コバルトブルーの海のような美しい歌声に魅了される。カーボベルデ新世代の歌手クレミルダ・メディーナ

Cremilda Medina - Nova Aurora

カーボベルデの歌手クレミルダ・メディーナ『Nova Aurora』

現在のカーボベルデの伝統的なポピュラー音楽シーンで最も人気のある歌手のひとり、クレミルダ・メディーナ(Cremilda Medina) の2023年新譜『Nova Aurora』。2019年にユネスコ無形文化遺産に登録された伝統歌謡「モルナ」の新世代の旗手としての真価が発揮された素晴らしいアルバムだ。

アルバムにはカーボベルデの様々な作曲家の提供による楽曲が収められている。哀愁のモルナ(1)「Alô, Alô, São Vicente」、アップテンポのコラデイラ(2)「Saltá Parede」などアコースティック楽器を中心にカーボベルデ音楽の王道を行くサウンドで、時折ポルトガルのファド、ブラジルのショーロやサンバ、キューバのサルサといった要素を感じさせるものも。
もちろん、その中で主役となるのはクレミルダ・メディーナの声だ。カーボベルデには美しい声を持った女性歌手が数多くいるが、クレミルダ・メディーナの声も感動的なほどに素晴らしく、ナチュラルかつ悠久の深みを湛える。

ソダーデ(郷愁)の漂うモルナ(9)「Serenata」

今作は彼女のファーストアルバムがリリースされた直後の2018年から制作が開始されたという。
(5)「Nôs Morna」は2018年にシングルでリリースされた曲で、カーボベルデを代表するシンガーソングライター、ティト・パリス(Tito Paris)との共演。しっとりと歌い上げるデュエットは極上の滋味深さで、モルナという音楽の真髄を見るようだ。

続く(6)「Nóba dês Badjo」はどことなく“スーパーマリオ”感のあるイントロが楽しい、カリビアン風味の曲。今作はしっとりスローテンポの曲と、ダンサブルなアップテンポの曲のバランスも良い。

カリビアン風味の(6)「Nóba dês Badjo」

カヴァキーニョ(4弦の弦楽器)やギター、ピアノ、パーカッションを中心としたアンサンブルは小気味よく、収録の13曲どれもが素晴らしいクオリティ。メロディやコード進行も美しくエモい。
そして何よりも彼女の歌声はいつまでも聴いていたくなるほど、どこか幸せな懐かしさを感じさせてくれる。

セザリア・エヴォラの故郷ミンデロ生まれの歌姫、Cremilda Medina

クレミルダ・メディーナはカーボベルデ共和国サン・ヴィセンテ島のミンデロで生まれ育った。ミンデロは首都プライアに次ぐ同国第二の都市で、世界的モルナ歌手セザリア・エヴォラ(Cesária Évora, 1941 – 2011)が生まれた街だ。
クレミルダもセザリアと同じようにモルナに魅せられ、9歳の頃には人前で歌い始め、14歳でパーティーや社交イベントを活気づける「Rytmos」と呼ばれる青少年音楽グループのメンバーとなった。

19歳のときに「Noites de Mindelo」というバンドに加入。テレビの音楽番組「Talentu Strela」のファイナリストになったことで彼女の名前が一般に知られるようになった。その後地元の数々のショーなどで受賞し、2014年12月にポルトガルで国際デビューを果たしている。

2017年末にファーストアルバム『Folclore』をリリース。このアルバムは米国でワールドミュージック賞を受賞するなど高く評価された。今作『Nova Aurora』は第二作目。

ブラジル音楽の影響も色濃い(2)「Saltá Parede」

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