- 2026-09-13
- 2026-09-12
様々なジャンルの音楽が淡く混ざり合う、カナダのデュオ Violette & Jordan 最高のデビュー作『Dahlia』
シンガー/ピアニストのヴィオレット・ラピエール(Violette Lapierre)と、ギタリスト/シンガーのジョーダン・オフィサー(Jordan Officer)によるカナダ・ケベックの男女デュオ、ヴィオレット&ジョーダン(Violette & Jordan)のデビュー・アルバム『Dahlia』。
シンガー/ピアニストのヴィオレット・ラピエール(Violette Lapierre)と、ギタリスト/シンガーのジョーダン・オフィサー(Jordan Officer)によるカナダ・ケベックの男女デュオ、ヴィオレット&ジョーダン(Violette & Jordan)のデビュー・アルバム『Dahlia』。
マトゥ・ミランダ(Matu Miranda)の第2作目となるアルバム『Apuama』は、2026年のブラジル音楽(MPB)の最重要トピックとなるだろう。2024年のデビュー作『Matutando』で、ミシェル・ピポキーニャ(Michael Pipoquinha)からレニーニ(Lenine)まで、新旧のスターたちの協力を得て“MPBの正当な後継者”として確信を強く印象に刻んだその実力はやはり伊達ではなかった。
トルコ系サイケデリック・ロック・バンド、Şatellites(シャテライツ)の創設者として知られるマルチ器楽奏者/作曲家イタマール・クルーガー(Itamar Kluger)が、自身のソロ・プロジェクト「Eje Eje」名義のデビュー作『Primordial Soup』をリリースした。洋の東西を問わず幅広い音楽を混合した音楽性は、生命発生の起源「原始のスープ」を意味するアルバム・タイトルに象徴されている。
2019年のブリタニー・ハワード(Brittany Howard)のソロ作『Jaime』が唯一無二の素晴らしい出来栄えだったから、彼女のバンドであるアラバマ・シェイクス(Alabama Shakes)が11年ぶりの新譜『I Must Be Dreaming』をリリースしたと知ってさっそく聴いてみた。結論、今作は同バンドの初期の「ブルース・ロックの新星」というイメージからは随分と進化した、“サイケデリック・ソウルの現在地”と呼べるような作品だった。
ブラジル、リオグランデ・ド・スル州の新鋭ギタリスト/作曲家、グスタヴォ・ヴィリッシモ(Gustavo Virissimo)が、デビュー・アルバム『Reflexos』で瑞々しく素晴らしい創作力を証明してみせた。アルバムにはすべて彼自身の作曲による8曲が収録されており、フレーヴォやバイアォン、サンバといったブラジル音楽のリズム語法と、現代ジャズがごく自然に融合した楽曲群は驚くほどの完成度を誇る。アルバムタイトル「Reflexos(反射)」は、各楽曲が作曲者自身の記憶や人間関係、感情の断片を映し出すという意味が込められている。
日曜の夜に、お酒を飲みながらモニカ・サウマーゾ(Mônica Salmaso)の歌をじっくりと聴く、というのは最高の幸せであり、贅沢なのではないだろうか。彼女の新作『Senhora das Canções - Um Tributo a Elizeth』を聴きながら、まず最初にナイロール・プロヴェータ(Nailor Proveta)のあたたかなクラリネットのトリルが聴こえ、しばらくしてモニカの穏やかで情緒に富んだ歌と、それを追いかけるようなテコ・カルドーゾ(Teco Cardoso)のフルートが耳にゆっくりと流れ込んでくる。あまりに美しい旋律の流れと、モニカの歌を最大限に聴かせつつ細部まで妥協しないアレンジの妙技に心が惹かれる。つづく軽やかなサンバ(2)「Seresteiro」が流れると、込み上げるような想いとともに、冒頭のような多幸感を感じた。
