ラテンアメリカの歴史と伝統を未来につなぐ。プエルトリコ出身サックス奏者ミゲル・ゼノン新譜

Miguel Zenón - Música De Las Américas

プエルトリコ出身サックス奏者、ミゲル・ゼノン新譜

プエルトリコ出身のアルトサックス奏者/作曲家ミゲル・ゼノン(Miguel Zenón)の新譜『Música De Las Américas』がリリースされた。タイトルやジャケットに示されているとおりアメリカ大陸の歴史が紡いできた様々な物語にインスパイアされており、ラテンアメリカの多様な文化への敬意を表明した作品となっている。

ルイス・ペルドモ(Luis Perdomo, p)、ハンス・グラヴィシュニク(Hans Glawischnig, b)、ヘンリー・コール(Henry Cole, ds)との長年のカルテットを軸に楽曲によって数名のゲストが入れ替わり参加。ラテンの熱を加えた現代的なジャズを展開する。

(2)「Navegando (Las Estrellas Nos Guían)」ではプエルトリコの若手アンサンブル、ロス・プレネロス・デ・ラ・クレスタ(Los Pleneros de La Cresta)が参加し伝統音楽に基づくラテンポップ感覚を提供している。

(2)「Navegando (Las Estrellas Nos Guían)」

挑戦的なリズムや不協和音が連続し楽曲中で大きな起伏や転換のある(3)「Opresión y Revolución(抑圧と革命)」、インカやマヤ、アステカなどラテンアメリカに根付いていた文明を表現した(4)「Imperios(帝国)」、冒頭からのプエルトリコの伝統的な打楽器バリル・デ・ボンバのイントロが強烈な印象を残す(6)「Bámbula」(バンブラとはアフリカの奴隷によってラテンアメリカに持ち込まれた舞踊や音楽のことで、ハバネラの原型と考えられている)などなど、ラテンアメリカへの深い敬愛が湛えられた全8曲。

Miguel Zenón プロフィール

ミゲル・ゼノンは1976年プエルトリコ生まれ。現在はニューヨークのジャズシーンで中心的なアルトサックス奏者のひとりとして知られており、数多のミュージシャンと共演、これまでに15枚ほどのアルバムをリリースしている。

音楽教育や文化的な貢献でも評価が高いが、象徴的なのが彼が2011年に設立したCaravana Culturalという団体だ。これはプエルトリコで定期的に無料のジャズコンサートを開催するもので、多くの人にハイレベルなジャズに触れてもらいたいという想いが結実したもの。ニューヨークのシーンで活躍する大物も招かれ、同国の若手ジャズミュージシャンが経験を積む場としても大きな役割を果たしている。

Miguel Zenón Quartet :
Miguel Zenón – alto saxophone
Luis Perdomo – piano
Hans Glawischnig – bass
Henry Cole – drums

Featuring :
Los Pleneros de La Cresta (Emil Martinez, Edwin “Wechin” Avilés, Joshuan Ocasio, Joseph Ocasio and Jeyluix Ocasio) – panderos, percussion, vocals (2)
Paoli Mejías – percussion (3)
Víctor Emmanuelli – barril de bomba (6)
Daniel Díaz – congas (8)

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