イタリアのギター四重奏団、ギタリアン・カルテットが描き出す詩情豊かな中南米音楽集

Guitalian Quartet - Latin Landscapes: Choro, Tango & More

イタリアのギター・カルテットによる中南米音楽集

イタリアを代表するクラシックギター四重奏団、ギタリアン・カルテット(Guitalian Quartet)が、中南米の音楽をテーマにした新作『Latin Landscapes』をリリース。エルネスト・ナザレー、ピシンギーニャ、アルトゥロ・マルケスといった作曲家たちの代表曲を、独創的なアレンジで演奏しており、中南米音楽やクラシック・ギターのファンにはぜひ聴いてもらいたい作品となっている。

アルバムの前半4曲はブラジルのショーロをテーマとしている。

もっとも有名なショーロの楽曲のひとつであるゼキーニャ・ジ・アブレウ(Zequinha de Abreu, 1880 – 1935)作曲の(1)「Tico-Tico no fubá」は彼らのユニークな演奏の真髄が発揮されている。騒がしい小鳥たちを表現するような様々な奏法が随所に散りばめられ、楽曲自体も独自のアレンジが加えられており楽しいアンサンブルに。調性は目まぐるしく変わり、感情に休む暇を与えない。

ショーロの宴はつづく。
(2)「Brejeiro」もまたショーロを代表する作曲家、エルネスト・ナザレー(Ernesto Nazareth, 1863 – 1934)、(3)「Doce de Coco」は伝説的バンドリン奏者ジャコー・ド・バンドリン(Jacob do Bandolim, 1918 – 1969)、そして(4)「Um a zero」は“ブラジル音楽の父”ピシンギーニャ(Pixinguinha, 1897 – 1973)の作曲。いずれもショーロを代表する曲たちで、万人が楽しめる演奏と言えるだろう。

(4)「Um a zero」

5曲目からは少し雰囲気が変わり、ラテン諸国の音楽が取り上げられている。
(5)「Danzón No. 2」はメキシコの作曲家アルトゥーロ・マルケス(Arturo Márquez, 1950 – )の楽曲で、北米や欧州でよく演奏される人気曲。(6)「El choclo」はアルゼンチン・タンゴの創始者のひとり、アンヘル・ビジョルド(Ángel Villoldo, 1861 – 1919)の代表曲。(7)「La puñalada」はウルグアイの作曲家ピンティン・カステジャノス(Pintin Castellanos, 1905 – 1983)、そして(8)「Gallo ciego」はアルゼンチンの作曲家アグスティン・バルディ(Agustin Bardi, 1884 – 1941)のタンゴ。

(9)「Alfonsina y el mar」(アルフォンシーナと海)はアリエル・ラミレス(Ariel Ramírez, 1921 – 2010)による組曲「Mujeres Argentinas」(アルゼンチンの女たち)の中の1曲で、実在の女性詩人アルフォンシーナ・ストルニ(Alfonsina Storni, 1892- 1938)の死にまつわる悲劇を描いた南米音楽を代表する楽曲だ。

(10)〜(16)「Brésils」はジャズやブラジル音楽に傾倒していたチュニジア出身/フランスで学んだギタリスト/作曲家ローラン・ディアンス(Roland Dyens, 1955 – 2016)による組曲で、美しく印象的なショーロ(11)「Choro legal」、バトゥカーダを模した(13)「Batucadinha」、ボサノヴァの創始者ジョアン・ジルベルトを称えた(15)「O spirito do Joao」(ジョアンの精神)といった豊潤なブラジル音楽のエッセンスを感じることができる。

ギタリアン・カルテットはそれぞれがコンクールで受賞歴のあるソリストたちによって2016年に結成され、世界各地で演奏活動を行ってきた。これまでにイタリアの現代音楽をアレンジ/演奏した『Contemporary Italian Music for Guitar Quartet』(2013年)をリリースしている。

Guitalian Quartet :
Guido Fichtner – guitar
Claudio Marcotulli – guitar
Stefano Palamidessi – guitar
Adriano Walter Rullo – guitar

Guitalian Quartet - Latin Landscapes: Choro, Tango & More
Follow Música Terra