チェロ弾き語りで名を馳せたSSWアナ・カルラ・マサ、新たなラテン・ルーツの魅力が香る新作『Caribe』

Ana Carla Maza - caribe

ルーツと学びを最高の形でMIXした才媛アナ・カルラ・マサ新作

柔らかな感性と卓越した技術のチェロ弾き語りで多くのリスナーを魅了した女性SSW、アナ・カルラ・マサ(Ana Carla Maza)。セルフプロデュースの新譜『Caribe』は驚いたことに、最大時にはセクステット編成で一気に“ラテンジャズ”の作風を前面に押し出してきた作品となった。新曲を中心に、(5)「Astor Piazzola」や(6)「Bahia」などソロで演じた過去作からの楽曲も新たなアレンジが躍動。これまで彼女が見せてこなかった新たな魅力を堪能できるアルバムに仕上がっている。

メンバーにはピアノのノーマン・ペプロウ(Norman Peplow)、パーカッション奏者ルイス・ゲラ(Luis Guerra)、サックス奏者アーヴィング・アカオ(Irving Acao)のキューバ勢に加え、フランスのトロンボーン奏者フィデル・フルネロン(Fidel Fourneyron)、そしてグアドループ出身のドラムス奏者アーノウ・ドルメン(Arnaud Dolmen)が参加。さらにフランスの気鋭アコーディオン奏者ノエ・クレール(Noé Clerc)も(11)「Dos Enamorados」のみだが参加している。

(2)「Caribe」

先ほど“ラテンジャズ”の作風が強いと書いたばかりだが、アルバムを聴き進めるとキューバ出身の彼女が故郷の音楽を再現しているだけではないことに気づいていく。タンゴ、クンビア、サンバ、ボサノヴァといった南米音楽からの幅広い影響を少しずつ取り入れ、そして彼女最大の強みであるクラシック音楽で培った圧倒的な表現力と掛け合わせているのだ。チェロの演奏だけでなく、ヴォーカルも伸び伸びと自由。

(12)「Tropical」

一般的に「ベース」と呼ばれる楽器が今作にはいないが、その役割はチェロの低音が担う。女声ヴォーカルとも相まって音の重心は高めなはずなのだが、チェロのふくよかな音色はサウンド全体にある種の重厚感をもたらし、軽さや物足りなさは全く感じさせない。

Ana Carla Maza – caribe プロフィール

アナ・カルラ・マサはキューバ・ハバナに生まれ、父親はジャズ作曲家兼器楽奏者、母親は児童合唱団の指導者という家庭に育った。
5歳の頃からミリアム・バルデス(チューチョ・バルデスの妹)に師事しピアノを習い始め、8歳の頃に自身の将来を決定づけるチェロに出会ったという。12 歳のときに家族とともにキューバからスペインに移住し、16歳でチェロを手に音楽家としての憧れの目的地であるフランス・パリ音楽院に入学。音楽家としての道を定め、2020年に最初のアルバム『La Flor』を、2022年には2nd『Bahia』をリリースし、以降年間のおよそ半分をツアーで演奏する多忙な日々を送っている。

Ana Carla Maza – vocal, cello
Norman Peplow – piano, keyboards
Arnaud Dolmen – drums
Luis Guerra – percussions
Irving Acao – saxophone, flute
Fidel Fourneyron – trombone
Noé Clerc – accordion

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