四半世紀の時を経て最強カルテット再結成!ジャズの歴史と行末を探るジョシュア・レッドマン新譜

Joshua Redman - RoundAgain

ジョシュア・レッドマンの最強カルテット、四半世紀ぶり新譜『RoundAgain』

ジョシュア・レッドマン(Joshua Redman, ts, ss)、ブラッド・メルドー(Brad Mehldau, p)、クリスチャン・マクブライド(Christian McBride, b)そしてブライアン・ブレイド(Brian Blade, ds)という伝説級メンバーによる新録『RoundAgain』が名門レーベル、ノンサッチ・レコードよりリリースされた。
このカルテットでのアルバムは1994年の『Mood Swing』以来、実に26年ぶり。今となってはそれぞれがジャズの歴史をずっと背負ってきたかのように思える巨匠たちだが、1994年当時といえば皆20代中盤の若者で、それぞれがそれぞれの個性でその名を世界に轟かせ始めていた頃だ。このカルテットは90年代半ばに約1年半レギュラーバンドとして活動を行ったが、その後は4人それぞれが別々の道で梯子を登り、共通して言えることは伝統を根差しながらも常に新しい音楽を模索し提示し続け、結果としてジャズというフィールドの頂点に達してきた。

そんな4人が四半世紀の時を経てついに再会した。
頭髪こそなくなったが、その代わりに彼らがどれだけ多くのものを得てきたか。質量保存の法則に従えば、失った頭髪の量と、得た音楽の経験値でその総量に差はないはずである [要出典]

(4)「Right Back Round Again」のライヴ演奏。

大音量で聴きたい、紛うことなき最高のジャズ

前作は全てサックスのジョシュア・レッドマンの作曲だったが、今作は7曲中3曲をジョシュア、2曲をピアノのブラッド・メルドー、残り1曲ずつをベースのクリスチャン・マクブライドとドラムスのブライアン・ブレイドが持ち寄っている。アルバムの名義が4人全員の名前になっているように、これは前作のような“ジョシュア・レッドマン・カルテット”の音楽ではもはやない。それぞれの感性、技術、経験が高度にリアルタイムに組み合わされた紛うことなき正真正銘、現代最高峰のジャズ・ミュージックとして結晶したものだ。

不穏なクロマチック・フレーズのピアノで始まる(1)「Undertow」。ジョシュア・レッドマンの思索的なテナーが心地良く、深みのある低音にはゾクゾクくるものがある。

素朴なメロディーが美しい(3)「Silly Little Love Song」。

(4)「Right Back Round Again」は再会の喜び、ともに演奏する喜びが伝わってくるようだ。

陽気でブルージー(反対語!?)、エネルギッシュな(5)「Floppy Diss」はベースのクリスチャン・マクブライド作曲。彼の性格が前面に出ている。続くメルドー作曲の(6)「Father」は一転してインテリな曲調。この流れも面白い。

静かに、熱い想いに浸るように締め括られるブライアン・ブレイド作曲のラスト(7)「Your Part To Play」も素晴らしい。タイトルはジャズの長い発展の歴史の中に確かな功績を残してきた彼らが、次の若い世代にその想いを伝えていきたいという意思の表れだろうか…。

出会い、25年の間の時代の変化(特に音楽を聴く環境について)、演奏中のお互いのインスピレーションなどについて語らい合う4人のおじさんたち。

最後に、本作は極めて音が良く、音楽を聴く喜びを存分に味わうことができる作品だと付け加えておきたい。この音の洪水に溺れているだけで幸せになれそうだ。

Joshua Redman – tenor saxophone, soprano saxophone
Brad Mehldau – piano
Christian McBride – bass
Brian Blade – drums

Joshua Redman - RoundAgain
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