エレクトロニック
- 2026-07-14
- 2026-07-15
ウルグアイの超絶ベーシスト、フランシスコ・ファトルーソ 強烈SFファンクな新譜『Galaxy 4133』
ウルグアイの作曲家/ベーシスト/プロデューサー、フランシスコ・ファトルーソ(Francisco Fattoruso)の新譜『Galaxy 4133』は、目の覚めるようなシンセ・ファンクが強烈な傑作だ。ウルグアイの伝統的なカンドンベの影響を受けたリズムに、マーカス・ミラー(Marcus Miller)を想起させる力強いスラップが縦横無尽に飛び交う。サウンドの軸にあるのはモーグ・シンセサイザー。アルバム・タイトルや収録曲名からも分かるように、近未来SF的な風情が漂う──確かにコンセプト自体は若干安直な印象も拭えないが、そうと分かっていても、この音楽はかっこいい。
- 2026-07-05
- 2026-07-06
パレスチナ系ヨルダン人シンガー、Zeyne が描く「帰還」の物語。現代アラビアン・ポップの傑作『AWDA』
「AWDA(عودة)」とは、アラビア語で「帰還」を意味する。だが、パレスチナ系ヨルダン人シンガー、ゼイン(Zeyne)のデビュー・アルバム『AWDA』が描く「帰還」は、単に故郷へ戻ることだけではない。自分自身を見失った先で、もう一度「本来の私」を取り戻すこと──その精神的な旅路こそが、この作品の核となっている。
- 2026-06-16
- 2026-06-16
異才トロンボーン奏者ロビンソン・クーリー、ジャズ/アラブ/電子音楽を跨ぐ独創的新譜『Transara』
ジャズを基盤に、自身のルーツであるアラブ音楽とエレクトロニカを融合させたシネマティックな音風景が素晴らしい。フランスのトロンボーン奏者/作曲家ロビンソン・クーリー(Robinson Khoury)の新作『Transara』は、前作『MŸA』(2024年)での確かな手応えをより深掘りし発展させたものだ。メンバーも前作に参加していたアニッサ・ネアリ(Anissa Nehari)のパーカッション/ヴォイスと、レオ・ジャセフ(Léo Jassef)のキーボード/シンセ/ヴォイスとのトリオ編成から変更なく、“MŸA”トリオの成熟を思わせる。
- 2026-06-04
- 2026-06-03
チュニジア民族音楽メズウェドを電化! 鬼才 Ammar 808 が放つ衝撃作『Club Tounsi』
北アフリカ・チュニジア出身、現在はデンマークを拠点とするプロデューサー、アマール808(Ammar 808)の最新作『Club Tounsi』(2025年)が面白い。彼はこれまでに北アフリカやインドをテーマにアルバムを制作してきたが、今作は故郷であるチュニジアのメズウェド(Mezwed, Mezoued)という伝統音楽および同名のバグパイプに似た伝統楽器にフォーカス。アラビックな響きのメズウェドや打楽器を大胆に電子サウンドに組み込み、独特の訛りをもった個性的なエレクトロ・ミュージックを作り上げている。
- 2026-05-05
- 2026-05-04
世界の伝統文化をジャズとエレクトロニックで表現するエンツォ・ファヴァータ『Paucartambo』
強烈な印象を残すジャケット写真は、ペルー南部クスコ地方の町パウカルタンボで毎年7月中旬に行われるビルヘン・デル・カルメンの祭り(Fiesta de la Virgen del Carmen)の様子だ。カトリックの聖母崇敬とアンデス先住民の信仰が混交したこの祝祭では、鮮やかな衣装や仮面を纏った人々が舞い踊りながら祈り、音楽や行列、花火がまるで“生きた劇場”のように町全体を埋め尽くすという。
- 2026-04-13
- 2026-04-12
早くも大ブレイク! トロピカルポップの新たなヒロイン・ルイーザ、サウダージ満載の初アルバム
2025年初頭にEP『Fantastik』で注目を集め、その後(6)「Soleil Bleu」のバイラルヒットなどで更なる注目を集めたフランスのシンガーソングライター、ルイーザ(LUIZA)の待望の初フルレンス・アルバム『Luiza』がリリースされた。幼少期からブラジル音楽やフレンチポップ、ワールドミュージック、レゲエといった文化に囲まれて育った彼女のハイブリッドなポップセンスが凝縮された内容で、“トロピカル・ポップの新たなヒロイン”を強く印象づけるものとなっている。
- 2026-04-11
- 2026-04-11
新たな“同志”を得て原点回帰した Soviet Suprem、ダンスフロアから起こす革命
「冷戦でソ連が勝った世界線」を夢想するフランスのデュオ・ユニット、ソヴィエ・シュプレム(Soviet Suprem)の4thアルバム『Rouge』がリリースされた。前作『Made in China』は現代の社会主義大国・中国を中心にアジアをテーマとしたが、今作では原点であるソヴィエト的世界観に立ち返り、鮮烈なルージュ=赤(もちろんそれは共産主義の象徴的な色だ)をジャケットに掲げ、ブラックユーモアで社会を皮肉る。
