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MPB

  • 2026-06-01
  • 2026-06-01

ジョアン・ジルベルトの末娘ルイーザ、デビュー!『Loulu Gilberto』で垣間見せた”父と娘のリビングの記憶”

おそらく、“ボサノヴァ第二世代・最後の原石”の、淑やかながら輝かしいデビューだ。2004年生まれの21歳、ロウル・ジルベルト(Loulu Gilberto, 本名:Luísa Carolina Gilberto)の初アルバム『Loulu Gilberto』が2026年5月末にリリースされた。ジョアン・ジルベルト(João Gilberto, 1931 - 2019)を父にもつ彼女は、自分が幼い頃にはすでに老齢の域に達していた父との優しい想い出を紡ぐように、丁寧に繊細に、“静寂よりも美しく”ボサノヴァを歌う。

  • 2026-05-27
  • 2026-05-27

モニカ・サウマーゾ、テコ・カルドーソ、ダヴィ・フォンセカが受け継ぐ創作楽器集団ウアクチの遺産

ブラジル音楽には、しばしば「ジャンル」という言葉だけでは捉えきれない作品が現れる。2026年5月にリリースされた『Utupê Oficina Sonora Recebe Mônica Salmaso, Teco Cardoso e Davi Fonseca』も、まさにそのような一作だ。同国を代表する歌手モニカ・サウマーゾ(Mônica Salmaso)がヴォーカルと芸術監督を務め、彼女の長年のコラボレーターとしても知られるベテランのフルート奏者テコ・カルドーソ(Teco Cardoso)が参加し、そして2019年にあまりに完成度の高いデビュー作『Piramba』で世界を驚かせたダヴィ・フォンセカ(Davi Fonseca)がプロデュースするこの作品は、ミナス・ジェライスの近年の音楽文化の中でもとりわけ重要なひとつの源流を辿り、枯れゆこうとするその流れの“遺産”に再び優しく光を浴びせる。

  • 2026-05-15
  • 2026-05-15

素朴で幻夢的な音空間が素敵、ブラジル北東部出身SSW/マルチ奏者ナイロン・イーゴル 初アルバム

ブラジル北東部アラゴアス州マセイオ(Maceió)出身のシンガーソングライター/マルチ奏者のナイロン・イーゴル(Nyron Higor)が2025年にリリースした、初のフルレンス・アルバム『Nyron Higor』。ブラジル北東部の伝統音楽に根差しながら、現代的なベッドルーム・ポップの心地よさに包まれたサウンドを届けてくれる良作だ。

  • 2026-04-08
  • 2026-04-11

ノスタルジックなMPBの隠れた宝石。7弦ギターと歌による心温まる“おばあちゃんの家”

ブラジルのシンガーソングライター、ヴァネッサ・ピニェイロ(Vanessa Pinheiro)と、7弦ギター奏者フェリクス・ジュニオール(Felix Junior)による、心温まる“歌とギター”。ふたりの2025年作『Casa De Vó』は、家族や日常の中にあるささやかな喜びや自然の美しさを描いた、素朴で素敵なアルバムだ。

  • 2026-03-31
  • 2026-03-30

ドイツの歌手セリーヌ・ルドルフが歌う、至悦のブラジル音楽『Amaré』

ドイツのヴォーカリスト、セリーヌ・ルドルフ(Céline Rudolph)が、ブラジルのピアノ奏者エンヒキ・ゴミヂ(Henrique Gomide)とギター奏者ジョアン・ルイス・ノゲイラ(Joao Luis Nogueira) と共演し、ブラジル音楽を歌うヴォーカル・トリオ作『Amaré』。ブラジル音楽の豊かな遺産とジャズの即興性を融合させた作品で、タイトルは“潮”を意味する(a maré)と“愛とは”(amar é)という二つのテーマを象徴する。

  • 2026-02-28
  • 2026-02-28

リオ新世代SSWレオ・ミデア、遠きプーリアから届けるブラジル音楽の鼓動

ブラジル出身、2014年のデビュー後にヨーロッパに移住し、現在はスペインのバルセロナを拠点とするシンガーソングライター、レオ・ミデア(Leo Middea)が6枚目のスタジオ・アルバムとなる『Notícias de Puglia』をリリースした。「プーリアからの便り」のタイトルが示すのは、旅を続ける彼らしい、故郷ブラジルへのサウダーヂの想いだ。

  • 2026-01-17
  • 2026-01-16

ブラジルの豊かな文化に寄り添う叙情的な傑作。マヌー・サッジオーロ『AMA』

ブラジル・サンパウロ州出身のシンガーソングライター、マヌー・サッジオーロ(Manu Saggioro)の2ndアルバム『AMA』。ブラジル・ラジオ文化賞(Rádio Cultura Brasil)を受賞した前作『Clarões』(2019年)に引き続きセウマール(Ceumar)が音楽監督を務め、パーカッションでアントニオ・ロウレイロ(Antonio Loureiro)が全面参加しており、自然やスピリチュアル文化を音楽の基底に据えた、詩情豊かで穏やかな素晴らしいアルバムに仕上がっている。

