- 2026-02-08
- 2026-02-02
ターキッシュ・フュージョンの魅力が満載! ピアノとG管クラリネット中心の心踊る傑作『Homeland』
トルコの伝統音楽と技巧的なジャズ・フュージョンの高度な融合に驚かされる。現在進行形のターキッシュ・ジャズを牽引する4人の音楽家による2025年のアルバム『Homeland』は、日本はおろか世界中のほとんどのメディアで言及されていないが、埋もれさせておくには勿体無い“中東の宝石”のような作品だ。
フュージョン
トルコの伝統音楽と技巧的なジャズ・フュージョンの高度な融合に驚かされる。現在進行形のターキッシュ・ジャズを牽引する4人の音楽家による2025年のアルバム『Homeland』は、日本はおろか世界中のほとんどのメディアで言及されていないが、埋もれさせておくには勿体無い“中東の宝石”のような作品だ。
儀式的で不穏なシークエンスに導かれる「すべての探求者のための前奏曲」から、荘厳なクワイアとピアノによる切実な祈祷「国民の懺悔の賛歌」まで──。現在の音楽シーンにおいて常にトップランナーであり、他の追随を許さないアルメニアの孤高の才ティグラン・ハマシアン(Tigran Hamasyan)は、2026年の新譜『Manifeste』で、深く入り組んだ自己省察を細部まで美しく構築された音楽を通して、そのまま現代社会の混迷した複雑性へと投影してみせる。
インド・カルナータカ州都ベンガルールを拠点とするカルナティック・プログレッシヴ・ロックバンド、アガム(Agam)が8年の制作期間を要し完成させた3rdアルバム『Arrival of The Ethereal』。長い歴史を持つインド古典音楽と近代的なプログレの絶妙なブレンドは斬新で、その高い完成度も相まって新鮮な驚きに満ちた壮大な音楽世界が展開される優れたアルバムだ。
1990年代以降、MPBの巨匠シコ・ブアルキ(Chico Buarque, 1944 - )のバンドでベーシストを務めたジョルジ・エルデル(Jorge Hélder)が、シコ・ブアルキの80歳を記念して制作した作品がこの『Samba e Amor: Jorge Helder Toca Chico Buarque』(2024年)だ。そのタイトルのとおりシコ・ブアルキ曲集となっており、ほかの誰よりもシコの音楽を支えてきたジョルジ・エルデルという職人的ベーシストによるアレンジが楽しめるアルバムとなっている。
ダブルベースの奏法に革新をもたらしたフランスの伝説的なベーシスト、フランソワ・ラバト(François Rabbath, 1931 - )と、その息子であるピアニスト/作曲家/プロデューサーのシルヴァン・ラバト(Sylvain Rabbath, 1984 - )を中心としたプロジェクト、ラバト・エレクトリック・オーケストラ(Rabbath Electric Orchestra)のデビュー作『Amall』が素晴らしい。
イスラエル出身、ロンドンを拠点に活動する鍵盤奏者/作曲家ヨニ・メイラズ(Yoni Mayraz)の待望の新譜『Dogs Bark Babies Cry』。衝撃的なデビュー作だった前作『Dybbuk Tse!』からはメンバーを完全に一新し、ベースのトム・ドリエスラー(Tom Driessler)とドラムスのゾーイ・パスカル(Zoe Pascal)が生み出すシャープがグルーヴがヨニ・メイラズの音楽的世界観によりマッチした作品となっている。
ロンドンのジャズシーンで注目されるトルコ出身の鍵盤奏者、ジェンク・エセン(Cenk Esen)のアルバム『Endlessly』がリリースされた。カオス・イン・ザ・CBD(Chaos In The CBD)『A Deeper Life』(2025年)への参加でも知られる彼がジャズとエレクトロニックの融合で表現する今作は、移民として住む慣れない街での個人的な苦悩、人間関係、そして周囲の人々や状況が自分の考えや望む通りになることを際限なく期待し、常に失望という結末に辿り着くという自身の癖からインスピレーションを得て制作された。
