NYのアフロ・キューバン・ジャズを牽引するザッカイ・カーティスが描き出す、現代の“Cubop”

Zaccai Curtis - Cubop Lives!

ザッカイ・カーティス新譜『Cubop Lives!』

米国のラテンジャズ・ピアニストのザッカイ・カーティス(Zaccai Curtis)のソロ名義での新作『Cubop Lives!』は、タイトルの通りキューバ音楽とビバップの融合した“キューバップ”を表現する心踊るジャズだ。ラテンの名曲からジャズ・スタンダード、そして彼のオリジナルまで17曲を収録。アフロ・キューバン・ジャズへの溢れんばかりの愛が今にも爆発しそうな圧巻の演奏が素晴らしい。

今回のバンドは5人編成で、ピアノのザッカイの他、長年活動を共にする実弟でベーシストのルケス・カーティス(Luques Curtis)、そして3人のパーカッショニストという構成。

アルバムはザッカイのオリジナル2曲で幕を開き、セロニアス・モンク(Thelonious Monk, 1917 – 1982)の(3)「52nd Street Theme」へと続く。ここではワンコードの上で繰り出される熱を帯びたザッカイの流麗なソロが最高だ。

(2)「Black Rice」

このアルバムの中で、フランク・チャーチル(Frank Churchill, 1901 – 1942)の(7)「Someday My Prince Will Come」(いつか王子様が)は異色の選曲かもしれない。ギロの音色がなんだか能天気で、永遠に王子様は来なさそうである。

ザッカイのソロで演奏される(10)「Maria Cervantes」から(13)「Rumbambola」まで、1940年代のニューヨークで絶大な人気を誇ったプエルトリコの作曲家ノロ・モラレス(Noro Morales, 1912 – 1964)の楽曲が続く。

いささか懐古主義的なアルバムかもしれないが、この作品には長い年月の間ずっと、人々の心を躍らせてきたラテン・ジャズが今もずっと愛され続けている理由が凝縮されているように思う。
彼の演奏にはアフロ・キューバン・ジャズのレジェンドであるマチート(Machito, 1912 – 1984)や、NYにキューバの音楽を持ち込んだマリオ・バウサ(Mario Bauza, 1911 – 1993)、ビバップを築いたディジー・ガレスピー(Dizzy Gillispie, 1917 – 1993)、そしてキューバ出身の伝説的パーカッショニストであるチャノ・ポソ(Chano Pozo, 1915 – 1948)らへの大いなる敬意が込められている。

アルバムのティーザー動画

Zaccai Curtis 略歴

ザッカイ・カーティスは1981年アメリカ合衆国生まれ。プエルトリコ人とアフリカ系アメリカ人の血を引いている。コネチカット州ハートフォードにあるジャッキー・マクリーンのアーティスト・コレクティブ・スクールで音楽を学んだ。

2歳年下の弟でベーシストのルケス・カーティスらとともに2000年にラテンジャズバンド「Insight」を結成。チューチョ・バルデス(Chucho Valdés)の招待によりハバナ・ジャズ・フェスティバルでも演奏をした。
2005年にニューイングランド音楽院を卒業した後、活動の場をニューヨークに移し、主に「カーティス・ブラザーズ」バンドでアメリカにおけるラテンジャズのシーンを牽引している。

Zaccai Curtis – piano
Luques Curtis – bass
Willie Martinez – timbales
Camilo Molina – congas, pandera
Reinaldo De Jesus – bongos, percussion

Zaccai Curtis - Cubop Lives!
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