- 2023-12-31
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Música Terra が選ぶ 2023年ベストアルバムTOP10【lessthanpanda編】
特に順位は関係なく、2023年にもっとも感銘を受けたアルバムを10枚に絞って紹介します。ほんとは10枚に絞り切ることが難しいくらい、今年もたくさんの素晴らしい音楽に出会えました。
特に順位は関係なく、2023年にもっとも感銘を受けたアルバムを10枚に絞って紹介します。ほんとは10枚に絞り切ることが難しいくらい、今年もたくさんの素晴らしい音楽に出会えました。
ブラジル・ミナスの3人の男性シンガーソングライター、ナナン(Nãnan)、ルイスガ(Luizga)そして グスタヴィート(Gustavito)が共演した2023年作『O Destino do Clã』。3人の美しいハーモニー、ナイロン弦ギターとゆったりとグルーヴを生むベース、空間を演出するパーカッションによる極上のアンサンブル。
スペイン・バルセロナのシンガーソングライター/歌手アルバ・カルモナ(Alba Carmona)。伝統的なフラメンコ歌手としての教育を受け、人気歌手シルビア・ペレス・クルス(Sílvia Pérez Cruz)が初期のキャリアを築いたヴォーカル・グループであるラス・ミガス(Las Migas)にシルビア脱退後の2011年に加入し2018年まで在籍した彼女のソロとしては2ndアルバムとなる『Cantora』は、フラメンコを基調とした超良質な作品だ。
ギリシャのアコーディオン奏者/作曲家サノス・スタヴリディス(Thanos Stavridis)と、同じくギリシャ出身のチェロ奏者ステラ・テンプレリ(Stella Tempreli)による初のデュオ・アルバム『Ciel』には素敵な音が詰まっていた。
ニューヨーク・ブルックリンを拠点とする新進気鋭のギタリスト、マックス・ライト(Max Light)の新作EP『Bramble』。ピアノにエヴァン・メイン(Evan Main)、ベースにデンマーク出身のマティアス・ホイゴール・ジェンセン(Mathias Højgaard Jensen)、そしてドラムスにスティーヴン・クラマー(Steven Crammer)という若く柔軟な感性を持ったメンバーを迎えたカルテットで、伝統と革新が両立する優れたジャズを展開している。
ブラジル・ポルトアレグレ出身、現在はニューヨークのブルックリンを拠点に活動するジャズ・ギタリスト、マルシオ・フィロメナ(Marcio Philomena)の初のフルレンス・アルバム『Trails』。コンテンポラリー・ジャズ、ブラジル音楽、ロックなどの軽やかなブレンドである今作で、彼はリラックスと緊張が絶妙に共存する絶品のインストゥルメンタル音楽を提供している。
ロシアのサックス奏者/作編曲家アンドレイ・クラシルニコフ(Andrew Krasilnikov)が、2008年のデビュー作『Serpentine』以来15年ぶりとなる2ndアルバム『Bloody Belly Comb Jelly』をリリースした。サックス、ピアノ、ベース、ドラムスのカルテットを核とし、ラージ・アンサンブルの表現を効果的に取り入れた優れた作品だ。
デンマークのピアノ奏者カーステン・ダール(Carsten Dahl)と、ノルウェーのベース奏者オーレ・モルテン・ヴォーガン(Ole Morten Vågan)、そしてラトビア出身のドラムス奏者イヴァルス・アルトゥニアン(Ivars Arutyunyan)。北欧の名手3人による『Prism』は、ジャズらしいスウィング感も、欧州らしい抒情性も兼ね備えた見事なアルバムだ。
エジプトにルーツを持つギリシャ生まれのハープ奏者、マリア=クリスティーナ・ハーパー(Maria-Christina Harper)が、イギリスのサックス奏者ジョセフィン・デイヴィス(Josephine Davies)と、ニュージーランド生まれでロンドンで活躍するドラマー、エヴァン・ジェンキンス(Evan Jenkins)とのトリオ「ハーパー・トリオ(Harper Trio)」で野心的なデビュー作『Passing By』をリリース。
南アフリカのギタリスト、ンコシ・ゾンド(Nkosi Zondo)のソロデビュー作『Bophelo Batho Pele』は、どこまでも素直で寛大で、愛の塊のような音楽だ。1986年に南アフリカ最大のタウンシップであるヨハネスブルグ市ソウェトの貧しい家庭に生まれた彼は2006年にファンダ・コミュニティ・カレッジ(Funda Community College)を卒業後、長い間、セッション・ミュージシャンとしてそれほど目立たずに活動してきた。
アルゼンチン・ブエノスアイレスを拠点とするネオソウル・バンド、NAFTAの2ndアルバム『NAFTA II』が良い。ファンクを基調とした重いグルーヴに男女ヴォーカル、ジャジーな鍵盤や木管、サウンドを随所で彩る見事なアレンジのストリングス。スペイン語で歌われることを除けば所謂“南米らしさ”はほとんどないが、世界を見渡してもこれほど良質なソウル系のバンドはなかなかいない。
米国を代表するトランペッター、アンブローズ・アキンムシーレ(Ambrose Akinmusire)は新作『Owl Song』で彼が敬愛する二人のミュージシャンを招いた。ギタリストのビル・フリゼール(Bill Frisell)とドラマーのハーレン・ライリー(Herlin Riley)だ。アンブローズとは20も30も歳の離れたベテランとのセッションは、マイルス・デイヴィスと同じように“少ないほど良い(less is more)”という信念をもつ彼の音楽観を体現している。
ブラジル・ミナス出身のルイスガ(LuizGa)と、ポルトガルのエドガル・ヴァレンテ(Edgar Valente)によるデュオ作品『AIÊ』。アルバムのタイトルはヨルバ語で“生きている世界”の意味で、異なる地域における共通のルーツや精神的なつながり、共鳴の可能性の探究をコンセプトに掲げている。特に彼らが生きる世界であるルゾフォニア(ポルトガル語文化圏)における、人々の幾代にもおよぶ生活史に想いを馳せる音楽が展開される。
バルセロナの女性二人組ユニット、アラル(ARAR)のデビュー作『Arar』は、ガットギターとサックスを中心とした温かみのあるサウンドに、二人によるコーラスが優しく溶け込むとても穏やかで素敵な作品だ。グループ名でありアルバム・タイトルでもあるararとは、カタルーニャ語で“耕す”、つまり種を蒔くために大地を掘り返し、豊かな作物が実る土壌をつくることを意味する。