- 2023-10-21
- 2024-09-23
胸を打つ魂のクレズマー・クラリネット。歴史の影に埋もれた人々の物語に想いを寄せるYom新作
フランスのクレズマー・クラリネット奏者ヨム(Yom)は、2021年の傑作『Celebration』と同じくピアニストのレオ・ジャセフ(Léo Jassef)とデュオを組んだ新作『Alone in the Light』で、歴史の影を背負い生きる人々の孤独に焦点をあてる。
フランスのクレズマー・クラリネット奏者ヨム(Yom)は、2021年の傑作『Celebration』と同じくピアニストのレオ・ジャセフ(Léo Jassef)とデュオを組んだ新作『Alone in the Light』で、歴史の影を背負い生きる人々の孤独に焦点をあてる。
カーボベルデの両親のもと、ポルトガル・リスボンに生まれたシンガーソングライター、ルーラ(Lura)。モルナやフナナ、バトゥーキといったカーボベルデの伝統音楽をベースにした彼女の音楽は同国の伝説的歌手の後継と期待され“ポスト・セザリア・エヴォラ”と称賛されてきたが、2023年の新作『MULTICOLOR』ではそうした伝統音楽のソダーデ(郷愁)を感じさせるエッセンスを残しつつ、現代的なサウンドへと進化を遂げた最先端のカーボベルデ音楽を聴かせてくれるものに仕上がっている。
スペインのピアニスト、シャビ・トーレス(Xavi Torres)は、パンデミックによるロックダウンの最中、創造性を保つために1ヶ月間、毎日1曲ずつ曲を書いた。“検疫の曲たち”を表す今作『Quarantena Songs』は、それらの30曲の中から14曲(サブスクでは12曲を聴くことができる)を選び、2つのトリオで演奏した作品だ。
フランスのゾレオール(フランス人とクレオール人)のシンガーソングライター/打楽器/ウクレレ奏者、オリアーヌ・ラカイユ(Oriane Lacaille)の初のフルレンス・アルバム『iViV』がリリースされた。レユニオンのマロヤやセガといった伝統音楽をベースに、洗練された独自の創作性で築く音楽と言葉の冒険の世界が広がる。
ケチュア族の伝統を伝えるために国際的な活動を続けてきたボリビアの歌手/作曲家、ルスミラ・カルピオ(Luzmila Carpio)の2023年9月リリースの新譜『Inti Watana (El Retorno del Sol)』。タイトルのインティ・ワタナとはインカ帝国の公用語であったケチュア語で「太陽をつなぎとめる場所」という意味で、マチュピチュ遺跡の最も高い場所に置かれている花崗岩の彫刻で広く知られている。
アルフォンソ・ベケス&シルビア・サルモネ名義での前作『Flores de la Noche』が絶賛された、アルゼンチン音楽の粋の結晶のようなカルテット、フローレス・デ・ラ・ノーチェ(Flores de la Noche)による新作EP『Verde Candil』。打楽器奏者/作曲家/歌手シルビア・サロモネ(Silvia Salomone)、ギタリスト/歌手アルフォンソ・ベケス(Alfonso Bekes)、同じくギタリスト/歌手のルイス・メディナ(Luis Medina)、そしてチェロ奏者/歌手パトリシア・エイン(Patricia Hein)の4人が奏で、歌う極上の南米音楽だ。
活動の空白期間を取り戻すように怒涛の勢いで新作をリリースするイスラエルのベーシスト、ヨセフ・ガトマン・レヴィット(Yosef Gutman Levitt)。2023年の立夏の頃に学生時代の旧友であり世界的ギタリストのリオーネル・ルエケ(Lionel Loueke)とのリユニオン作『Soul Song』をリリースしたが、早くもその続編となるアルバム『Melodies Of Light』がリリースされた。
在イスラエルの4人の音楽家が組んだブラジル音楽集団、クアットリオ(QuatRio)のデビューEP『QuatRio』。たった4曲のミニアルバムながら、中東音楽や現代ジャズのエッセンスを注入した最高に技巧的かつオリジナリティ溢れる音楽性が面白い、充実した作品だ。
ドイツのジャズチャートで4ヶ月連続トップになるなど絶賛されたニルス・ラングレン率いる“4WD”(四輪駆動)プロジェクトの前作『4 Wheel Drive』(2019年)から4年。北欧ジャズの巨人たちによる第二弾『4 Wheel Drive II』がリリースされた。今作ではポール・サイモンやエルトン・ジョンといった往年の名曲を取り上げつつ、オリジナル曲の比重も増やしている。
米国のジャズ・サクソフォン奏者ジョシュア・レッドマン(Joshua Redman)の新作『Where Are We』は、長いキャリアを持つ彼がコロナ禍の中で構想した、初のヴォーカリストをフィーチュアした作品となっている。また、これまではワーナー・ブラザースやノンサッチから作品をリリースしてきた彼にとて初のブルーノート・レコードからのリリースだ。
欧州を代表するプログレバンド Magmaで活躍したドラマー/ピアニスト、シモン・グーベル(Simon Goubert)とセネガルのグリオの系譜のコラ奏者アブライエ・シソコ(Ablaye Cissoko)の二人によるプロジェクトが、これまでも強力なサポートを受けてきたピアニストのソフィア・ドマンシッチ(Sophia Domancich)そしてコントラバス奏者のジャン=フィリップ・ヴェレ(Jean-Philippe Viret)らを正式にメンバーとして迎え、バンド名:アフリカン・ジャズ・ルーツ(African Jazz Roots)として始動。
各地の民族音楽と呼ばれる特徴的な旋律やリズムを音楽の中に取り入れ、独自の音楽性を築いてきたフランスのジャズ・ピアノトリオ、EYM Trio。新作『Bangalore』ではインドの歌手/フルート奏者のヴァリジャシュリー・ヴェヌゴパル(Varijashree Venugopal)を全面的に迎え、彼らの創作の独自の魅力を強力にアピールする好盤となっている。
ジャズやネオソウル、さらにはブラジル・ミナス音楽などを独自の感性でミックスし表現する他に類を見ない米国LAの唯一無二のユニット、ノウワー(Knower)の2023年新譜『Knower Forever』。複雑な楽曲を超絶技巧で演奏しつつ、力の抜け具合もどこか絶妙で、聴けば聴くほどルイス・コール(Louis Cole)とジェネヴィーヴ・アルタディ(Genevieve Artadi)の二人の天才の術中にハマっていく。
フランスの若き天才ギタリスト、ティボー・ガルシア(Thibaut Garcia)の新譜『El Bohemio』は、南米パラグアイの作曲家/ギタリストのアグスティン・バリオス=マンゴレ(Agustín Barrios Mangoré, 1885 - 1944)曲集。「大聖堂」「森に夢みる」「最後のトレモロ」「フリア・フロリダ」といったバリオスの名曲を、まるでギターが歌うかのような繊細で豊かな表現力で聴かせてくれるアルバムだ。