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lessthanpandaEditor / Webmaster

世界中の面白い音楽を探求する音楽ライター。ブラジル音楽、イスラエルジャズ、フラメンコギターあたりが最近の興味の中心。休日の趣味はガットギター演奏。レッサーパンダが大好き。執筆実績:『月刊ラティーナ』『ミュージック・マガジン』等

  • 2024-10-13
  • 2024-10-12

ブラジル史上最高のギタリスト、ガロートの優美なワルツを現代に伝える傑作。『Valsas de Garoto』

ブラジルの名手、ギタリストのアンドレ・シケイラ(André Siqueira)とアコーディオン奏者のトニーニョ・フェハグッチ(Toninho Ferragutti)が、ブラジル音楽史最高のギタリストと称えられるガロート(Garoto)が遺したワルツ曲集『Valsas de Garoto』をリリースした。その洗練された楽曲、そしてアレンジと演奏は驚くばかりで、クラシカルな優美さと、フランスのミュゼットにも通じる静かに踊りたくなるような抒情性、ショーロの即興に潜む独特のサウダーヂは、どれをとっても一級品だ。

  • 2024-10-11
  • 2024-10-11

ブラジル音楽の粋が浮き立つ。ドイツのSSWドータ・ケール、深く美しい幸福感を醸す新作

ドイツ・ベルリンを拠点とする女性SSWドータ・ケール(Dota Kehr)と、ブラジル北東部のセアラー州フォルタレザ出身の男性SSWダニーロ・ギリェルミ(Danilo Guilherme)による双頭名義(通称 Dan & Dota)のアルバム『De Repente Fortaleza』がリリースされた。ブラジル北東部特有の空気を纏った軽妙で美しいロック/トロピカリアを継承するサイケロックで、主にポルトガル語で歌われる二人のヴォーカルが織りなす世界観が素晴らしいアルバムだ。

  • 2024-10-10
  • 2024-10-09

至福の歌とギター。イスラエルのSSWナルキス・ラアムのデビュー作『אחיזה אחרת』

イスラエルのシンガーソングライター/ギタリストのナルキス・ラアム(Narkis Raam, ヘブライ語表記:נרקיס רעם)のデビュー・アルバム『אחיזה אחרת』がとても良い。穏やかで瑞々しい彼女の歌とギターを中心としつつ、センスよく注意深くアレンジされた控えめなバンドによる彩りが添えられている。

  • 2024-10-08
  • 2024-10-08

6ヵ国で育った気鋭ギタリスト、シュブ・サラン。今も探し続けるアイデンティティー

作曲家/ギタリストのシュブ・サラン(Shubh Saran)が新作EP『Being Anybody Else』をリリースした。インドの外交官の息子として各国を転々として多様な文化の中で育ちグローバルな感覚を身につけると同時に、それはつまり逆説的に彼の帰属意識を希薄にしており、“アイデンティティの探求”はこれまでの彼の作品における重要なテーマでもあった。今回の作品は各メディアから絶賛された前作『Inglish』のささやかな続編とも言える内容で、楽曲のタイトルにも彼がいまだに自己探究の途上でその心を浮き沈みさせている様が垣間見える。

  • 2024-10-06
  • 2024-10-05

ポスト・ボッサの旗手ジョン・ローズボロ、妙々たるアンサンブルで魅せる新譜『Fools』

2021年のデビュー作『Human Nature』が絶賛され、新世代の有力なボサノヴァ・ミュージシャンとして名乗りをあげたNYのSSWジョン・ローズボロ(John Roseboro)が待望の2枚目となるフルアルバム『Fools』をリリース。メイ・シモネスをはじめブルックリンの実力派の友人たちが強力にジョン・ローズボロをサポートしており、前作でも味を出していた程よい塩梅のユルさはそのままに、アンサンブルの魅力も楽しめる極上の一枚となっている。

  • 2024-10-05
  • 2024-10-03

レゲエとボサノヴァに恋するクロード・フォンテーヌ、程よい軽さが心地よい新作『La Mer』

レゲエとボサノヴァを60〜70年代のフレンチポップ・テイストで歌うアメリカ合衆国のシンガーソングライター、クロード・フォンテーヌ(Claude Fontaine)の2ndアルバム『La Mer』がリリースされた。“ホンモノ”を求めるなら他を当たった方が良いが、気軽に夏の終わりのアンニュイをいい感じのムードで包み、なんとなくアダルトで小洒落た時間を過ごしたいなら、この作品をおすすめしたい。

  • 2024-10-04
  • 2024-10-03

「踊れ、誰も見てはいない」──UKジャズ新時代を拓くエズラ・コレクティヴ、音楽の喜びを覚醒させる新譜

2022年リリースのアルバム『Where I'm Meant To Be』で、ジャズバンドとして史上初めてマーキュリー賞を受賞した頃から、UKジャズの中心には常にエズラ・コレクティヴ(Ezra Collective)という存在があった。ジャズバンドがおおよそ到達できるものとは多くの人が思ってもいなかった高みに到達した彼らは、多くの人々に音楽的な豊かさや発見をもたらし、そのポジティヴな音楽は人々を勇気づけた。

