神童と呼ばれた3人による爽快なブラジリアン・グルーヴ! New Brazilian Trio デビュー作

Erik Escobar - New Brazilian Trio

鍵盤奏者エリック・エスコバル新譜『New Brazilian Trio』

鍵盤奏者のエリック・エスコバル(Erik Escobar)、ベーシストのミシェル・ピポキーニャ(Michael Pipoquinha)、そしてドラマーのミゲル・アシス(Miguel Assis)のトリオによる2022年作『New Brazilian Trio』。3人それぞれが10代前半から頭角を表したという“元・神童”バンドで聴かせてくれる音楽は、ブラジルのリズムと少し懐かしい感じのする米国のフュージョンが融合したサウンドだ。

(1)「Arcanjo Miguel」は聖書に登場する“大天使ミカエル”のポルトガル語訳だが、ここではおそらくバンドのドラマーとベーシストの名前(二人とも、ミカエルを共通の由来とする名前である)との洒落になっている。ミゲル・アシスが刻むタイトなリズム、そしてミシェル・ピポキーニャのグルーヴ感満載のベースの上で自由自在に舞うエレクトリック・ピアノの解放感は格別で、ブラジリアン・フュージョンのレジェンドであるアジムス(Azymuth)の爽やかさを彷彿させる。

(4)「Maraca-Funk」はブラジルの伝統的なリズムであるマラカトゥとファンクの融合をコンセプトとする。演奏はまるでハービー・ハンコック率いるヘッド・ハンターズのようで非常に完成度が高い。

チック・コリア(Chick Corea)の名を冠した(3)「Chick」、ミシェル・ペトルチアーニ(Michel Petrucciani)に捧げられた高速ジャズサンバ(5)「Samba for Petrucciani」も素晴らしい。

(5)「Samba for Petrucciani」
(3)「Chick」の演奏動画(ドラマーとベーシストは今作収録とは別編成)。

“元・神童”たちのブラジリアン・グルーヴ・トリオ

今作のリーダー/鍵盤奏者であり、全曲を作曲したエリック・エスコバルは1979年生まれ。10歳で演奏を始め、11歳でプロとしてのキャリアをスタートさせた。90年代には父親のバンドを中心に活動したが、彼が自身の最初のアルバムをリリースしたのは音楽活動開始から30年後の2020年のセルフタイトル作『Erik Escobar』だった。
この作品でもウェザー・リポート(Weather Report)へのトリビュートを捧げるなど、彼の影響源はブラジル音楽だけでなく米国のジャズやフュージョンに重みがある。

ベースのミシェル・ピポキーニャは1996年生まれ。祖父や父の指導を受けベースを始めたのは10歳の頃からのようだが、そこから信じられないほどのセンスで上達をみせ、わずか1年後、11歳で公の場で演奏を開始。どこに行っても称賛を集めたという。
影響を受けたベーシストとしてはジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)、ヴィクター・ウッテン(Victor Wooten)、アルトゥール・マイア(Arthur Maia)、そして数々のMPB名作を残し日本で永眠したルイザォン・マイア(Luizão Maia)らの名前を挙げている。

ドラマーのミゲル・アシスは1979年サンパウロ生まれ。父はドミンギーニョス(Dominguinhos)やベニート・ヂ・パウラ(Benito Di Paula)などと共に活動していたマルチ器楽奏者のポポラ・アシス(Popolla Assis)で、音楽的に恵まれた環境で育ったミゲルも14歳の頃からMPBのフェスに出演するなど音楽活動を開始し、以降レコーディングやライヴ、音楽教育などで活躍。
2016年にアダウト・ヂアス(Adauto Dias)との双頭名義で初のリーダー作『Estrada do Som』をリリースしている。

Erik Escobar – piano, keyboards
Michael Pipoquinha – bass
Miguel Assis – drums, percussion

Erik Escobar - New Brazilian Trio
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