ピアソラの遺伝子を受け継ぐジャズ・タンゴ楽団、Escalandrum
アルゼンチン・タンゴとジャズの融合で人気のグループ、エスカランドラム(Escalandrum)の『100』は同バンドのリーダーでありドラム奏者のダニエル“ピピ”ピアソラ(Daniel “Pipi” Piazzolla)の祖父アストル・ピアソラ(Astor Piazzolla, 1921 – 1992)の生誕100年を記念したトリビュート・アルバム。
バンドはサックス3本、ピアノ、ベース、ドラムスというセクステット編成。バンドネオンが居ないためアルゼンチン・タンゴらしさは薄れるものの、アストル・ピアソラが遺した11の楽曲をジャズの視点で捉え演奏している。
収録曲はいずれもEscalandrumがこれまでに録音をしていないピアソラの楽曲となっており、代表曲である(1)「Primavera Porteña」や(10)「Adiós Nonino」の新解釈を聴くことができる。3本のサックスによるアンサンブル、特にソプラノの音色はバンドネオンの模倣にも聴こえジャズとしては新鮮。
収録曲の中にはアストル・ピアソラが1970年代半ばに演奏したバンドネオンの未発表音源を用いた(6)「Introducción Inédita de Bandoneón por Astor」もあり、やはりその表現力の豊かさには耳を惹くものがある。
南米やヨーロッパで人気のEscalandrum
Escalandrumは1999年に結成され、これまでに14枚のアルバムをリリースし、40ヵ国以上で公演を行なった人気バンド。特に2011年の『Piazzolla Plays Piazzolla』は同年のベストジャズ・アルバム賞などアルゼンチンの主要な賞のいくつかを獲得し話題となった。リーダーのピピ・ピアソラはメキシコ生まれの日本のドラマー/歌手/女優、シシド・カフカの最初の師としても知られている。
Escalandrum :
Damián Fogiel – tenor saxophone
Nicolás Guerschberg – piano
Gustavo Musso – alto saxophone, soprano saxophone
Martín Pantyrer – baritone saxophone, bass clarinet
Daniel Piazzolla – drums
Mariano Sivori – contrabass