現代ブラジル器楽音楽を代表する4人──、ベース奏者のブルーノ・ミゴット(Bruno Migotto)、ギタリストのヴィニシウス・ゴメス(Vinícius Gomes)、ドラマーのエドゥ・ヒベイロ(Edu Ribeiro)、そしてアコーディオン奏者トニーニョ・フェハグッチ(Toninho Ferragutti)が、ECMレーベル作品を多数録音していることで知られる南フランスのスタジオ「La Buissonne」に集い録音したアルバム『O Tempo das Cores』をリリース。洗練された音楽性のなかに暖かく息づく、ブラジルらしい陽光が散りばめられた傑作だ。
イラン出身のクラリネット奏者シャブナム・パルヴァレシュ(Shabnam Parvaresh)率いる実験的ジャズトリオ、シーン・トリオ(Sheen Trio)の新譜『Transitory』が面白い。イギリス出身のギタリスト、ウラ・マーティン=エリス(Ula Martyn-Ellis)と、ドイツ出身ドラマーのフィリップ・ブック(Philipp Buck)という国籍や文化を超えたトリオで、構造的な側面と即興的な側面を自在に行き来し、不安定な現代社会の混乱と、それでも未来へと向かう希望のエネルギーを象徴するような音楽を奏でる。
スウェーデンのシンガーソングライター、スミエ(Sumie、本名サンドラ・スミエ・ナガノ)の9年ぶりとなるアルバム『Stardust In Valleys』は、ギターと声を中心としたシンプルなサウンドによって、驚くほど豊かな感情を包み込んだ優れた北欧フォーク作品だ。
2019年に中国・上海で結成され、数々のシングルヒットで注目されていたモロッコ出身の男女デュオ、サラ&イスマイル(Sarah & Ismael)が、初のフルレンス・アルバムとなる『MANGA』をリリースした。モロッコのローカルな音楽性を基盤としつつ、ポップスやロック、ソウル、さらには中国などアジアを感じさせる音像も交えた、とてもクオリティの高い作品だ。
ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエヴォ出身のドラマー、スルジャン・イヴァノヴィッチ(Srdjan Ivanovic)が率いるカルテット「Blazin' Quartet」の2026年新譜『Cosmogonie』は、ギリシャ神話の天地創造(Cosmogony)にインスパイアされた、壮大なコンセプト・アルバムだ。
今、これほど面白い一流のジャズトリオは、ほかにないと思う。 トリオ・グランデ(Trio Grande)。ギタリストのギラッド・ヘクセルマン(Gilad Hekselman)、サックス奏者のウィル・ヴィンソン(Will Vinson)、そしてドラマー/ベーシストのネイト・ウッド(Nate Wood)から成るトリオだ。特に、器用にベースを弾きながらドラムスを叩く(ドラムスを叩きながらベースを弾く、の方が正しいかもしれない)ネイト・ウッドの姿を初めて見れば「大道芸か」と見紛うかもしれないが、聴けば聴くほどに彼らが音楽的にも“人並外れた”存在だと気付くはずだ。
2020年代ブラジル・インディーを代表する二人の気鋭シンガーソングライター、ソフィア・シャブラウ(Sophia Chablau)とフェリピ・ヴァケイロ(Felipe Vaqueiro)が出会い意気投合、2025年10月にリリースしたアルバム『Handycam』。MPBやトロピカリアに通ずるサイケロックを基調に、親密で文学的なソングライティングによって恋愛や友情といった身近な感情から、戦争やメディアのあり方までを描いた、要注目の作品となっている。
特注のダブルネック・ギター(フレットレスとフレッテッド)を用い、独自の音楽を表現するイラン出身のマハン・ミララブ(Mahan Mirarab)。彼が初めて名門ACTレーベルより発表した『Unspoken』(2026年)は、そのタイトルが示すように、彼自身に内在する言葉にできない数々の想い──望郷、喪失、沈黙、憤怒、そして希望など──が込められた精神的な深みのある作品だ。