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2025

  • 2025-04-30
  • 2025-04-30

マグレブ音楽と欧州文化を繋ぐアレフ・クインテット、異文化の“対話”から生まれる新しいジャズ

ベルギー・ブリュッセルを拠点に活動する多国籍ジャズバンド、アレフ・クインテット(Aleph Quintet)の第2作目『Hiwar』。アルバム名はアラビア語で「対話」を意味し、ジャズと北アフリカ音楽の“対話”を通じて異なる文化的視点や音楽的感性を結びつけようとする彼らの姿勢を強く反映した作品となっている。

  • 2025-04-29
  • 2025-04-29

躍動するアフロ・カリビアン・バッハ!! ヨアキム・ホースレイ「Via Havana」トリロジー最終章

西洋クラシックの作曲家の名曲をアフロ・カリビアン音楽で再解釈するプロジェクトが人気の米国のピアニスト/作編曲家ヨアキム・ホースレイ(Joachim Horsley)が最新作『Afro Bach』をリリースした。その名のとおり、“音楽の父”ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685 - 1750)の名曲を独創的にカヴァーしており、そのアイディアに驚き(そしてたくさんの楽しさ)を提供してくれるアルバムとなっている。

  • 2025-04-27
  • 2025-04-27

壮大な自然にインスパイアされた、心が洗われるシネマティック室内ジャズ。Vega Trails 新譜

Portico Quartetのベース奏者/作曲家ミロ・フィッツパトリック(Milo Fitzpatrick)率いるヴェガ・トレイルズ(Vega Trails)が、絶賛された前作『Tremors in the Static』から3年ぶりとなる待望の2ndアルバム『Sierra Tracks』をリリースした。木管奏者ジョーダン・スマート(Jordan Smart)とのデュオ編成だった前作から楽器のパレットを大きく拡げ、ピアノやドラムス、室内楽オーケストラを加えた編成で幻想的で美しい音楽を繰り広げる傑作となっている。

  • 2025-04-26
  • 2025-04-26

スーパーベーシスト、モヒニ・デイ最新作!強烈な印象を残すプログレッシヴ・ジャズロック

米国ロサンゼルス出身、現在はインドに移住したサックス奏者/作曲家マーク・ハートサッチ(Mark Hartsuch)と、彼の妻でありインド出身の世界的なベース・ヒロインであるモヒニ・デイ(Mohini Dey)、そしてモヒニと長年音楽活動を共にしてきたインド出身のドラマー、ジーノ・バンクス(Gino Banks)によるプログレッシヴ・ジャズロック・トリオ、マモジ(MaMoGi)が新作『MaMoGi II』をリリースした。トリオのデビュー作『Mamogi』(2023年)から2年、今作でも強固でパワフルで超絶的なバンドサウンドを聴かせてくれる好盤となっている。

  • 2025-04-25
  • 2025-04-25

アンゴラ・センバの伝道師パウロ・フローレス。愛と苦難、希望と文化を美しく歌う集大成的新譜

アンゴラのセンバの巨匠、パウロ・フローレス(Paulo Flores)が新作『CANÇÕES QUE FIZ PRA QUEM ME AMA』をリリースした。今作はアンゴラを象徴する音楽家として37年のキャリアを誇る彼の集大成的な作品で、祝祭的なエネルギーに満ち、ポジティヴな印象を受ける仕上がりだ。

  • 2025-04-23
  • 2025-04-23

複雑で豊かな人生の起伏を抒情的に描写する、ギター奏者トメル・コーエンの2nd『Story of a Traveler』

イスラエル出身のギタリスト/作曲家、トメル・コーエン(Tomer Cohen)の2ndアルバム『Story of a Traveler』がリリースされた。深く哲学的・抒情的な感性でニューヨーク・ジャズ界で賞賛された前作から2年、今作ではメンバーを一新しピアノにイスラエル・ジャズの第一人者であるシャイ・マエストロ、そしてベースとドラムスにはベルギー出身の2人を迎え、ジャズ、中東音楽、フォーク・ミュージックなどの影響を感じさせる素晴らしい演奏を聴かせてくれる。

  • 2025-04-22
  • 2025-04-23

幼少期からの“中世への憧れ”を具現化。ロシア出身鍵盤奏者エレーナ・エケモフによる荘厳な新譜

ロシア出身の女性ピアニスト/作曲家、エレーナ・エケモフ(Yelena Eckemoff)が、彼女の長いキャリアでも異色といえる荘厳な作品『Scenes from the Dark Ages』をリリースした。アルバムは彼女が幼少期の頃から憧れを抱いていたヨーロッパの中世をテーマにしており、ジャズ、プログレッシヴ・ロック、バロック音楽などが融合する独自の世界観を描いた105分間の長大な音楽絵巻となっている。

