- 2024-03-02
- 2024-03-13
祖国キューバへの悲痛な想いが滲む、社会派SSWダイメ・アロセナ新譜『Alkemi』
ジャズやR&B、レゲエなどを吸収した新たな表現を試みるキューバ新世代SSW、ダイメ・アロセナ(Daymé Arocena)が新譜『Alkemi』をリリースした。祖国に失望し、現在はプエルトリコに住む彼女の芸術家としての覚悟すら見える圧倒的なパワーを感じさせる作品だ。
R&B
ジャズやR&B、レゲエなどを吸収した新たな表現を試みるキューバ新世代SSW、ダイメ・アロセナ(Daymé Arocena)が新譜『Alkemi』をリリースした。祖国に失望し、現在はプエルトリコに住む彼女の芸術家としての覚悟すら見える圧倒的なパワーを感じさせる作品だ。
声を中心に、思慮深く言葉を重ねていく印象的なR&Bだ。カナダ・モントリオールのシンガーソングライター、ドミニク・フィス=エメ(Dominique Fils-Aime)の2023年新譜『Our Roots Run Deep』。“私たちは地中深くに根差している”に始まる(1)「Our Roots Run Deep」から、“太陽まで登らせて”と歌う(13)「Feeling Like A Plant」まで、余計なものを注意深く削ぎ落としたサウンドをバックに彼女の物語を表現。有機的な流れはある種の必然性を持ち、リスナーをその映画のような物語の中に引き入れていく。
2023年も残りわずか。まさかこのタイミングでこのような朗報が訪れるとは思わなかった。2019年の『Tomorrow's New Dream』より4年ぶり、通算19作目のアルバムとなるインコグニート(Incognito)の新作『Into You』が発表されたのは10月末の事だ。
中央アフリカのガボンにルーツを持つフランスのシンガーソングライター、アナイス・カルドー(Anaïs Cardot)が素晴らしい。エラ・フィッツジェラルド(Ella Fitzgerald)やジョアン・ジルベルト(João Gilberto)などに影響を受けてきたという彼女のデビュー作となるEP『Pink Magnolia』で、内省的でロマンティックな陰を含んだ歌を、驚くほど繊細で魅力的な声で歌う。逸材、と感じられずにいられない最高のデビューだ。
2018年の前作『Miradas』がラテングラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・ポップ・アルバム」部門にノミネートされたメキシコのSSW、ナナ・メンドーサ(Nana Mendoza)の2023年新譜『...』は限りなく良質なスペイン語ポップスだ。R&B、ジャズ、ボサノヴァなどから少しずつ影響を受けた爽やかだが安っぽさのない歌とサウンドで、エレクトリック要素も濃かった前作に比べると随分とアコースティックでジャズ寄りの作風が特徴的。彼女の最高傑作ではないかと思わせる素晴らしい仕上がりの作品となっている。
米国オハイオ州出身、近年注目のマルチ奏者/シンガーソングライター、コーシャス・クレイ(Cautious Clay)が名門ブルーノート・レコードからの最初のアルバム『KARPEH』をリリースした。アルバムタイトルは彼の本名に因んでおり、多彩な15曲は自伝的な要素も含む。ゲストにジュリアン・ラージ、アンブローズ・アキンムシーレ、イマニュエル・ウィルキンス、ジョエル・ロス、アルージ・アフタブといった現代ジャズ最高峰の面子を揃え、溢れ出る個性と才能をニューヨークの最先端のサウンドで表現する傑作に仕上がっている。
ナイジェリアのヴォーカリストJazzZと、ジンバブエのプロデューサーTentenの共同プロジェクトによる初のリリース『Absinthe』。ジャズ、R&B、ヒップホップ、ソウルなどの影響がバランスよく織り込まれたそれぞれ短めの14のトラックはどれも清涼で洗練されており、心地よい時間へとリスナーを誘う。
Funk、Jazz、HipHop、R&B、アフロビート…様々な音楽をジャンルレスに横断し、その独特のグルーヴで唯一無二の存在感を放つマルチアーティスト/ベーシスト、ミシェル・ンデゲオチェロ(Meshell Ndegeocello)が今年ブルーノートから新作を発表した。本稿では多様なンデゲオチェロの作品群を改めてフィーチャー。デビュー30周年を迎える彼女のキャリアを振り返るとともに、これから彼女の音楽に触れる人は是非自分だけのお気に入りの一枚を見つけて欲しい
メジャーデビューアルバム『Ctrl』は2018年の第60回グラミー賞では主要部門〈最優秀新人賞〉を含む計5部門という女性最多ノミネートを達成。Doja Cat(ドージャ・キャット)とのコラボ曲「Kiss Me More」では「最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞」を受賞と、名実ともに一流アーティストの仲間入りを果たしている。それから5年。新人アーティストとしては非常に長いスパンでの発表となった最新作『SOS』は、5年間の思いと苦悩が詰まった全23曲の大長編に仕上がった。
この夏、二人の天才が来日する。それもBlue NoteやBillboardといった格式高いジャズ箱ではなく、フェスへの出演である。一人は本サイトでも取り上げたことのある「神童」ジェイコブ・コリアー(Jacob Collier) 。そしてもう一人が、そのMVも含めすべてにおいて独特なクリエイティビティを見せつけながらも、質の高さからそれすらもスタンダードに昇華されてしまう「奇才」と呼ぶべきマルチアーティスト、ルイス・コール(Louis Cole)だ。2022年のベストアルバムに入れそびれてしまった最新作『Quality Over Opinion』を今回は来日を記念してご紹介したい。
EVISBEATS(エビスビーツ)の最新作『That's Life』が5月24日にCD / CASSETTE / LP の3フォーマットでフィジカル化される。本サイトでも何度も取り上げているJ・ラモッタ・スズメをゲストに迎えるなど、盟友・Nagipanと共作した前作『PEPE』も非常にクオリティの高い作品であったし、2012年のMix作品『Sletchbook』も(一部ボーカル曲はあるものの)インスト作品という観点では素晴らしいものであった。だがしかし本作ではそれらのクオリティに加え、タイトル『That's Life』に込められた諦念にも似た明確なメッセージによって、作品としてより強固なものになったと言える。
南アフリカ・ケープタウン出身のピアニスト/作曲家ノブレ・アシャンティ(Nobuhle Ashanti)が『Bait For Steps Forward』で素晴らしいデビューを飾った。豊かな抒情性を湛えた瑞々しい感性のジャズ、ソウル、R&Bを主軸とする音楽で、丁寧かつ現代的なエッセンスを含んだサウンド・プロダクションも魅力的な作品だ。
アンゴラの歌手、ヨラ・セメード(Yola Semedo)の7枚目となる新作『Sou Kizombeira』がリリースされている。今作はアンゴラ生まれのダンス音楽であるキゾンバをベースとしたダンサブルでパンチの効いたサウンドが特長的で、レゲエやソウル、R&Bといった要素も感じさせ、アンゴラの歌姫の貫禄を感じさせるアルバムに仕上がっている。
ヴォーカル/作詞作曲のレベッカ・ンボングー(Rébecca M'Boungou)とギターのアーナウ・エスター(Arnaud Estor)のデュオ・ユニットとして2018年にデビュー作『Earthquake』をリリースしたコリンガ(Kolinga)が、6人編成となってリリースした2ndアルバム『Legacy』。この編成強化により、ギターとヴォーカルを中心にサウンドが組み立てられていた前作から大幅に色彩感がアップ。当初より高い評価を得ていたレベッカの歌声の魅力はそのままに、より訴求力の高い作品に仕上がった。