日本とも縁の深いスーパー・ブラジリアン・ユニット“Shinkansen(新幹線)”始動

Shinkansen

モレレンバウム、リミーニャ、トニーニョ、スザーノによるスーパーバンド

幾度となく来日し、日本との縁も深いブラジルの重鎮ミュージシャンたち──ジャキス・モレレンバウム(Jaques Morelenbaum, cello)、リミーニャ(Liminha, b)、トニーニョ・オルタ(Toninho Horta, g)、マルコス・スザーノ(Marcos Suzano, perc)によるスーパーユニット、Shinkansen(新幹線)始動!

日本での思い出をアルバム・コンセプトにした2020年作『Shinkansen』は、モダン・パンデイロの教祖マルコス・スザーノが刻むリズムの上でトニーニョ・オルタのギターが疾走する軽快なブラジリアン・ジャズ(1)「Shinkansen」で幕を開く。これはトニーニョが来日公演時に度々演奏していた曲で、彼の2012年作『Minas Tokyo』からの再演になる。

今作の収録バージョンではないが、トニーニョ・オルタの2012年作『Minas Tokyo』収録の「Shinkansen」。
前半はスキャットで歌われるが、1:30から唐突に「シンカンセン〜、トキヨー、ナゴヤー、キヨト、オーサカ、ハカタ、フクオカ…」と歌詞がつく。

(2)「Makoto」はトロピカリアを代表するバンド、ムタンチス(Os Mutantes)のベーシストだったリミーニャの作曲。ゲストになんと米国のサクソフォン奏者ブランフォード・マルサリスが参加しており、清涼感溢れるソロを披露している。

続くジャキス・モレレンバウム作曲の(3)「Firu Haikai」には坂本龍一がゲスト参加し禅問答のようなピアノを弾く。
長年A.C.ジョビンという偉大な音楽家を支えてきた稀代のチェリスト、ジャキス・モレレンバウムの温かみのある音色は健在で、この曲でも控えめながらツボを抑えた素晴らしいアルコが聴ける。

アルバムは全体的にサンバに根ざしたスムースジャズといった印象で、新しさこそないものの、ここ半世紀近くにおけるブラジル音楽の発展において言葉に表せないほど大きな影響を与えてきた4人の音楽家のそれぞれの熟練の演奏をじっくり聴き浸るもよし、気軽に上質なBGMとして空間に満たすもよし、そんな“絶対外さない”作品になっている。

日本が誇る高速鉄道“新幹線”

新幹線は、世界で初めて開業(1964年)した高速鉄道(=HSR。200km/h程度以上の速度で走行できる鉄道)で、日本以外の国々でも日本語をローマ字表記に変換した「Shinkansen」と表記し呼称される日本独自の規格だ。これに対する概念が「在来線」と呼ばれる最高速度160km/h以下で走行する鉄道である。
世界的にもその技術力と安全性は高く評価されており、2007年には新幹線の技術を輸出した初の事例となる台湾高速鉄道が台湾で営業を開始した。

どうやら他の東南アジアなどの地域では中国版の高速鉄道(中国鉄路高速)にコスト面などで劣勢を強いられ受注に繋がっていないようだが、なんとか頑張ってもらいたいものである。

ちなみに本作『Shinkansen』のジャケットに描かれたレトロ感のある何かは、新幹線どころか在来線ですらなく、どう見ても電化される前の蒸気機関車(通称:汽車)で、そこははかとなくサウダーヂを感じさせる。

Shinkansen :
Jaques Morelenbaum – cello
Liminha – bass
Toninho Horta – guitar
Marcos Suzano – percussion

Guests :
Branford Marsalis – soprano saxophone (2)
Ryuichi Sakamoto – piano (3)
Jessé Sadoc – trumpet, flugelhorn (4, 5)

2020.09.05追記:
このジャケは意図的なものとのこと!
音楽情報誌『ラティーナ』Web版にて、トニーニョ・オルタへのインタビューとともに謎多き今作が紐解かれています。

Shinkansen
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