ロンドン発、現代最高のアフロジャズ Kokoroko
UKの8人組、ココロコ(Kokoroko)の2022年8月リリースの新作『Could We Be More』は、どうやら彼らのデビューアルバム、ということらしい。これは正直、意外だった。なんせ彼らは数年前から既にロンドンのジャズシーンの最も旬なバンドとして地位を確立しているし、メンバーのソロ活動や他バンドでの活躍もよく耳にし、既に新鋭どころか中堅の感さえあるからだ。Spotifyでのストリーミング回数も6000万回を超えると言われている。
あらためてディスコグラフィを見返してみると、確かに2019年に4曲入りのデビューEP『KOKOROKO』をリリースしているが、その後のリリースはシングルばかり。フルレンス・アルバムというと今作が“デビュー作”であることは間違いがなかった。
それはともかく、Kokorokoの音楽が約50分にわたって聴き続けられるというのはやはり嬉しい。アフロビートやハイライフ、ソウル、ジャズ、ファンクといったブラック・ミュージックからの大きなインスピレーションから生まれたこのサウンドは、ロンドンに住む彼ら自身の存在そのものの表現であり、随所に彼らが普段は内に秘めつつも、音楽に託して搾り出す“ソウル=魂”が感じられる。
デビュー以来Kokorokoのサウンドに重要な役割を果たしてきたギタリストのオスカー・ジェローム(Oscar Jerome)はいつの間にか脱退しており今作にはクレジットされていないが、中心メンバーである女性トランペッター/ヴォーカリストのシーラ・モーリスグレイ(Sheila Maurice-Grey)や女性アルトサックス奏者キャシー・キノシ(Cassie Kinoshi)、男性パーカッショニストのオノメ・エッジワース(Onome Edgeworth)などのサウンドがバンドを牽引。エネルギッシュなアフリカン・ジャズをたっぷりと聴かせてくれる素晴らしい作品となっている。
Kokoroko :
Sheila Maurice-Grey – trumpet, vocals
Cassie Kinoshi – alto saxophone, vocals
Richie Seivwright – trombone, vocals
Onome Edgeworth – percussion
Ayo Salawu – drums
Tobi Adenaike-Johnson – guitar
Yohan Kebede – synthesizers, keyboards
Duane Atherley – bass, synthesizers, keyboards