ハンガリーのアシッドな現代ジャズバンド、New Fossils が表現する混沌と調和の生態圏

New Fossils - Ecosphere

ブダペストのバンド、New Fossils による新譜『Ecosphere』

ハンガリー・ブダペストを拠点とするバンド、ニュー・フォスルズ(New Fossils)がこれまで最も音楽的に飛躍した新譜『Ecosphere』をリリースした。洗練された現代ジャズの響きだけでなく、今作ではファンクやプログレッシヴ・ロックの要素が強まり、サウンドもサックスを軸としながら、シンセサイザーの多用によってよりスピリチュアル、サイケデリックなベクトルへと向かっている。

アルバムのタイトル「Ecosphere」は“生態圏”。バンドはハンガリーの自然豊かなマートラ山脈に籠もって本作の制作を進め、それがアルバムのテーマである「自然のバランスと生命力」に大きな影響を与えたという。サウンドはどことなくレトロな雰囲気が漂い、70年代のジャズの、あの少しアナーキーで抽象的なものに知性を見出す感覚と似ている。バンドのリーダーであるドラマー、ダーニエル・フェレンツ・サボー(Dániel Ferenc Szabó)やサックス奏者ダーニエル・ヴァルガ(Dániel Varga)ら、5人のメンバーの個々のスキルも非常に高く、優れたソロも聴くことができるが、ここでは個が目立つようなことはなく、あくまでも全体のサウンドや精神性の統一感が重視されたアンサンブルがとても心地よい。

(2)「BILLIE」のライヴ演奏

New Fossils は様々なセッションで経験を積んだドラマーのダーニエル・フェレンツ・サボーと、ベーシストのマルツェル・ジャーニ(Marcell Gyányi)が、より即興性を重視した音楽を演奏するために地元ジャズ界のベテランであるサックス奏者ダーニエル・ヴァルガ、ギターのイシュトヴァーン・トート(István Tóth)を加えて結成した。のちにピアノとシンセサイザーのサウンドを必要とした彼らは鍵盤奏者のダミヤーン・オツォヴァイ(Damján Ocsovay)をメンバーに加え、現在の形となった。

2023年にアルバム『New Fossils』でデビュー。2024年の『II』を経て、今作はバンドの3枚目の作品となる。

(6)「LATO」のライヴ演奏

New Fossils :
Dániel Ferenc Szabó – drums
Marcell Gyányi – double bass, electric bass
Dániel Varga – saxophone
István Tóth – guitar
Damján Ocsovay – piano, synthesizer

Guests :
Emma Nagy – vocal
Áron Horváth – cimbalom
Noémi Szabó-Takács – vocal
András Weil – percussions

New Fossils - Ecosphere
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