WDR Big Bandでも活躍するピアニスト、Billy Test がピアノトリオで
ビリー・テスト(Billy Test)というピアニストの名前は、まだほとんど知られていないかもしれない。米国ペンシルベニア州出身で、演奏家/作編曲家と音楽教育者、そしてドイツの名門ビッグバンド、WDR Big Bandのピアニストとしても活動している。
そんな彼をリーダーとするピアノトリオ編成のデビューアルバム『Coming Down Roses』がリリースされたが、これがなかなか素晴らしい内容だった。コール・ポーター作曲のスタンダード(1)「All of You」で幕を開けるが、その後はジョン・コーツ作の(7)「The Prince」を除き全曲がビリー・テストのオリジナル。クラシックで培われた確かなテクニックに、ハードバップ、ブルースもありながらヨーロッパ的な叙情性も同居。何よりも聴いていて爽快で楽しくなるピアニストだ。
優美なバラード(2)「Spinning」、急激に変化する世の中とそれへの適応をドラマチックに描く(3)「Fate」、一転して激情を発散するかのようなアップテンポの(4)「Hardly」など、アルバム前半から惹き込まれる。
悲しげな(5)「Empty Spaces」は10年前に亡くなったビリーの父親に向けて書かれた曲で、ここではピアノの独奏で心の内側に向けて祈るような演奏が捧げられている。
ビリー・テストとともに完璧な三位一体を見せるのはベースのエヴァン・グレゴール(Evan Gregor)とドラムスのイアン・フローマン(Ian Froman)で、ともに北米出身。
今後彼らがどんな音楽を聴かせてくれるか、楽しみだ。
Billy Test – piano
Evan Gregor – bass
Ian Froman – drums