チュニジア出身のヴィオラ・ダモーレ奏者ジャッセル・ハジ・ユーセフ、フランスの古城で紡ぐ瞑想的な音楽

Jasser Haj Youssef - Reminiscence

Jasser Haj Youssef『Reminiscence』

チュニジア出身のヴィオラ・ダモーレ奏者ジャッセル・ハジ・ユーセフ(Jasser Haj Youssef)の新作『Reminiscence』は、フランスの世界遺産シャンボール城の広間で収録した深淵な響きが神秘的で美しい作品だ。収録曲のほとんどはヴィオラ・ダモーレの独奏だが、数曲でガエル・カドー(Gaël Cadoux)がローズピアノを演奏しており、古楽器と電気楽器の対比も面白い。

ヴィオラ・ダモーレ(viola d’amore)はバロック時代後半の17世紀末から18世紀前半に広く演奏された擦弦楽器で、7本の演奏弦と、さらに7本の共鳴弦をもつ。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの父であるレオポルト・モーツァルトが自著の中でこの楽器について「夜の静けさには、特に魅力的な音だ」と記しているといい、その深みのある余韻はヴァイオリンにはない古楽器ならではの魅力がある。ヴィオラ・ダモーレは直訳すると「愛のヴィオラ」だが、その語源は「ムーア人[※]のヴィオラ」だという説もある。

※ムーア人…中世のマグレブ(北西アフリカ)、イベリア半島、シチリア、マルタに住んでいたイスラム教徒の人々を広くさす呼称。ヨーロッパにウードやリュート(弦楽器)、ヴィオラ(擦弦楽器)を伝えた。

アルバム収録曲はJ.S.バッハの(8)「Adagio (Violin Sonata No. 1, Bwv 1001)」(無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番)を除くすべてをジャッセル・ハジ・ユーセフが作曲。今作の制作にあたって彼はシャンボール城で数か月を過ごし、制約を受けることなくヴィオラ・ダモーレの表現を探求したという。

Jasser Haj Youssef プロフィール

ジャッセル・ハジ・ユーセフは1980年にチュニジアのスースに生まれたヴァイオリニスト/作曲家。父ハッシン・ハジ・ユーセフ(Hassine Haj Youssef)は民族音楽学者で、ジャッセルも幼少時から父の手ほどきでマカム(古典音楽)や即興演奏を学んだ。

その後スースの音楽学校で西洋のクラシック音楽を学び、14歳の頃からプロとして活動を開始しチュニジア国内の多数のミュージシャンや、交響楽団とも共演し名声を得ていった。

2003年にフランスに渡ると、米国の声楽家バーバラ・ヘンドリックス(Barbara Hendricks)やフランスのヴァイオリン奏者ディディエ・ロックウッド(Didier Lockwood)、セネガルのSSWユッスー・ンドゥール(Youssou N’Dour)らとの共演など活躍の舞台は世界へ。2012年に自身の初のアルバム『Sira』で北アフリカの古典音楽とジャズの融合を目指し、さらに2015年の2nd『Resonance』ではヴィオラ・ダモーレでの表現に情熱を傾けた。

Jasser Haj Youssef – viola d’amour
Gaël Cadoux – Rhodes (1, 5, 6, 7)
Sadok B. Haj Youssef – vocals (6)

Lama Gyurme – vocals (7)

Jasser Haj Youssef - Reminiscence
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