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2025

  • 2025-04-09
  • 2025-04-06

それは子守唄か、それとも鎮魂歌か… 北欧のトランペッター、マティアス・アイク新譜『Lullaby』

ジャズの名門・ECMレーベルより、トランペット奏者マティアス・アイク(Mathias Eick)の新作『Lullaby』がリリースされた。メンバーはカルテット編成で、ピアノのクリスチャン・ランダル(Kristjan Randalu)、ベースのオーレ・モルテン・ヴォーガン(Ole Morten Vågan)、そしてドラムスのハンス・フルベクモ(Hans Hulbækmo)で、エストニア出身のクリスチャン・ランダル以外は全員がノルウェー人という構成。アルバムは全体的にメランコリックで、深く沈むような美しさがあるが、同時に温かな情熱を秘めている。

  • 2025-04-08
  • 2025-04-06

アラブ社会と西洋音楽の架け橋を担うウードの巨匠アヌアル・ブラヒム、ガザの悲劇に寄り添う新作

チュニジア出身のウード奏者/作曲家アヌアル・ブラヒム(Anouar Brahem)の新譜『After the Last Sky』がリリースされた。ECMの傑作のひとつと称賛された前作『Blue Maqams』以来、実に8年ぶりとなる新作で、彼にとって初めての試みとなるチェロを加えた最大4人の編成でアラブ音楽やジャズ、クラシックを自然に融合させた美しい室内楽を聴かせてくれる作品となっている。

  • 2025-04-06
  • 2025-04-06

カタルーニャを代表する歌手とギタリストによる“シンプルで、最高に贅沢な”アルバム

カタルーニャを代表するシンガー、ジュディット・ネッデルマン(Judit Neddermann)と、これまでも彼女の作品にプロデュースや演奏で関わってきたギタリストのパウ・フィゲレス(Pau Figueres)による初の相当名義のアルバム『Judit Neddermann & Pau Figueres』。おそらくは現在のカタルーニャの音楽シーンにおいて感性、テクニックともにもっとも優れた音楽家の二人による、“シンプルで、最高に贅沢な”作品だ。

  • 2025-04-05
  • 2025-04-05

サイケロック、フレーヴォ、マラカトゥが交叉するフライラ・フェホ新譜『過激な愛情』

ブラジル北東部レシーフェ出身のSSW、フライラ・フェホ(Flaira Ferro)の新作『Afeto Radical』。当サイトが2023年のベスト・アルバムに挙げたクララ・コエーリョ(Clara Coelho)とのデュオでたおやかな感性が発揮された『Áua』と比較すると、より彼女の音楽的なルーツであるレシーフェに根付く豊かな音楽文化が反映された作品となっている。

  • 2025-04-04
  • 2025-04-04

ペルナンブーコの詩人イゴール・ヂ・カルヴァーリョ新譜、“自己非発見”を巡る哲学的サイケロック

ブラジル・ペルナンブーコ出身のSSW、イゴール・ヂ・カルヴァーリョ(Igor de Carvalho)の3枚目のスタジオアルバム『O Melhor Lugar da Praia』。アルバムはグスタヴォ・ルイス(Gustavo Ruiz)がプロデュースし、その姉であるトゥリッパ・ルイス(Tulipa Ruiz)や、カエターノ・ヴェローゾの息子モレーノ・ヴェローゾ(Moreno Veloso)、歌手ナ・オゼッチ(Ná Ozzetti)、鍵盤奏者ベンジャミン・タウブキン(Benjamim Taubkin)らブラジルを代表する幅広い世代の音楽家たちが参加。エレクトロニックも駆使しながらトロピカリアの系譜から繋がる現代感覚のサイケロック/ロマンティック・ポップを展開する。

  • 2025-04-02
  • 2025-04-15

ピアノとファゴットで想い巡らす200年の冬の旅路。クリスチャン・ランダルが贈るシューベルト再解釈

エストニア出身のジャズピアニスト、クリスチャン・ランダル(Kristjan Randalu)と、同じくエストニアのファゴット(バスーン)の名手マーティン・クウスクマン(Martin Kuuskmann)によるデュオ作品『Schubert Voyage』。今作はオーストリアの作曲家フランツ・シューベルト(Franz Schubert, 1797 - 1828)が晩年に作曲した『冬の旅』の再解釈で、シューマンの『詩人の恋』を再解釈したクリスチャン・ランダルの前作『Dichterliebe』に引き続き、彼のクラシック音楽への深い愛情に満ちた作品となっている。

