- 2024-07-19
- 2024-07-18
音楽は異なる文化の壁を取り払い、共生を促す…イスラエルとイランの音楽家によるデュオ作
カナダに移民として渡った二人のアーティスト──イスラエル出身のマルチ奏者イタマール・エレズ(Itamar Erez)と、イラン出身の打楽器奏者ハミン・ホナリ(Hamin Honari)によるデュオ作『Migrant Voices』(移民の声)。中東の多様な音楽文化を自然に融合したギターとパーカッションの静かな邂逅が、とても美しい作品だ。
カナダに移民として渡った二人のアーティスト──イスラエル出身のマルチ奏者イタマール・エレズ(Itamar Erez)と、イラン出身の打楽器奏者ハミン・ホナリ(Hamin Honari)によるデュオ作『Migrant Voices』(移民の声)。中東の多様な音楽文化を自然に融合したギターとパーカッションの静かな邂逅が、とても美しい作品だ。
南アフリカ・ヨハネスブルグのトロンボーン/鍵盤奏者/作曲家マルコム・ジヤネ(Malcolm Jiyane)の2ndアルバム『TRUE STORY』がリリースされた。数日間のセッションによって制作され、絶賛されたデビュー作『UMDALI』(2021年)と比べると素朴で映像的な音楽性はそのままに、より“声”による表現を効果的に取り入れ、注意深く練り上げられた作品といえるだろう。
2019年のデビューアルバム『These Days』が非常にクオリティ高く印象的だったロンドンのヴォーカリスト、テス・ハースト(Tess Hirst)の新作『HERstory』。今作は一応彼女のソロ名義であるものの、前作の共同名義人であるベーシストのダニエル・カシミール(Daniel Casimir)が作曲/演奏/プロデューサーとして参加しており、前作の正当な続編といえる。
バルセロナの青少年ジャズバンド、サン・アンドレウ・ジャズバンド(Sant Andreu Jazz Band)出身の若きスターの一人、シンガーソングライター/トロンボーン奏者のリタ・パイエス(Rita Payes)が新作『De camino al camino』をリリースした。アーティストとして常に進化を続ける彼女は、耳心地のよい従来作との安易な比較を拒むほど独特のファンタジーな音楽観で、世界中のリスナーを魅了する。
ジャズからファンク、エレクトロニックまで幅広くジャンルを跨いで活躍するイスラエルを代表するトランペット奏者、セフィ・ジスリング(Sefi Zisling)の3枚目のアルバム『The Librarian』。全6曲は彼が敬愛する人々への頌歌として作られており、彼のインスピレーションの源である妻や友人、敬愛するピアニストのマル・ウォルドロン、さらにはイスラエル警察によって殺されてしまった無実のパレスチナ人への追悼といった明確なテーマによって支えられている。
ハンガリー出身のマルチ奏者/作曲家サボルチ・ボグナール(Szabolcs Bognár)のプロジェクト、アバセ(Àbáse)の新作『Awakening』がリリースされた。強めのブラジル音楽エッセンスで絶賛された前作『Laroyê』(2021年)と比較すると今作はよりルーツ回帰的で、アフロ・スピリチュアルな生々しいグルーヴを全編に湛えている。
ニューヨーク州ロングアイランド出身の作編曲家クリストファー・ズアー(Christopher Zuar)が、ジャズ・オーケストラを率いて録音した新譜『Exuberance』。新進気鋭のジャズ作曲家の登場と讃えられた2016年作『Musings』以来となる待望の第二作目だ。深い思慮によって丁寧に練り上げられた楽曲群は調和のとれた20人規模のオーケストラによって演奏されるが、そこには小難しさはなく、どこか無防備で人懐っこい感覚すら覚えさせるような柔和な優しさが感じられる。
プログレッシヴ・ロックバンド「Square to Check」のギタリスト/作曲家、ダニエル・ウェイス(Daniel Weiss)がソロ名義として2作目となるアルバム『The Vortex』をリリースした。今作もバンドメイトのシャロン・ペトロヴェール(Sharon Petrover, ds)、リオール・オゼリ(Lior Ozeri, b)らとともに、圧巻の超絶技巧アンサンブルが繰り広げられる。
アメリカ合衆国ミシガン州アナーバー出身、現在はNYブルックリンで活動する女性ギタリスト/SSWメイ・シモネス(Mei Semones)。ジャズやブラジル音楽を軸にした卓越したギター演奏と洗練されたリズムやハーモニーの感覚、英語と日本語で歌う個性的で自然体のシンガーソングライター然とした佇まいが魅力の新進気鋭アーティストだ。彼女の最新EP『Kabutomushi』がとても良いので紹介したい。
イマニュエル・ウィルキンス(Immanuel Wilkins)が吹くアルトサックスの音色で、全ての疲れが身体から抜けていく感じがした。冒頭の有名なスタンダード(1)「The Nearness of You」、これほど水分のように沁みるジャズは久々だ。無理でもしないと生きてはいけないと思い込んでいたが、立ち止まることも必要だということを思い出させてくれるような温かさがあった。
フランスのトロンボーン奏者/作曲家ロビンソン・クーリー(Robinson Khoury)の新作『MŸA』は、アラビア音楽の旋法、デジタル・パーカッションやアナログシンセなどエレクトロニックの多用が特徴的な前衛的ジャズ作品。
シンガーソングライターとして稀有な才能を知らしめた2020年のデビュー作『Songs』から4年、イスラエル出身のピアニスト/作曲家スタヴ・ゴールドベルグ(Stav Goldberg)の新作『Symphony of Water』は一転してインストゥルメンタルの作品となった。音楽性はジャズが基底となってはいるが、もっとスピリチュアルな何かを秘めた、自由で無限の深みのある音楽だ。
タスマニア生まれ、メルボルン在住の鍵盤奏者/作曲家フィン・リーズ(Finn Rees)。30/70やClose Counters、アリーシャ・ジョイ(Allysha Joy)などのキーボード奏者としてメルボルンの音楽シーンで活躍する彼のソロ・デビュー作『Dawn Is A Melody』がリリースされた。最大で10人を超える色彩豊かなラージ・アンサンブル・ジャズで、エキサイティングな音楽体験を得られる絶品だ。
イタリアを代表するピアニスト/作曲家アントニオ・ファラオ(Antonio Faraò)が、ジョン・パティトゥッチ(John Patitucci, b)とジェフ・バラード(Jeff Ballard, ds)という名手を迎えて録音した2024年の新作『Tributes』。8曲のオリジナルと2曲のカヴァーという構成で、目新しさこそないものの、ジャズの粋の結晶のような優れた作品だ。