西洋音楽とグナワの幸せな出会い。アジズ・サハマウイ&エリック・ロングスワース共演作

Aziz Sahmaoui & Eric Longsworth - Il fera beau demain matin jusqu'à midi

グナワ音楽家アジズ・サハマウイと米国出身チェリストの共演作

モロッコ出身で現代グナワ音楽を代表するアジズ・サハマウイ(Aziz Sahmaoui)と、アメリカ合衆国のチェロ奏者エリック・ロングスワース(Eric Longsworth)による双頭名義の『Il fera beau demain matin jusqu’à midi』。アラビア語、フランス語、英語でフォーク・ミュージックやジャズ、ブルースをグナワ音楽と巧みに融合させる試みだ。アルバム・タイトルはフランス語で“明日は朝から正午まで晴れるだろう”の意。

(1)「Morning Has Broken」は古いゲール語民謡で、英国のSSWキャット・スティーヴンス(Cat Stevens)のカヴァーでも知られる曲。ここではエリック・ロングスワースのコード弾きのチェロのイントロで始まり、アジズ・サハマウイがマンドリンを弾きながら滋味深い声を聴かせる。

(1)「Morning Has Broken」

楽曲は(1)「Morning Has Broken」を除きアジズ・サハマウイとエリック・ロンスワースの共作あるいはそれぞれのオリジナル。演奏にはアジズのバンド、ユニヴァーシティ・オブ・グナワ(The University of Gnawa)のパーカッション奏者アディール・ミルガーニ(Adhil Mirghani)も参加し、北アフリカやアラブのグルーヴを加える。

瞑想的かつグナワ特有のトランス感のある(5)「Le temps des abricots」、アラビックな旋律を用いた(3)「Alf hilat」、(6)「Yasmine」、アメリカーナな(8)「Derrière le jour」など二人の音楽的バックボーンである様々なジャンルの自然な混淆が魅力的な作品だ。

現代グナワ音楽の第一人者、Aziz Sahmaoui

アジズ・サハマウイは1962年モロッコ・マラケシュ出身のヴォーカリスト/作曲家/弦楽器/打楽器奏者。父親の影響で幼い頃からグナワ音楽に触れて育った。

1990年代までにフランス・パリに移り、そこでバルベ国立管弦楽団(l’Orchestre National de Barbès, ONB)を共同設立し、レゲエとライに北アフリカの影響を加えた音楽を演奏。2枚のアルバムをリリースした後、ジョー・ザヴィヌルのバンド、ザヴィヌル・シンジケート(The Zawinul Syndicate)に参加。

2010年にはフランス、セネガル、北アフリカの国々など多国籍のメンバーを擁する自身のバンド The University of Gnawa を設立。グナワ、ライ、チャアビ、伝統的な西アフリカやアラブの音楽など多くのジャンルの痕跡を示す音楽性が高く評価されている。

ジャズ、クラシックとワールドミュージックを繋ぐ Eric Longsworth

チェリストのエリック・ロングスワースは1959年米国生まれ。インディアナ大学でクラシックのチェロを学んだあと、ヒューストン交響楽団やテキサス室内管弦楽団など様々なオーケストラで4年間演奏。
1990年代にカナダのモントリオールに移り、1997年に初のソロ・アルバム『I Hear You』をリリース。1999年にはベーシストのマーク・ジョンソン(Marc Johnson)とのデュオで『If Trees Could Fly』をリリースし高く評価された。

2002年にフランスに移住し新たな活動を開始。国内外の様々な音楽家と共演を続け、ジャズ、クラシック、ワールドミュージックの垣根のない演奏を行っている。

Aziz Sahmaoui – vocals, guimbri, mandolin
Eric Longsworth – cello
Adhil Mirghani – percussion

Aziz Sahmaoui & Eric Longsworth - Il fera beau demain matin jusqu'à midi
最新情報をチェックしよう!