“コロナ禍”の過ごし方を問う、カタルーニャの異色ピアニスト Clara Peya ソロピアノ新譜

Clara Peya - Estat de larva

異能のピアニスト、クララ・ペーヤ

スペイン・バルセロナの個性派ピアニスト/作曲家のクララ・ペーヤ(Clara Peya)の新譜『Estat de larva』はソロピアノによる内省的な作品だが、ピアノの鍵盤を弾いて出る音のみならず、ペダルの音や周辺の環境音(通常は“ノイズ”とされる音の数々…)も克明に記録されたユニークな録音手法が取られている。

クララ・ペーヤはアルバムのリリースにあわせ、こんなメッセージを発している。

「幼虫の状態」
それは成熟した人生、新しい人生、新しいやり方に向き合うためのエネルギーを蓄える回想の段階。ほとんどの幼虫は捕食者から守られており、隔離されることでその後の自由な動きを生み出すことができます。
幼虫は花になる前の蕾のようなものです。
私たちは幼虫になりましたか? それともただ越冬しただけですか?

https://clarapeya.bandcamp.com/

2020年に起こった社会の急激な変化の中で、この作品は彼女なりのポジティブなメッセージと受け取れるだろう。
アルバムに収録された全16曲のタイトルには全て、2文字〜4文字の驚くほどシンプルな単語が曲名として並べられている。

アルバムは簡素な作曲によるピアノ演奏がノンストップ(少なくともそのように聴こえる)で進行する。短調の曲が多く物憂げな印象が強いが、最後の(16)「Re」を弾き終えた彼女がピアノの鍵盤蓋を閉じ、立ち去る音も記録されているなど、展開は驚くほどドラマティックだ。

クララ・ペーヤ(Clara Peya)の新譜『Estat de larva』の紹介動画。

クララ・ペーヤは近年のスペインに登場した最も独創的なアーティストとして評価されている。
カタルーニャ高等音楽院(ESMUC)のクラシックピアノ科を2007年に卒業し、バルセロナの Taller de músics でジャズを学んだ。
これまでに8枚のアルバムをリリースしており、2018年作『Estómac』はカタルーニャ語圏の月刊音楽誌、Enderrock Magazine によって年間最優秀アルバム賞を受賞している。

Clara Peya – piano

Clara Peya - Estat de larva
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