  • 2026-01-09
  • 2026-01-08

ブラジルの歌姫ホベルタ・サーが20年のキャリアを振り返り、永遠のサンバを歌い継ぐ

デビューから20年のキャリアを祝うプロジェクトとして、ブラジルを代表する歌手ホベルタ・サー(Roberta Sá)が新作『Tudo Que Cantei Sou』をリリースした。ヴィオラォン(ガットギター)とバンドリンのみという最小限の編成ながら充実したサンバのグルーヴを生み出す二人の器楽奏者をバックに、その真っ直ぐに伸びる美しい声で、彼女の音楽的な原点に立ち返ったような魅力的な歌を聴かせてくれる。

  • 2026-01-01
  • 2025-12-31

ジルベルト・ジルの孫娘フロール・ジル16歳、極上のデビュー作『Cinema Love』が素晴らしい

2009年生まれの16歳。ブラジル・リオデジャネイロ出身のシンガーソングライター、フロール・ジル(Flor Gil)のデビュー作『Cinema Love』が素晴らしい。囁くような声で、日常の中にある感情の繊細な揺れを独自の視点で情緒豊かに歌うさまは、すでに成熟の域に達している。彼女の内面にある憧れや愛情といった感情を深く探求したいという欲求が、映画的な手法で表現されたものが今作の本質だ。

  • 2025-12-31
  • 2026-01-02

マリア・ベターニア|バイオグラフィー|ブラジルの運命を詠う「女王蜂」 — その全生涯、芸術、そして神秘

「ブラジル映画祭+ 」で上映される『2月のために~マリア・ベターニアとマンゲイラ〜』。本作は「単なる歌手の伝記ではなく、ブラジルの文化的・精神的な深層を探る旅となる」であるが、マリア・ベターニアがブラジルにおいて如何に評価されてきた歌手かという点は、大きく省略されている。しかしながら、日本での上映となるとマリア・ベターニアのことをあまり知らない方にも観て欲しいし、映画への理解を深めて欲しい。本稿では、彼女のキャリアそのものを紹介する。

  • 2025-12-06
  • 2025-12-06

ブラジル音楽革新の象徴・レニーニ、10年ぶりの新作『EITA』──“聴く映画であり、観るレコード”

レニーニが戻ってきた!切れ味抜群のガットギターと、スウィングしながらラップするように歌う独特のヴォーカル。ブラジル北東部(ノルデスチ)の伝統音楽とロックを融合させた革新的なスタイルは、今も変わらない。1990年代にイノベーターとしての彼を発見した人も、そうでない人も、この独創的な音楽にぜひ触れてみてほしい。

  • 2025-11-13
  • 2025-11-12

MPBを支えるベース奏者による極上のシコ・ブアルキ曲集! ヴァネッサ・モレーノやシコ・ピニェイロ全面参加

1990年代以降、MPBの巨匠シコ・ブアルキ(Chico Buarque, 1944 - )のバンドでベーシストを務めたジョルジ・エルデル(Jorge Hélder)が、シコ・ブアルキの80歳を記念して制作した作品がこの『Samba e Amor: Jorge Helder Toca Chico Buarque』(2024年)だ。そのタイトルのとおりシコ・ブアルキ曲集となっており、ほかの誰よりもシコの音楽を支えてきたジョルジ・エルデルという職人的ベーシストによるアレンジが楽しめるアルバムとなっている。

  • 2025-11-09
  • 2025-11-08

バジ・アサド、同世代のMPBレジェンドたちと創る ブラジル文化の豊かさへの賛歌

2024年にレニーニ(Lenine)とマルコス・スザーノ(Marcos Suzano)によるブラジル音楽史に輝く名盤『魚眼』(1993年)をトリビュートして世間を驚かせたギタリスト/SSWのバジ・アサド(Badi Assad)が、またまた最高のクオリティの新譜『Parte de Tudo Isso』を届けてくれた。MPB1の大物たちも参加した今作は、高名なクラシックギタリストである二人の兄とはまた異なる音楽表現の道を歩む彼女のキャリアの集大成的な作品に仕上がっている。

  • 2025-10-17
  • 2025-12-27

ミナス、ノルデスチ、ビートルズ、ジャズ、そして室内楽にスーパームーンの魔法を塗した驚異的傑作『Luar Total』

ブラジル・ミナスジェライス州のシンガーソングライター、アレシャンドリ・アンドレス(Alexandre Andrés)が待望の新作『Luar Total』をリリースした。ブラジルのポピュラー音楽史に燦然と輝く名盤『Macaxeira Fields』(2012年)を彷彿させる歌を中心としたアルバムで、彼の持ち味であるビートルズ、ブラジル伝統音楽、ジャズ、室内楽といった要素が非常に高いレベルで混ざり合う、間違いのない傑作に仕上がっている。スタジオ収録のフルアルバムとしては2019年リリースの前作『Rã』から6年ぶりということもあり、待ち望んでいたファンも多いだろう。