  • 2025-03-30
  • 2025-04-09

ラテンジャズを愛するスイス出身若手女性ピアニスト、マノン・ミュレナーが描くそれぞれの人生の物語

スイス出身、ニューヨークで活動するジャズピアニスト/作曲家マノン・ミュレナー(Manon Mullener)が、世界中で出会った人々の人生の物語にインスパイアされ制作した新譜『Stories』が素晴らしい。キューバ音楽に影響を受け、現代NYで演じられるヨーロピアン・ジャズといった独特の趣のある作品で、多様なアイディアの発現からこの若手音楽家の才能が確信できる秀でた作品となっている。

  • 2025-03-29
  • 2025-04-26

音楽を再定義する可能性を秘めた壮大な芸術的実験。ポーランドの鬼才レシェック・モジジェル新譜

ポーランドのピアニスト、レシェック・モジジェル(Leszek Możdżer)は新作『Beamo』で、彼の前作『Passacaglia』(2024年)で試みた調性に対する実験をさらに大胆な形で更新している。彼はそれぞれ調律の異なる3台のピアノを用い、調性を放棄するのではなく、調性を拡張する形で音楽そのものを美しく再構築する。

  • 2025-03-28
  • 2025-03-28

その信念は現代ジャズをさらに進化させる。スウェーデンの革新派クインテット、Hederosgruppen

2020年にアルバム『Storstrejk』でデビューして以来、スウェーデンのジャズシーンで注目を集める5人組、ヘドロスグルッペン(Hederosgruppen)の3枚目のアルバム『Stilbrott』がリリースされた。彼らのスタイルはジャズの伝統に則りつつも独自の創造性や芸術性を追求するもので、ジャケットに描かれた“V字ジャンプの先駆者”であるスキージャンプ選手ヤン・ボークレブ(Jan Boklöv)が象徴するような自由と革新性を賛美している。

  • 2025-03-27
  • 2025-03-26

ギターとチェロ、魔法のように美しい。キケ・シネシ&アストリッド・モトゥーラ『La Magia』

アルゼンチンを代表するギタリストのキケ・シネシ(Quique Sinesi)が、同国のチェリストのアストリッド・モトゥーラ(Astrid Motura)とのデュオで新譜『La Magia』を発表した。収録の7曲はすべてキケ・シネシの作曲で、純粋で淀みのない、彼らしい澄み切った美しい音楽をたっぷりと堪能できる作品となっている。

  • 2025-03-23
  • 2025-03-23

アメリカの燻銀アンサンブル Conjunto Berretin、タンゴの深淵を覗かせる新譜『La Mariposa』

アメリカ合衆国オレゴン州ポートランドを拠点に20年以上活動するタンゴ・アンサンブル、コンフント・ベレティン(Conjunto Berretin)の2025年新譜『La Mariposa』は、伝統的なアルゼンチン・タンゴを軸に、ジャズやクラシックの音楽的な要素が絶妙にブレンドされたなんとも魅力的な作品だ。

  • 2025-03-22
  • 2025-03-22

バルセロナの“今”を体現する女性6人組バンド Maruja Limón、虚飾に満ちた世界へ突きつける新作

スペイン・バルセロナの女性6人組バンド、マルハ・リモン(Maruja Limón)の新作『Te Como la Cara』。今作は2024年の3月と10月にリリースされた2枚のEP『Te como la cara (A)』『Te como la cara (B)』を統合した完全版という位置付けで、ルンバ・カタルーニャやフラメンコを基調としながらヒップホップやキンキ1文化を取り入れた所謂“バルセロナ・ミクスチャー2”の系譜に連なるアルバムとなっている。

  • 2025-03-21
  • 2025-03-21

知性派現代ジャズの最前線ピアノトリオ。太陽の恵みをテーマとしたフィリップ・レム最新作

オランダ出身のドラマー/作曲家フィリップ・レム(Philippe Lemm)の4枚目となるスタジオ・アルバム『Echo The Sun』。今作ではトリオにインド出身ピアニストのシャーリク・ハサン(Sharik Hasan)を新たに迎え、太陽の恵みによる光と温かさ、回復力をテーマとした音楽的探求を特徴とした素晴らしい現代ジャズを展開する。

  • 2025-03-20
  • 2025-03-20

サンパウロ南部のDJ文化に導かれた人気ミクスチャーバンド、Sandália de Prata 7年振りの新譜

20年以上のキャリアをもつサンパウロのバンド、サンダリア・ヂ・プラタ(Sandália de Prata)の約7年ぶりの新作『Uli Costa e Sandália de Prata』は、ブラジリアン・ファンクのエネルギーが充満した、聴いていて無条件に楽しくなってしまう最高の音楽だ。収録の8曲にはサンバ、ヒップホップ、アフロビート、ジャズ、ファンク、ソウル、ダブといった多様な音楽要素が織り交ぜられ、丁寧にアレンジされたブラスや打楽器隊の賑やかなサウンドが彩り、非常にブラジルらしく個性的な仕上がり。