『ジャコ・パストリアスの肖像』におけるハービー・ハンコックの演奏は異次元レベル

Jaco Pastorius

ジャコ・パストリアスの肖像

『ジャコ・パストリアスの肖像(原題:Jaco Pastorius)』(1976年)は、間違いなく私がもっとも影響を受けた音楽作品のひとつだ。
20代の始めでこのアルバムに出会って、それから20年近く経った今でもこの音を聴くと興奮する。
ベーシストの必修科目にもなっている名演(1)「Donna Lee」、(5)「Portrait of Tracy(トレイシーの肖像)」ももちろん素晴らしい(私も一時期バンドでベースをやっていて、美しいハーモニクスを巧みに組み合わせ作曲された「トレイシーの肖像」には強く憧れていた)が、別格は(8)「(Used to Be A) Cha-Cha」だ。

「(Used to Be A) Cha-Cha」はジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)のベース、ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)のピアノがとにかく異次元レベルで凄い。ヒューバート・ロウズ(Hubert Laws)のピッコロが受け持つメロディもかっこいいし、テーマのあとのジャコのベースソロも最高なのだけど、個人的にこの曲で際立っているのはハービー・ハンコックのピアノだ。和音感覚、リズムなどもう“センス”としか言いようがないそのプレイは、自身のソロパートはもちろん、ジャコやヒューバートのソロのバッキングに回っていても主役になり、どの瞬間も恐ろしいほどにかっこいい。特に堪らないのは6:21の左手の「ドーン!!!!」なのだけど、分かっていただける方はいるだろうか…。

ボーナス・トラックの(10)「(Used to be a) Cha-Cha」はヒューバート・ロウズがピッコロをフルートに持ち替えて吹いていて、この聴き比べも最高なんだよね。ヒューバートのソロでのピアノのバッキングからピアノソロへの流れはとにかく素晴らしい。

以上、自分のリーダー作より他人のアルバムにゲスト参加したときのハービー・ハンコックの方がはっちゃけていて良いよね、という話でした。

フレットレスの天才ベーシスト、ジャコ・パストリアスのソロ作『ジャコ・パストリアスの肖像』より、(8)「(Used to be a) Cha-Cha」
Jaco Pastorius
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