イスラエル発、驚愕のライヴルーピング・パフォーマー Eldad Zitrin

Eldad Zitrin - Three Old Words

エルダッド・ツィトリン、驚異のワンマンバンド

イスラエルのSSW/マルチ奏者エルダッド・ツィトリン(Eldad Zitrin)は様々な楽器をルーパーを用いてリアルタイムで多重録音し、音楽を築き上げているスタイルで知られるワンマンバンド”だ。
彼の2018年のEP『Three Old Words』は、エルダッド・ツィトリンが一人で作り上げていくハイセンスなサウンドと、個性的なゲストとの交錯による化学反応がとても面白い作品なので、動画と併せて紹介したい。

ビヨンセ(Beyoncé)の曲のカヴァーである(2)「Halo」はボリウッドで活躍し現在はイスラエルを活動の拠点に移したシンガー、リオラ・イザーク(Liora Isaac)と、インド音楽に強く影響を受けシタールのような共鳴弦を多数張った特注のギターを演奏するオフェル・ミズラヒ(Ofer Mizrahi)が参加。PCM音源によるタブラの音が鳴り響くなか、リオラの古典インド音楽に則った歌唱により、原曲のイメージからはとても想像のつかない驚異的オリエンタル・ポップスが繰り広げられる。

ライヴルーピングで作られていくビヨンセのカヴァー(2)「Halo」。
歌手リオラ・イザークとギター/トランペットのオフェル・ミズラヒが参加。

(3)「Three Old Words」は小気味の良い6拍子のリズムを持つ楽曲で、フォルクスワーゲン「Golf」のプロモーションとしてEP収録とは別バージョンの録音でのミュージックヴィデオも制作されている。

(3)「Three Old Words」のフォルクスワーゲン社とのコラボ動画(EP収録の音源とは異なる)。
運転している女性はゲスト参加のチェロ奏者、ノア・アヤリ(Noa Ayali)。

(4)「Rather Be」は英国のエレクトロユニット、クリーン・バンディット(Clean Bandit)のカヴァー。これも原曲から大きく印象は変わっていて、随所に現れる中東的フレーズが印象的だ。

クリーン・バンディットのカヴァー(4)「Rather Be」。

エルダッド・ツィトリン 略歴

エルダッド・ツィトリン(Eldad Zitrin)は1980年、イスラエルのテルアビブ生まれ、2児の父親。
5歳から10年間クラシックピアノを学んだあと、ジャズに触れサックスを学び始める。数々の一流ジャズミュージシャンを輩出する名門テルマ・イェリン音楽院を卒業後、ブラスバンドを結成し作曲やサックスを担当していた。

イスラエル空軍での兵役後、しばらくはイダン・レイチェル(Idan Raichel)、シュロミ・シャバット(Shlomi Shabat)、アルカージー・ドゥーチン(Arkadi Duchin)、ミカ・カルニ(Mika Karni)、アリク・アインシュタイン(Arik Einstein)といった著名ミュージシャンの録音に参加。
2011年に歌手/女優のイリット・デケル(Irit Dekel)との出会いが大きな転機となり、ジャズやクラシック、民族音楽、エレクトロニカといった要素を取り入れながら創った彼女との独創的なデュオアルバム『Last of Songs』をリリース。ビリー・ホリデイ、カルメン・マクレー、A.C.ジョビンなどの楽曲を斬新に解釈し大きな反響を得た(このアルバムについては下記記事でも詳しく紹介している)。

ソロ名義ではこれまでにフルアルバム2枚──“ワンマンバンド”による『Avir Leod Shanim』と、ソロピアノ作『A Train View』もリリースしている。

(1)「All Too Much」はチェリストのノア・アヤリ(Noa Ayali)との共演。

Eldad Zitrin – vocals, all instruments

except :
Noa Ayali – cello (1)
Ofer Mizrahi – guitar, trumpet (3)
Liora Isaac – vocal (3)
Adam Ben Ezra – bass (6)

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