雑に洗練され、まさにブラジルの風を運ぶような優れた作品となっている。