ウクライナの名手ディミトリ・ナイディッチ、ショパンに捧げる詩情溢れる美しいジャズ

Dimitri Naïditch - Chopin Sensations

ディミトリ・ナイディッチ新作はショパンに捧げる美しいジャズ

クラシックとジャズの両分野で活躍するウクライナを代表するピアニスト、ディミトリ・ナイディッチ(Dimitri Naïditch)の最新作『Chopin Sensations』はピアノトリオ編成でショパンに捧げる甘美で叙情的なジャズだ。収録曲はラストの(12)「Valses, Op. 64: n°2 en do dièse mineur」(ワルツ第7番 嬰ハ短調 作品64-2)を除き他はすべてディミトリ・ナイディッチの作曲クレジットとなっているが、随所にショパンのフレーズも引用され、ため息の零れるような美しい音世界を作り上げてゆく。

(5)「Nocturne à peine」

「雨だれ」をモチーフとしつつ、ボレロのリズムを組み合わせたユニークな(6)「Prélude en boléro bémo lmajeur」、「葬送行進曲」にインスパイアされた(7)「Improvisation sur la marche funèbre」、「別れの曲」をモチーフとした(9)「Pleine étude」など元ネタがはっきりとわかる曲も多く、ショパンの名曲に慣れ親しんだ人ほど楽しめるような作品だ。

ともに演奏するメンバーはベースのジル・ナチュレル(Gilles Naturel)とドラムスのルクミル・ペレス(Lukmil Perez)で、ともにフランスの中堅。ディミトリ・ナイディッチの創造性が主体だが、この二人の的確なサポートがアルバムの完成度をより高めている。

(9)「Pleine étude」

ラストの(12)「Valses, Op. 64: n°2 en do dièse mineur」はショパンが晩年に残した有名なワルツ。ここでは即興をほぼ入れずに、ディミトリの独奏でショパンの作曲技法の集大成ともいえる美しいスコアを表現力豊かに奏でている。

Dimitri Naïditch 略歴

ディミトリ・ナイディッチは科学者である父とピアノ教師の母のもと、1963年にウクライナの首都キーウ(キエフ)で生まれた。幼少期よりピアノを演奏し、故郷のさまざまなコンサートホールで演奏。1988年から翌年にかけて、リトアニアで開催された全国ピアノコンクールとポーランドで開催された国際コンクールで優勝し、その後キーウの高等音楽学校とモスクワのグネーシン音楽大学で学び技術を完成させている。

1991年にフランスに渡りクラシックとジャズのコンサート活動を続け、1994年からはリヨン国立高等音楽院で教鞭を取るようになった。その後もフランスを拠点にソロ・コンサートから交響楽団との共演まで幅広く演奏活動を行っている。また、2007年から2009年にかけて、彼はウクライナの伝承音楽に焦点をあてた Les Chants d’Ukraine, Davnina と Trio Kiev というプロジェクトで各地でコンサートを行った。

バッハをモチーフにした『Bach Up』(2019年)や、フランツ・リストを取り上げた『Soliszt』(2022年)などクラシックのジャズアップ作品も多く発表している。

Dimitri Naïditch – piano
Gilles Naturel – contrabass
Lukmil Perez – drums

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