カナダ在住シリア人音楽家たちの楽団タラフ・シリアーナ、荒廃した祖国への想いを込め奏でる音楽

Taraf Syriana

カナダから故郷を望む。Taraf Syriana デビュー作

東欧や中東にルーツを持つカナダ在住の4人の音楽家が集い、ルーマニアやシリアの音楽に影響された演奏をするタラフ・シリアーナ(Taraf Syriana)のデビュー作『Taraf Syriana』。アラビア音階に調律され微分音も特徴的なカーヌーンや、アラブの打楽器ダラブッカで中東音楽を特徴づけつつ、アコーディオンやヴァイオリン、チェロはロマ音楽を表現し、なんとも言えない無国籍感が漂う面白い音楽だ。

Taraf Syrianaのメンバーはモルドバ出身でロマのアコーディオン奏者セルジュ・ポパ(Sergiu Popa)、シリア・ホムスの音楽教授を経てモントリオールに移住したカーヌーンの名手ナエーム・シャンワル(Naeem Shanwar)、1993年から2015年にかけてシリアの国立オーケストラのヴァイオリン奏者だったオマル・アブ・アファク(Omar Abou Afach)、そして5弦や6弦の多弦チェロを演奏するスイス出身のノエミー・ブラウン(Noémy Braun)の4人で構成されている。タラフ(Taraf)とはロマの言葉で“楽団”で、バンド名は“シリアの楽団”を意味する。

(2)「Kevoke」はクルド人に伝わる伝統曲のカヴァーで、カーヌーンやヴァイオリンの微分音が異国情緒を奏でながらもアコーディオンはどこかポップで軽快で、人々で賑わう中東の古都を思い浮かばせる。

(2)「Kevoke」

(3)「Abdul Karim’s Tango」は“ブズーキのプリンス”と呼ばれたシリアのブズーキ奏者/作曲家モハメド・アブドゥル・カリム(Mohammed Abdul Karim, 1911 – 1989)にインスパイアされたタンゴで、この不思議な無国籍感がなんとも堪らない。

(3)「Abdul Karim’s Tango」

(8)「Jovano Jovanke」はマケドニア地方に由来する古い伝統曲で、民族や宗教の違いを理由に結婚に反対する両親によって引き離された二人の若い恋人について歌われている。
ここでは比較的ゆったりとした7拍子のリズムで、バルカン地方を中心に時代を超越して愛される物語をしっとりと描き出す。

(8)「Jovano Jovanke」

シリアは古来よりアジアやヨーロッパ、北アフリカなどの文化や芸術が混ざり合う場所だった。西から東から来たさまざまな人々が出会いながら互いに影響しつつ発展していった点は音楽も同様で、今作もそうした多様性が楽しいアルバムだ。

タラフ・シリアーナの音楽は一見楽観的な印象を受けるが、彼らがカナダに移住しなければならなかった理由は、戦争による祖国の荒廃のためだという。故郷を遠く離れながらも、祖国を想って奏でる音楽には平和への悲痛な願いも込められているのだろう。

Taraf Syriana :
Naeem Shanwar – qanun
Noémy Braun – cello
Omar Abou Afach – viola
Sergiu Popa – accordion

Guests :
Mohamed Raky – darbouka
Dan Armeanca – vocal, guitar
Ayham Abou Ammar – vocal
Nazih Borish – oud

Taraf Syriana
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