スコットランドの新星ピアニスト、Fergus McCreadie 待望の2ndアルバム
2018年に自主制作盤『Turas』で彗星のように現れたピアニスト/作曲家、ファーガス・マクリーディー(Fergus McCreadie)の待望のセカンド・アルバム『Cairn』(2021年)。
北欧ジャズの透明感、確かなテクニック、そして何よりも彼の故郷スコットランドの伝統音楽へのリスペクトが感じ取れる、ありそうでなかったスタイルが強く印象に残る。
編成は一般的なピアノトリオで、メンバーも前作と同じくベースにデヴィッド・ボーデン(David Bowden)、ドラムスにスティーヴン・ヘンダーソン(Stephen Henderson)という布陣は3者がぴったりと寄り添うような鉄壁のアンサンブル。(1)「North」はECMのような静謐な曲だが、真骨頂は明るい音色で幸福感のあるメロディーとアドリブを奏でる(2)「Cairn」だろう。
スコットランドの伝統音楽を感じたいなら、素朴な旋律が郷愁を誘う(8)「An Old Friend」やダンス音楽“ジグ”にインスパイアされた(5)「Jig」が面白い。
ファーガス・マクリーディーの作品はギミックは一切用いず、オーソドックスなピアノトリオのアコースティックな音のみで勝負する。しかしそこには古さはなく、確かな現代ジャズの息吹が感じられる。
数々の輝かしい功績を残してきた若きピアニスト
ファーガス・マクリーディー(Fergus McCreadie)は1997年スコットランド生まれ。幼少期からピアノの才能を示し、12歳の頃にはすでにピアニストの道を決めていたという。15歳で「U17s Young Scottish Jazz Musician award」を受賞。翌年も受賞し、同賞創立以来初の2連覇の偉業を成し遂げた。
デビュー作となった『Turas』(1998年)は自主制作盤ながら話題を呼び、「議会ジャズ賞(Parliamentary Jazz Awards)」でジャズアルバム・オブ・ジ・イヤーに輝いた。
もっとも影響を受けたピアニストはキース・ジャレットとのこと。
Fergus McCreadie – piano
David Bowden – double bass
Stephen Henderson – drums