シンプルながら深く心に刺さるインディ・フォーク。ナッシュビルのSSWエリン・レイ新譜

Erin Rae - Lighten Up

アメリカーナ新世代SSW、エリン・レイの新譜『Lighten Up』

アメリカーナ・ミュージック・アワードの新人部門にノミネートされるなど大いに注目されたソロデビュー作『Putting On Airs』から3年、アメリカ合衆国テネシー州ナッシュビルのSSWエリン・レイ(Erin Rae)の待望の2ndアルバム『Lighten Up』がリリースされた。ギターを手に歌い、素朴なアメリカーナを体現する彼女の音楽は今回も純朴で親しみやすく、多くの人の心に響くことだろう。

はっきり言って、音楽自体の構成に真新しさはない。シンプルながら万人に受けるコード進行に、特別に劇的に上手いわけでもないヴォーカルとギター、サウンド面でも何か新しいことを試みているわけではない。際立つ部分があるわけではないが、そうした基本的なところを100点満点で抑えながら、少しの反骨心を感じさせる歌詞や、どことなく厭世的で気怠げながらも、等身大の自身を晒しながら必死に生きようとする姿といった+αのちょっとした部分がリスナーの心にピンポイントで深く突き刺さるタイプのアーティストなのだと思う。日常に潜むあらゆる言語化できない想いを“音楽”に託し分かりやすく表現する芸術家、それが彼女の一番の魅力なのだ。

ケヴィン・モービー(Kevin Morby)をフィーチュアした(2)「Can’t See Stars」

アコースティック・ギターやエレクトリック・ギターを伴奏の中心にしつつ、曲によってはペダルスティール・ギターやバンジョー、ピアノやヴィブラフォンなども取り込み多彩なサウンドを展開。この音は1970年代から現在までのトレンドを網羅するようでもあり、特にパンデミック中により多くの音楽の影響を取り込むことに成功した彼女の成長をも表している。

時代遅れの女性像を捨て、現代の女性たちの姿を見てほしいと歌う(7)「Modern Woman」。
MVにはブリタニー・ハワード(Brittany Howard)なども客演している。

Erin Rae – vocals, guitar
Jonathan Wilson – drums, percussion, guitars, lap steel, banjo, Wurlitzer, Mellotron, harmonium, harpsichord, backing vocals
Grant Milliken – vibraphone
Drew Erickson – piano, organ, Solina, harpsichord, clavinet, vox organ, Wurlitzer, synths, string arrangements
Jake Blanton – bass
Spencer Cullum – pedal steel
Kevin Morby – vocals
Meg Duffy – electric guitar
Ny Oh – backing vocals
Gus Seyffert – bowed bass
Andrew Bulbrook – violin
Wynton Grant – violin
Zach Dellinger – viola
Jacob Braun – cello

Erin Rae - Lighten Up
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