- 2025-11-16
- 2025-11-16
ダファー・ユセフ、“人生のもっとも重要な出会い”を深淵なる美しさで描く新譜『Shiraz』
独自の表現の道を歩むチュニジア出身のウード奏者/歌手/作曲家ダファー・ユセフ(Dhafer Youssef)が、ドイツのレーベル、ACTからリーダーとして第一弾となるアルバム『Shiraz』をリリースした。伝統的なアラブ音楽を精神的な神秘とともにジャズの世界と融合させた稀有な音楽家である彼が、さらなる精神的・音楽的深化を見せた美しい作品だ。
ヨーロッパのジャズ
独自の表現の道を歩むチュニジア出身のウード奏者/歌手/作曲家ダファー・ユセフ(Dhafer Youssef)が、ドイツのレーベル、ACTからリーダーとして第一弾となるアルバム『Shiraz』をリリースした。伝統的なアラブ音楽を精神的な神秘とともにジャズの世界と融合させた稀有な音楽家である彼が、さらなる精神的・音楽的深化を見せた美しい作品だ。
フランスを代表するピアニスト/作曲家、ソフィア・ドマンシッチ(Sophia Domancich)の新譜『Wishes』は、ピアノトリオによる即興表現のもっとも美しい側面を魅せてくれる素晴らしい作品だ。今作はピアノトリオ編成で、共演者にいずれもアメリカ合衆国出身、ベーシストのマーク・ヘリアス(Mark Helias)とドラマーのエリック・マクファーソン(Eric McPherson)を迎えての初の録音となっている。
前作『Anouch』(2022年)で、アルメニア人の記憶に深く刻まれたジェノサイドの悲劇の歴史を、その被害者であった祖母の体験を通して生々しく描き出し芸術的な音楽物語へと昇華させたフランスのピアニスト/作曲家アンドレ・マヌーキアン(André Manoukian)の新作『La Sultane』。ジャズ・ピアノトリオを中心とし、東洋のパーカッションやストリングスなども交え、国境のない地平を描き出してゆく。
ダブルベースの奏法に革新をもたらしたフランスの伝説的なベーシスト、フランソワ・ラバト(François Rabbath, 1931 - )と、その息子であるピアニスト/作曲家/プロデューサーのシルヴァン・ラバト(Sylvain Rabbath, 1984 - )を中心としたプロジェクト、ラバト・エレクトリック・オーケストラ(Rabbath Electric Orchestra)のデビュー作『Amall』が素晴らしい。
クラシックを原点としながら、大胆なエレクトロニカやヴォイス・パーカッション、ポエトリー・リーディングや変則バンドなど様々な表現方法で毎回驚かせてくれるオーストリア出身の奇才ジャズピアニスト/作曲家、デヴィッド・ヘルボック(David Helbock)が新たにデュオの相手に選んだのは同郷出身のチェリスト/ベーシストのユリア・ホーファー(Julia Hofer)。相当名義の新譜『Faces of Night』は、冒険心と遊び心に溢れる二人のデュオ演奏に加え、フリューゲルホルンのローレンツ・ラープ(Lorenz Raab)、ダブルネック・ギターの鬼才マハン・ミララブ(Mahan Mirarab)、そして歌手ヴェロニカ・ハルチャ(Veronika Harcsa)というユニークな才能もゲストに迎えた楽しいジャズ・アルバムとなっている。
イスラエル出身、現在はドイツ・ベルリンを拠点に活動する新世代のジャズ・ハーモニカ奏者/作曲家アリエル・バルト(Ariel Bart)が、数年前から粛々と表現を磨き続けてきた「The Trio Project」の集大成であり、そのデビュー作『After Silence』をリリースした。“抒情的”という言葉では軽い、もっと深い感情表現をハーモニカ、チェロ、ピアノという変則トリオで描き出した素晴らしい作品だ。
イタリアを代表するピアニスト、アントニオ・ファラオ(Antonio Faraò)によるスタンダードなどカヴァー曲を中心とした新作『Heal The World』。アルバム・タイトルに採用されたのはマイケル・ジャクソン(Michael Jackson, 1958 - 2009)が湾岸戦争勃発と同時期の1991年に発表した反戦歌であり、“世界に癒しを”というテーマが今作全体に通底する。
2023年のデビュー作が高く評価されたモンゴル出身のピアニスト、シュティーン・エルデネバートル(Shuteen Erdenebaatar)と、ドイツ出身のベーシスト/クラリネット奏者ニルス・クーゲルマン(Nils Kugelmann)。2020年に出会って以来、音楽だけではなく人生のパートナーとして絆を深めてきた二人による初のデュオ・アルバムが『Under the Same Stars』だ。
米国のドラマー/作曲家マイケル・ウォルドロップ(Michael Waldrop)の新作『Native Son』は、ピアノトリオ+パーカッションを中心とした編成でバルカン半島や中東、南米の音楽文化を積極的に取り入れた作品となっており、従来の彼の活動の主軸であったビッグバンドのイメージを覆す作風に驚かされるアルバムだ。
フランス初の国際的ポップ・ジャズ・トリオ、レミ・パノシアン・トリオ(Rémi Panossian Trio)の通算8枚目のアルバム『88888888』のテーマは、無限の象徴であり、東アジアの風水文化でもっとも縁起の良い数字とされる「8」をタイトルに冠し、とりわけ東アジアの文化への敬意をユーモラスに表す。シンプルなピアノトリオ編成ながら、楽曲や演奏は豊かな色彩感覚があり、技巧面でも超絶的なジャズでありながら絶妙にキャッチーでポップだ。
長年作曲家やサイドマンとして音楽の舞台裏で活動してきたトランペッター、ダウド(daoud)。この少しやさぐれた雰囲気を持つ魅力的な芸術家は2024年にアルバム『GOOD BOY』でデビューし、その刺激的で反骨精神に溢れた音楽は大いに注目され、TSF Jazz誌によって年間最優秀アルバムの一つに選ばれるなど成功を収めた。そんな彼が、ドイツの名門レーベルであるACTに移籍し、早くも2作目のアルバム『ok』をリリースした。
ポーランドのピアニスト/作曲家アガ・デルラック(Aga Derlak)の4枚目となるアルバム『neurodivergent』がリリースされた。今作はニューロダイバーシティ(神経多様性)をテーマにしており、ADHDと診断された彼女自身の神経多様性や内面的なカオスを音楽的に表現。音楽的にはやや実験的に、三位一体のピアノトリオと数曲でヴァイオリンのゲストも交え、独創的な世界観の音空間を作り上げた、リスナーに強い印象を残すアルバムとなっている。
オランダ・アムステルダム出身のギタリスト/作曲家、オリヴィエ・ファン・ニーケルク(Olivier Van Niekerk)のデビュー・アルバム『U2146x6』は、ジャズ・ギターの伝統と革新がバランスよく混ざり合った注目すべき作品だ。アルバムにはビル・フリゼール(Bill Frisell)のカヴァー(3)「Strange Meeting」を除き、全曲オリヴィエ・ファン・ニーケルクのオリジナルを収録。
偶然か必然か、「22」という数字に導かれたアンティル諸島生まれの二人の音楽家による素敵な音の語らいである。ともに12月22日生まれ、歳の差は22歳、そして初めて出会ってから22年の節目となるサックス奏者のジャック・シュワルツ=バール(Jacques Schwarz-Bart)と、ピアニストのグレゴリー・プリヴァ(Grégory Privat)の初デュオ作『22』。