田方 春樹(Haruki Tambo)
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田方 春樹(Haruki Tambo)web master / writer

世界中の面白い音楽を探求する音楽ライター。ブラジル音楽、イスラエルジャズ、フラメンコギターあたりが最近の興味の中心。休日の趣味はガットギター演奏。レッサーパンダが大好き。執筆実績:『月刊ラティーナ』『ミュージック・マガジン』等

  • 2025-12-29
  • 2025-12-27

ヒップホップ×インド古典音楽×ジャズの衝撃!“カモフラージュこそが芸術の真髄だ”

フランスの鍵盤奏者アレクサンドル・エレール(Alexandre Herer)による 『Bombay Experience』は、ジャズ、インド古典音楽、そしてヒップホップが高度に融合した稀有なアルバム。インドのヒップホップ・シーンを一変させたラッパーマンミート・カウル(Manmeet Kaur)と、ムリダンガム/コナッコルの名手B.C. マンジュナート(B.C. Manjunath)という二人のインド出身ミュージシャンが参加し、驚くほど緻密なリズムとグルーヴで斬新な音楽を聴かせてくれる。

  • 2025-12-28
  • 2025-12-28

故郷を想うCaracas Trio、現代ジャズにアフロ・ベネズエラの伝統を織り込む新譜『Folklore』

全員がベネズエラの首都カラカス出身だからカラカス・トリオ(Caracas Trio)という安直なネーミングや、あまり売る気のなさそうなジャケットはさておき、『Folklore』は確かなクオリティのアルバムだ。このトリオではデビュー作だが、3人はいずれもニューヨークの現代ジャズシーンを彩る手練れで、洗練された現代ジャズに、タイトルに掲げるようにベネズエラの多様な伝統を織り交ぜている。

  • 2025-12-26
  • 2025-12-26

コロンビアとフランスの男女混成7人組、Pulciperla 衝撃的なミクスチャーで魅せる1st『Tatekieto』

コロンビアのボゴタを拠点とするパワフルな女性3人組ラ・ペルラ(La Perla)と、フランスのトゥールーズを拠点とするファンキーなジャズロック・カルテットのプルシネルラ(Pulcinella)がコロンビアで出会い、混成した7人組プルシペルラ(Pulciperla)のデビュー作『Tatekieto』が衝撃的な楽しさだ。ジャズ、ラテン、レゲエ、ロマ音楽、ヒップホップ、エレクトロニックなどなど様々な音楽要素がごちゃ混ぜになり彼らの世界観を作る。それはまるで極彩色のパーティーのように、終わりがなく、ずっとずっと気持ちいい音が続く。個人的には2000年代のバルセロナ・ミクスチャーの活況に満ちたシーンを彷彿させるサウンドに心が躍った!

  • 2025-12-25
  • 2025-12-25

オーガニック・エレクトロニカの魅力を凝縮。Hajna & Mina Shankha デビューEP『Fluyen Colores』

過去リリースされた「Muocalé」が著名なコンピレーション・アルバム『Buddha-Bar』に収録されたり、「Aspetterò」がジョルジオ・アルマーニのCMに起用されたりと静かに注目を浴びるフランスを拠点とする男女デュオ、ハジュナ&ミナ・シャンカ(Hajna & Mina Shankha)のデビューEP『Fluyen Colores』がリリースされた。オーガニック・エレクトロニカを基調とした魅力的なサウンドで、瞑想的なリスニング体験を生み出す優れた作品だ。

  • 2025-12-23
  • 2025-12-22

フィンランドの鬼才イーロ・ランタラ、原点に立ち返った初のスタンダード曲集『Trinity』

これまでに数々のユニークな作品をリリースし、そのユーモアと群を抜く抒情的かつ技巧的なピアニズムで世界中を魅了してきたフィンランドを代表するピアニスト、イーロ・ランタラ(Iiro Rantala)の新作 『Trinity』は、意外なことに彼自身初の“スタンダード曲集”だった。

  • 2025-12-21
  • 2025-12-21

歌うヨガ実践者Manizeh、静かに心を浄化させる素晴らしいデビューアルバム。ガナーヴィヤ参加

パキスタンに生まれ、ヨーロッパやアメリカに住んだあとロンドンでヨガインストラクターとして活動するマニーゼ(Manizeh)のデビューアルバム『Mahku』が素晴らしい。共同プロデューサー/ゲストシンガーとして、オバマ元大統領が「2025年のお気に入り」にも挙げたガナーヴィヤ(Ganavya)が全面的に参加。マニーゼ自身が弾くハルモニウムと歌を中心に、ハープやダブルベース、ピアノなどの楽器で優しく彩られた楽曲群は深く感動的で、ヨガの実践者であり指導者である彼女の哲学と精神を余すところなく反映している。聴けば聴くほどその世界に没入し、心が浄化される感覚にさせられる──。