  • 2025-04-20
  • 2025-04-20

ブラジル音楽への深い敬意が込められた名手たちの最高のギタートリオ。名曲に吹き込む新たな視点

ブラジルに生まれ、現在はオランダで活動するベーシストのマテウス・ニコライエフスキー(Matheus Nicolaiewsky)が、イスラエル出身米国在住、南米音楽に造詣の深いギタリストのヨタム・シルバースタイン(Yotam Silberstein)と、ブラジルのドラマーキコ・フレイタス(Kiko Freitas)とのトリオでデビューアルバム『Volume I』をリリースした。

  • 2025-04-19
  • 2025-04-12

繊細かつ知的な創造性に満ちたギタリスト、タル・ヤハロムの初リーダー作『 Mirror Image』

創造的でアグレッシヴな2013年結成のジャズ/プログレバンド、カダワ(Kadawa)のギタリストであり、優れた作曲家であるタル・ヤハロム(Tal Yahalom)が自身初のリーダー作『Mirror Image』をリリースした。バンドはクインテット編成だが、各メンバーの楽器の持ち替えや、曲ごとに多ジャンルに渡る音楽性によって非常に多様な音楽を楽しめる作品となっている。

  • 2025-04-18
  • 2025-04-18

現代社会の混沌をサウンドに詰め込んだ注目の男女デュオ、Obradovic-Tixier Duo『Jiggled Juggler』

クロアチア出身の女性ドラマー/作曲家ラダ・オブラドヴィッチ(Lada Obradovic)とフランス出身の男性ピアニスト/作曲家ダヴィッド・ティクシエ(David Tixier)によるデュオ、オブラドヴィッチ=ティクシエ・デュオ(Obradovic-Tixier Duo)の3枚目のフルレンス・アルバム『Jiggled Juggler』が素晴らしい。彼らの音楽は、ますます複雑になる現代社会がかろうじて保っている秩序と、過剰なリベラリズムとバターナリズムによってもたらされる分断と混沌による秩序の破壊という危機が交錯する時代の空気を見事に捉えている。

  • 2025-04-13
  • 2025-04-13

創造性がつくる即興のキャンバス。ヤロン・ヘルマンが描く美しい音の冒険

イスラエル出身、フランスで活躍するピアニスト/作曲家のヤロン・ヘルマン(Yaron Herman) が、新譜『Radio Paradice』をリリースした。アスリートから転向し16歳からピアノと音楽を始め、ジャズの世界で唯一無二の活躍を続け、“創造力とは生まれ持った才能ではなく、学ぶことで誰もが得られるスキルである”という持論を広く世界に発信し多くの共感を得る彼の音楽には、今作でもポジティヴな未来志向の感覚が満ちている。

  • 2025-04-12
  • 2025-04-12

音楽的不綺語を体現するアルゼンチンの19歳女性トリオ・TRÍADA。デビューEPで見せた原石の輝き

アルゼンチンの19歳の女性3人によるアコースティック・ポップ/ボサノヴァのトリオ、トリアーダ(TRÍADA)が話題となっている。いずれもカヴァー曲で構成されたデビューEP『De Versiones y Alma』は6曲収録・計14分と短いものの、その選曲のセンスの良さ、ヴォーカルとコーラス、ガットギターとパーカッションを中心とした穏やかで程よい緩さが心地よく、多くのリスナーをこの若いトリオの世界観に惹き込むだろう。

  • 2025-04-09
  • 2025-04-06

それは子守唄か、それとも鎮魂歌か… 北欧のトランペッター、マティアス・アイク新譜『Lullaby』

ジャズの名門・ECMレーベルより、トランペット奏者マティアス・アイク(Mathias Eick)の新作『Lullaby』がリリースされた。メンバーはカルテット編成で、ピアノのクリスチャン・ランダル(Kristjan Randalu)、ベースのオーレ・モルテン・ヴォーガン(Ole Morten Vågan)、そしてドラムスのハンス・フルベクモ(Hans Hulbækmo)で、エストニア出身のクリスチャン・ランダル以外は全員がノルウェー人という構成。アルバムは全体的にメランコリックで、深く沈むような美しさがあるが、同時に温かな情熱を秘めている。