南米ペルーに生まれ、ジャズに魅了され英国に移住し、トゥモローズ・ウォリアーズ(Tomorrow's Warriors)で研鑽した女性サックス奏者/作曲家アレクサ・ナヴァ(Allexa Nava)のデビューEP『No Language』は、新たなスターの出現を確信させる素晴らしい作品だった。ロンドンで隆盛を極める現代ジャズの潮流に乗りつつ、強烈な個性で僅かな“引っかかり”を確実にリスナーに与える魅力的なサウンドに彩られた、新進気鋭アーティストによる世界が注目すべき作品だ。
ハンガリー・ブダペストを拠点とするバンド、ニュー・フォスルズ(New Fossils)がこれまで最も音楽的に飛躍した新譜『Ecosphere』をリリースした。洗練された現代ジャズの響きだけでなく、今作ではファンクやプログレッシヴ・ロックの要素が強まり、サウンドもサックスを軸としながら、シンセサイザーの多用によってよりスピリチュアル、サイケデリックなベクトルへと向かっている。
50年以上にわたりインドと西洋の音楽の架け橋であり続けるインド出身の打楽器奏者/作曲家トリロク・グルトゥ(Trilok Gurtu)が新譜『Mirror』をリリースした。アルケ・ストリング・カルテット(Arke String Quartet)との再共演となる今作は、彼のキャリアを通じて一貫している多文化的なアプローチをさらに深化させたものだ。インドの伝統音楽に深く根差しながら、ジャズやファンク、西洋の古典音楽、アフリカの伝統的なリズムなど様々な文化的要素が見事に調和したリズムが素晴らしい。
米国ロサンゼルス出身、現在はインドに移住したサックス奏者/作曲家マーク・ハートサッチ(Mark Hartsuch)と、彼の妻でありインド出身の世界的なベース・ヒロインであるモヒニ・デイ(Mohini Dey)、そしてモヒニと長年音楽活動を共にしてきたインド出身のドラマー、ジーノ・バンクス(Gino Banks)によるプログレッシヴ・ジャズロック・トリオ、マモジ(MaMoGi)が新作『MaMoGi II』をリリースした。トリオのデビュー作『Mamogi』(2023年)から2年、今作でも強固でパワフルで超絶的なバンドサウンドを聴かせてくれる好盤となっている。
バスーン(ファゴット)をジャズやロックの領域に持ち込み、ソロ楽器として革新的な役割を果たすことに成功した米国サンフランシスコのバスーン奏者/作曲家のポール・ハンソン(Paul Hanson)の2024年作『CALLIOPE』は驚きに満ちたアルバムだ。プログレッシヴ・ロックの男女デュオであるレイズ・ザ・メイズ(Raze The Maze)とのコラボレーションを軸に、ルスラン・シロタやビリー・コブハムといった大物も参加。エレクトリック・バスーンを手に新たな時代を切り拓いてきた彼の集大成的な傑作となっている。
若手ジャズ/フュージョン系ギタリストの最高峰と注目されるオーストラリア・シドニー出身のジョシュ・ミーダー(Josh Meader)が、待望のデビュー・アルバム『Tides of Time』をリリースした。ジャズ、フュージョン、プログレッシヴ・ロックなどの影響を混淆したインストゥルメンタルで、彼の性格無比な超絶技巧が爽快な作品だ。
カナダ・トロントを拠点とするピアニスト/作曲家ジェレミー・レッドベター(Jeremy Ledbetter)率いるピアノトリオの2024年新譜『Gravity』。スナーキー・パピー(Snarky Puppy)のドラマーとして知られるラーネル・ルイス(Larnell Lewis)と、スティーヴ・コールマン(Steve Coleman)との活動で知られるベーシストのリッチ・ブラウン(Rich Brown)とのトリオで、2018年のデビュー作『Got a Light?』以来の新作だ。