- 2026-03-10
- 2026-04-14
シャイ・マエストロ新境地。ペルシャの詩人ルーミーに触発された新譜『The Guesthouse』
現代ジャズを代表するピアニスト/作曲家のシャイ・マエストロ(Shai Maestro)の新作『The Guesthouse』は、時空すらも操っているのではないかと思わせるほど優れた傑作だ。彼の音楽は世界のユートピアを描くと同時に、ディストピアも体現する。その場の感情を、彼らがその長い人生のなかで培ってきた技術で即興的に表出する音楽である「ジャズ」を、ここまでアーティスティックに昇華した作品はほかになかなか見られない。個人的にシャイ・マエストロは2016年の名盤『The Stone Skipper』が頂点だと感じていたが、今作はそれを遥かに超えてきた。
- 2026-02-19
- 2026-02-18
究極的“理系”Jazzユニット「サンゲイザー」が魅せる近未来SFジャズ『Against the Fall of Night』
米国のベーシスト/作曲家/プロデューサー/YouTuberのアダム・ニーリー(Adam Neely)と、ドラム奏者ショーン・クラウダー(Shawn Crowder)によるユニット、サンゲイザー(Sungazer)の2枚目となるアルバム『Against the Fall of Night』は、メトリック・モジュレーションや変拍子の多用といった数学的なアプローチで構築された楽曲群が魅力的な作品だ。
- 2026-02-18
- 2026-02-18
多様な要素を取り入れ、洗練されたブラジルの新世代ジャズをリードするTb奏者ジョアべ・ヘイス新作
ブラジルのトロンボーン奏者/作曲家ジョアべ・ヘイス(Joabe Reis)の新譜『DRIVE SLOW - A ÚLTIMA DAS FANTASIAS』は、ジャズを基調にファンクやヒップホップ、UKガラージ、エレクトロニックなどの要素を取り込んだハイブリッドなサウンドが鋭くも心地良い、要注目の作品だ。高度な作曲や演奏の技術、それを洗練されたサウンドに仕立て上げるプロダクションが完璧に噛み合い、最高に魅力的なアルバムだ。
- 2026-02-17
- 2026-02-17
ロンドンのオルタナ・ジャズシーンの新鋭モモコ・ギル 初のソロアルバム『Momoko』
米国オックスフォードで生まれ、京都や横浜、そして米国サンタバーバラで育ち、現在はロンドンを拠点とする音楽家モモコ・ギル(Momoko Gill, ギル桃子)のソロデビュー・アルバム『Momoko』が2026年2月にリリースされた。多文化環境で豊かな感性を育み、長年UKのエレクトロニック/ジャズシーンの“秘密兵器”と囁かれた彼女のデビュー作は、実験音楽やエレクトロ・ミュージックだけでなく、多様なシーンから影響を受けたシンガーソングライターとしての充実ぶりが垣間見える劇的な作品となっている。
- 2026-02-11
- 2026-02-10
マヨルカ島の伝統を現代のポピュラー音楽シーンに統合する、稀代のSSWジュリア・コロム『Paradís』
スペイン・マヨルカ島出身、伝統的なフォーク音楽をポップスやエレクトロニックと融合させ独自のスタイルを築くシンガーソングライターのジュリア・コロム(Júlia Colom)。高く評価された2023年のデビュー作『Miramar』につづく2ndアルバムとして、2025年末に『Paradís』がリリースされた。
- 2025-12-25
- 2025-12-25
オーガニック・エレクトロニカの魅力を凝縮。Hajna & Mina Shankha デビューEP『Fluyen Colores』
過去リリースされた「Muocalé」が著名なコンピレーション・アルバム『Buddha-Bar』に収録されたり、「Aspetterò」がジョルジオ・アルマーニのCMに起用されたりと静かに注目を浴びるフランスを拠点とする男女デュオ、ハジュナ&ミナ・シャンカ(Hajna & Mina Shankha)のデビューEP『Fluyen Colores』がリリースされた。オーガニック・エレクトロニカを基調とした魅力的なサウンドで、瞑想的なリスニング体験を生み出す優れた作品だ。
- 2025-12-18
- 2025-12-18
百年の時を超えるレトロモダンな王道エレクトロ・スウィング。Tape Five新作『Fizzy Far Niente』
ドイツ出身の作曲家/音楽プロデューサー、マーティン・スタートハウゼン(Martin Strathausen)を中心とするプロジェクト、テイプ・ファイヴ(Tape Five) の2025年新譜『Fizzy Far Niente』。まさにエレクトロ・スウィングの王道を行く、100年の時を超えるレトロモダンなサウンドは今もなお、かっこいい。
