新時代のジャズを探求する南アフリカのバンド Kujenga、セプテット編成の新譜『In the Wake』

Kujenga - In the Wake

アフリカン・ディアスポラの音楽を追求するバンド、Kujenga

南アフリカ・ケープタウンを拠点とする7人編成のジャズバンド、クジェンガ(Kujenga)。スワヒリ語で“構築する”を意味するバンド名を持つ彼らの2枚目のアルバム『In the Wake』がリリースされた。トランペット、トロンボーン、テナーサックスの3管や電化ギター、ベースなどよくあるジャズ編成ではあるものの、アフリカ南部のアイデンティティを感じさせる力強いサウンドがとても素晴らしいアルバムだ。

バンドのリーダーであるベーシスト/作曲家ズウィデ・ンワンドウェ(Zwide Ndwandwe)は「私たちの音楽は主にこの大陸の南部に由来する音に根ざしていますが、国境を越えて、そしてアフリカのディアスポラ全体の音楽が私たちに大きな影響を与えています」と語る。ジャズは、アフリカン・ディアスポラが生み出した音楽の中でも最もたるもののひとつだ。Kujengaは前作『Nationality』(2019年)では4人編成だったが、その後パンデミックの中で音楽の方向性を考えるようになり、より表現力を拡張するために金管隊を加えたのだという。前作と聴き比べてみると、アフリカを表現したいという彼らの想いは今作での金管の痛みにも似た鋭いソロや厚いハーモニーによって、確かに強固なものとなっている。サウンドを聴く限り、おそらくはカマシ・ワシントン(Kamasi Washington)などアメリカで活躍する新世代のジャズ演奏家などからも多くの影響を受けているのではないだろうか。

3/4+5/4の複合変拍子で演奏される(3)「Abaphantsi」

ズウィデ・ンワンドウェは今作について「無限に広がり続ける危機のリストが私たちの思考、行動、夢、そして愛の能力にどのような影響を与えるかを考察している」と語っている。アルバムに収録された楽曲群はアメリカやヨーロッパにはあまりないサウンドで、やはりアフリカを強く感じさせる。

(9)「Lesedi」は、まるで10分間の白昼夢だ。秀逸なテーマも然ることながら、7人それぞれの個性を曝け出すソロや音楽的な語り合いがとても良い。

(9)「Lesedi」

Kujenga :
Owethu Ndwandwe – keyboard, piano
Thane Smith – electric guitar
Skhumbuzo Qamata – drums
Zwide Ndwandwe – bass
Bonga Mosola – trumpet
Tamzyn Freeks – trombone
Matthew Rightford – tenor Sax

Jerome Sitengile – percussions
Riley van der Merwe – percussions

Kujenga - In the Wake
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