ブラジル北東部音楽“フレーヴォ”を世界に発信するプロジェクト
ブラジル北東部のペルナンブーコ州に根付く音楽とダンス、フレーヴォ(Frevo)。
アップテンポの独特のリズムや管楽器によるメロディーなどの特徴は今も当地のカルナヴァルの象徴となっているし、現在でも北東部出身のアーティストをはじめとしてフレーヴォのリズムを取り入れたポピュラー音楽やジャズなども数多く生まれ続けている。
フレーヴォという語句が定着したのが1907年頃と言われており、その100周年を記念してミュージシャン兼プロデューサーのプピロ(Pupillo)と芸術プロデューサーのマルセロ・ソアレス(Marcelo Soares)が“フレーヴォを一地域のお祭りの音楽に留めず、世界に発信したい”と始めたプロジェクトがFrevo do Mundo(世界のフレーヴォ)だ。彼らは2007年にアルバム『Frevo do Mundo』をリリースし、そこではエドゥ・ロボ(Edu Lobo)、ジョアン・ドナート(João Donato)、Céuといったアーティストがフィーチュアされた。
再び始動した Frevo do Mundo
そんなFrevo do Mundoが長い休止期間を経て2020年にオルケストラ・フレーヴォ・ド・ムンド(Orquestra Frevo do Mundo)として復活。カエターノ・ヴェローゾ(Caetano Veloso)やセウ(Céu)、元メストリ・アンブロージオのシバ(Siba)、ペルナンブーコ州都レシーフェ出身のドゥダ・ビート(Duda Beat)といった豪華アーティストを迎えてアルバム『Vol. 1』をリリース、さらに2023年にはバーラ・デセージョ(Bala Desejo)などを迎えた『Vol. 2』をリリースした。
強烈な大編成ブラスバンドにフレーヴォの血湧き肉躍るリズム、時にはロックのギターやベース、エレクトロニックも加えたサウンドは終始エキサイティング。楽曲はシロ・モンテイロ(Cyro Monteiro)作の(2)「Linda Flor da Madrugada」やゼ・ラマーリョ(Zé Ramalho)作の(5)「Frevo Mulher」といった名曲が並び、終始テンション高めで演奏される。
8曲収録の『Vol. 1』に続き、2023年に3曲収録でリリースされた『Vol. 2』には今注目のバンド、バーラ・デセージョ(Bala Desejo)が元ノヴォス・バイアーノスのSSWモラエス・モレイラ(Moraes Moreira)作曲の(3)「Chão da Praça」を歌う。
豊かなリズム、ハーモニー。楽器や声のアレンジは複雑だが、とても親しみやすい。
ブラジル音楽の楽しさを味わうにはうってつけの作品だ。