オリエンタル・マカームの新時代を開拓するエジプトの天才ウード奏者モハメド・アボゼクリ

Mohamed Abozekry - Roh El Fouad

ウード奏者モハメド・アボゼクリの新境地

エジプトの天才的ウード奏者モハメド・アボゼクリ(Mohamed Abozekry)の新作『Roh El Fouad』。とかく伝統楽器としての側面が注目され、古典的な振る舞いを求められがちなウードという楽器の伝統に囚われない自由で先進的な演奏が新鮮。6人編成のバンドでアラビック・ミュージックをジャズの語法に持ち込んだ、大胆かつ美しいアルバムだ。

今作ではこれまでの探究心にあふれる超絶的なウードだけでなく、モハメド・アボゼクリはヴォーカルも披露。楽器のみでは表現しきることの難しい心の奥底に秘めた感情を声も使って表現しており、よりアーティスティックとなった。(2)「Roh El Fouad」で見せるアラビア語の歌や、ウードとピアノの掛け合いのソロは圧巻。

アルバム『Roh El Fouad』のティーザー動画

バンドはエジプト・カイロ出身の鍵盤奏者ジョージ・ナビル(George Nabil)、フランス出身の女性サックス奏者カミーユ・ムッシオン(Camille Maussion)ら多国籍のメンバーが揃う。アラブの音楽文化を軸に、その枠を大きく広げる訴求力の強い作品だ。

Mohamed Abozekry 略歴

モハメド・アボゼクリは1991年エジプト生まれ。アマチュア音楽家の叔父の影響で11歳からウードを始め、カイロでアラブ世界随一のウード奏者であるイラク出身のナシール・シャンマ(Naseer Shamma)に4年間師事し、ソリストおよび指導者として認められ15歳で世界最年少のウード教育者免許所持者となった。

2009年にはシリアのダマスカスで開催された国際ウード・コンクールで優勝し、その妙技と深い音楽性をアラブ世界に知らしめた。

その後フランスに渡りリヨン大学で西洋音楽の理論も学び、フランスの文化的多様性により、ジャズ、ラテン、インド音楽、ロマ音楽といった幅広い音楽性を自らのスタイルに取り入れていった。

ソロ作として2013年に『Chaos』、2016年に『Karkadé』の2枚のアルバムをリリース。
2020年にはフランスを代表する女性サックス奏者ソフィー・アルール(Sophie Alour)のアルバム『Joy』で大きくフィーチュアされ、世界に広く知られるようになった。

Mohamed Abozekry – oud, vocals
Camille Maussion – saxophone
George Nabil – keyboards
André Segone – bass
Ahmed Aly – percussion
Kerdani – drums

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