  • 2025-12-20
  • 2025-12-19

シンド人のアイデンティティを探究するホリスティックな現代ジャズ傑作『ڪڏهن ملنداسين』

インド出身のドラマー/作曲家、タルン・バラーニ(Tarun Balani)の2025年新譜『ڪڏهن ملنداسين Kadahin Milandaasin』は、彼の祖父がシンド1からニューデリーへ移住した旅を辿りながら、シンド人としてのルーツとアイデンティティを探究している。カルテットのメンバーにはキューバにルーツを持つトランペット奏者アダム・オファーリル(Adam O’Farrill)、フィンランド出身のギタリストのオーリ・ヒルヴォネン(Olli Hirvonen)、そしてピアノにはインド出身のシャーリク・ハサン(Sharik Hasan)を擁し、多文化が混交した思索的な演奏を聴かせてくれる。

  • 2025-12-19
  • 2025-12-19

ユダヤ伝統をグローバルと接続する。ピアニストのヨタム・イシャイ新作『Singing of The Herbs』

イスラエル出身のピアニスト/作曲家ヨタム・イシャイ(Yotam Ishay)が、8ヶ国から23人のミュージシャンを招き、伝統的なユダヤ音楽をベースに、ジャズを通じて世界との対話を試みた新作『Singing of The Herbs』。ピアノを中心とし、ヴォーカルやスポークン・ワード、ストリングスなども交えたバラエティに富んだ楽曲が収録されており、どこか神秘的で厳かな雰囲気を漂わせる美しい作品だ。

  • 2025-12-18
  • 2025-12-18

百年の時を超えるレトロモダンな王道エレクトロ・スウィング。Tape Five新作『Fizzy Far Niente』

ドイツ出身の作曲家/音楽プロデューサー、マーティン・スタートハウゼン(Martin Strathausen)を中心とするプロジェクト、テイプ・ファイヴ(Tape Five) の2025年新譜『Fizzy Far Niente』。まさにエレクトロ・スウィングの王道を行く、100年の時を超えるレトロモダンなサウンドは今もなお、かっこいい。

  • 2025-12-16
  • 2025-12-18

多彩な技巧で魅せるフランス出身のギター奏者ミカエル・ヴァレアヌ、”旅”をテーマにした新作

フランス出身、米国NYを拠点に活動するジャズギタリスト、ミカエル・ヴァレアヌ(Michael Valeanu)のトリオによる新譜『Road Songs』。“旅”をテーマに、タイムレスな名曲をメインに演奏する親しみやすいアルバムだ。旅路を共にするトリオのメンバーはチリ出身のドラマー、ロドリゴ・レッカバレン(Rodrigo Recabarren)と、米国のベース奏者ジュリアン・スミス(Julian Smith)。

  • 2025-12-14
  • 2025-12-14

現代アナトリアン・サイケロックを牽引するクルド系SSWメラル・ポラトが魂で歌う“抑圧からの解放”

クルドをルーツにもつオランダのシンガーソングライター、メラル・ポラト(Meral Polat)の2025年作 『Meydan』は、彼女のルーツであるアナトリアとメソポタミアの音楽や、イスラム教の少数派であるアレヴィー派の文化的背景を基調に、トルコのサイケデリック・ロックやクルドのソウル、プロテスト・ブルース、ワールド・フュージョンを融合させた強烈な音楽体験を約束するアルバムだ。

  • 2025-12-12
  • 2025-12-12

クリスチャン・エスクーデの”最後のピアニスト”アントワン・エルヴィエによる至高のトリビュート

フランスのジャズピアニスト、アントワン・エルヴィエ(Antoine Hervier)の2025年新作『Navigue loin - Looking at Christian Escoudé』は、彼がそのバンドの最後のピアニストとして在籍していた、2024年に他界したフランスを代表するジプシージャズ・ギタリストであるクリスチャン・エスクーデ(Christian Escoudé, 1947 - 2024)のトリビュート・アルバムだ。アルバムにはエスクーデが遺した10曲(11トラック)が選ばれており、ピアノトリオを中心に、数曲でゲストを加えて魅惑のジプシー・ジャズの世界へと誘う好盤となっている。

  • 2025-12-10
  • 2025-12-09

北欧ジャズの象徴ブッゲ・ヴェッセルトフト、世代を超えた特別な才能たちを招いた新作『Am Are』

ノルウェーの先進的なジャズを牽引するピアニスト/作曲家ブッゲ・ヴェッセルトフト(Bugge Wesseltoft)が、個性豊かなゲストを迎えて制作した2025年新譜『Am Are』。アルバムではソロからトリオまでメンバーを変えて様々な編成やサウンドを試すなど実験的な要素がありつつ、ジャズの伝統にもしっかりと根差し、聴きやすくも刺激的な作品だ。

  • 2025-12-08
  • 2025-12-07

スコットランドの正統派ジャズシンガー、ルイーズ・ドッズが全曲オリジナルで贈る新譜

スコットランド出身のシンガー/作曲家ルイーズ・ドッズ(Louise Dodds)の新作『All I Know』。アヴィシャイ・コーエン・トリオに参加したことで世界的に知られるアゼルバイジャン出身ピアニストのエルチン・シリノフ(Elchin Shirinov)とのデュオで発表した前作『Two Hours After Midnight』はスコットランドの美しい歌曲集だったが、今作は全曲を彼女のオリジナルでまとめ上げ、ジャズ・ヴォーカリストとしてオリジナリティを追求した作品となっている。