- 2024-03-17
- 2024-03-15
オーストリアの若手名手ステファン・フランク・シュタインハウザー、個性的な選曲のソロギター作品
1991年オーストリア生まれのギタリスト/作曲家ステファン・フランク・シュタインハウザー(Stefan-Frank Steinhauser)の2021年作『Wödscheibn』は、卓越した美しいクラシックギター演奏と、14ヵ国の作曲家たちによるユニークな選曲で秀でた作品だ。
1991年オーストリア生まれのギタリスト/作曲家ステファン・フランク・シュタインハウザー(Stefan-Frank Steinhauser)の2021年作『Wödscheibn』は、卓越した美しいクラシックギター演奏と、14ヵ国の作曲家たちによるユニークな選曲で秀でた作品だ。
イタリア・ナポリの鍵盤奏者/作曲家/プロデューサー、ダリオ・バッソリーノ(Dario Bassolino)のソロデビュー作『Città Futura』は、ニコラ・コンテにも通ずる爽やかなグルーヴを持ったジャズファンクが特徴的だ。地中海からアラビアへ、そして大西洋を越えて遥かブラジルまで吹き抜ける風。過去から現在の様々な時代を繋ぎながら、架空の“Città Futura = 未来都市”へと想像を膨らませる。
ブラジル出身、デンマーク在住の男性SSWハファエル・ジメネス(Raphael Gimenes)の2024年新譜『DINAMARCA』は、ここ数年でもっとも美しい音楽作品のひとつだ。2016年作『As Montanhas de Som』や2021年作『A Tongue Full of Suns』などリリースの度にファンを驚かせ楽しませてきた彼が、またしても10年に一度の最高のアルバムを作り上げた。
アルゼンチン出身のソプラノ歌手マリアナ・フローレス(Mariana Flores)が、同じくアルゼンチンのマルチ奏者キト・ガト(Quito Gato)との共同プロジェクトでアルゼンチン音楽集『Alfonsina: Canciones Argentinas』をリリースした。(1)「Alfonsina y el Mar」や(10)「Dorotea, la Cautiva」などの名曲をシンプルかつ豊かな伴奏と美しいヴォーカルで聴かせる好盤だ。
前作『Reclusive Rituals』でグナワやジャズ、ヒップホップの高度な融合を見せたイスラエルのゲンブリ奏者シャイ・ハザン(Shay Hazan)が新作『Wusul』をリリースした。アルバムタイトルはアラビア語表記で「وصول」、"到着"を意味する。中米から日本までの広範囲にわたる旅の中で接した異文化から大きなインスピレーションを得ており、アルバムには東京世田谷・下北沢をテーマにした(7)「Shimo Kitazawa」をはじめとした豊かな楽曲群が収録されている。
アフリカン・レゲエのレジェンド、コートジボワール出身のSSWティケン・ジャー・ファコリー(Tiken Jah Fakoly)が自身のこれまでの代表曲をアコースティック編成で再解釈した新作『Acoustic』をリリースした。
モロッコ系イスラエル人SSWのJ. ラモッタ すずめが、7枚目となるアルバム『Asulin』(ヘブライ語表記:אסולין)をリリースした。2022年作『So I’ve heard』以来積極的に母国語の歌をリリースする彼女だが、今作も全編ヘブライ語でサウンド面でも中東音楽の影響が強くなっている。
また、とんでもないアーティストが現れた。インド系移民2世として米国で生まれ育ったシンガーソングライター、シェへラザード(Sheherazaad)。近年大ブレイクしたパキスタン出身のSSWアルージ・アフタブ(Arooj Aftab)がプロデュースしたデビュー作『Qasr』は、音楽が従来のジャンルという概念ではなく、その人自身のパーソナルに大きく依存する時代を象徴するような素晴らしい仕上がりだ。
中国出身の琵琶奏者ガオ・ホン(Gao Hong, 漢字表記:高虹)と、アルゼンチン出身のフラメンコギター奏者イグナシオ・ルサルディ・モンテベルデ(Ignacio Lusardi Monteverde)によるユーラシア大陸両端の音楽が融合したような美しいデュオアルバム『Alondra』。ジャズ、フラメンコ、アルゼンチン音楽、中国音楽などに影響されたバラエティ豊かな演奏が楽しめる作品だ。
作曲家/マルチ奏者のセス・アップルバウム(Seth Applebaum)率いるNYの9人組サイケ・ソウルバンド、ゴースト・ファンク・オーケストラ(Ghost Funk Orchestra)の2024年新譜『A Trip To the Moon』。よりエキゾチックに、よりサイケデリックに、よりディープに進化したバンドが“月への旅”へと誘う。
ブラジルのトロンボーン奏者/作曲家、ジョアベ・ヘイス(Joabe Reis)の新譜『028』がリリースされた。MPB、ヒップホップ、ファンク、トリップホップなど様々な要素を消化吸収した現代的なジャズが楽しめる作品で、心地よく繰り返されるグルーヴは極上のチルアウト・ミュージックとして紹介しても間違いないだろう。
ブラジルのピアニスト/作曲家アマロ・フレイタス(Amaro Freitas)の新作『Y'Y』は、彼らの文化の根源のひとつであるブラジル北部のアマゾンや先住民族への深い敬意に満ちた表現が印象的だ。アルバムの前半はピアノ(そして声やパーカッション)を通して自己の内面と自然(nature)を繋ぎ対話する内省的な試みであり、後半ではブラジル国外の素晴らしいゲストも迎え、アフロ・ブレジレイロとしての表現を世界に広く解放し共有する。
2000年代以降、“エレクトロスウィング”のムーヴメントを牽引してきたフランスのバンド、キャラヴァン・パレス(Caravan Palace)待望の新譜だ。2019年の前作『Chronologic』から5年の時を経てリリースされた『Gangbusters Melody Club』は、所謂王道のエレクトロスウィングと、前作で提示して見せたそれに留まらない彼らの新機軸が融合。丁寧に作り込まれたサウンドで新旧のファンに訴求する仕上がりとなっている。
ジャズやR&B、レゲエなどを吸収した新たな表現を試みるキューバ新世代SSW、ダイメ・アロセナ(Daymé Arocena)が新譜『Alkemi』をリリースした。祖国に失望し、現在はプエルトリコに住む彼女の芸術家としての覚悟すら見える圧倒的なパワーを感じさせる作品だ。