  • 2024-10-03
  • 2024-10-01

ブラジルの鬼才ギンガ&ベベ・クラメール。“燻し銀”のデュオ作品

ギタリストのギンガ(Guinga)とアコーディオン奏者のベベ・クラメール(Bebê Kramer)、ブラジルの2人のベテランによるデュオ作『Par Constante』がリリースされた。収録曲はラストのベベ・クラメール作曲の(8)「A casa」を除きすべてギンガの作曲で、彼のファンにとってはお馴染みの名曲たちを実に慈しみ深い2人による演奏で楽しめる極上の作品だ。

  • 2024-09-29
  • 2024-09-27

パキスタン発・稀代のミクスチャージャズバンド Jaubi、新章の始まりを告げる2ndアルバム

パキスタン北西部の都市ラホールを拠点とするバンド、ジャウビー(Jaubi)の音楽には目を見張るものがある。ウルドゥー語で“何でも”を意味する言葉にちなんで名付けられた彼らのモットーは「良い音と良い気分のものを何でも作る」であり、その宣言通りにヒンドゥスターニー古典音楽、スピリチュアルジャズ、ファンク、ヒップホップなどをごちゃ混ぜにする。そんな彼らが、“新章”と呼ぶに相応しい新作『A Sound Heart』でさらに進化した姿を見せた。

  • 2024-09-28
  • 2024-09-28

自然体が魅力のジャズ・クラリネット奏者アナット・コーエン、あまりに美しい新譜『Quartetinho: Bloom』

アナット・コーエン(Anat Cohen)は、僕が毎年そのリリースを超楽しみにしているアーティストのひとりだ。卓越したクラリネット奏者であり、特に“ブラジル音楽”への新しい視点を提供してくれる彼女のアルバムはどれも音楽がどれだけ美しく、楽しいものであるかを完璧に伝えてくれる。それは2024年の彼女の新作『Quartetinho: Bloom』でも変わらなかった。

  • 2024-09-27
  • 2024-09-27

サンパウロの新鋭SSWメリシア、非凡なポップセンスで魅せるデビューEP『Papa Goiaba』

ブラジルの豊かな音楽文化を象徴するような若い才能が現れた。サンパウロを拠点とするシンガーソングライター、メリシア(Mericia)のデビューEP『PAPA GOIABA』は、ブラジルらしさを継承する音と、飾らず自然体のポップ・センスが魅力的な一枚だ。iPhoneの着信音のサンプリングで始まる(1)「É Paixão」からの5曲、わずか13分間の儚く美しい夢のような音楽体験を味わってみよう……

  • 2024-09-26
  • 2024-09-26

エキサイティングな極上サイケ・ソウル。マンチェスターの音楽家ジェイミー・フィンレイ『Sun Dogs』

スピリチュアル・ジャズ、サイケソウル、ファンクなどの要素が混在するイングランド・マンチェスターを拠点とする作曲家/マルチ奏者ジェイミー・フィンレイ(Jamie Finlay)のアルバム『Sun Dogs』。過去10年以上にわたり映画、アート、インタラクティブ・プロジェクトの音楽やサウンドで幅広く活動してきたという彼のデビュー作だ。

  • 2024-09-24
  • 2024-09-24

サン・アンドレウ出身マガリ・ダッチラ、瑞々しい才能が詰め込まれた新譜『La salut i la bellesa』

世界的に有名なスペイン・バルセロナの青少年ジャズバンド、サン・アンドレウ・ジャズバンド出身のベーシスト/歌手/作曲家マガリ・ダッチラ(Magalí Datzira)が新作『La salut i la bellesa』をリリースした。アルバムは全17曲40分というボリュームで、その中にはジャズやエレクトロ・ポップ、ヒップホップ、地中海の伝統音楽など様々なスタイルが宝石箱のように詰め込まれ、彼女の溢れ出る瑞々しい才能をさりげなく、誇らしげに示している。

  • 2024-09-23
  • 2024-09-23

トランペットに新時代到来! イブラヒム・マアルーフが導くジャズ・ルネッサンス

フランスのジャズ・トランペットのスーパースター、イブラヒム・マアルーフ(Ibrahim Maalouf)が16枚目のスタジオ・アルバム『Trumpets of Michel-Ange』をリリースした。編集やオーバーダブを用いず、大人数のバンドでライヴ録音された作品で、凄まじいほどの熱を帯びる。“ミケランジェロのトランペット”というタイトルは単にアルバムのタイトルというだけでなく、半世紀以上前に彼の父親が発明し、彼のトレードマークでもあるユニークな四分音トランペットを世界に広め、誰もが楽しめるようにすることを最終目標とする、大規模な教育プロジェクトの名称(T.O.M.A.)でもある。