AUTHOR

田方 春樹(Haruki Tambo)

  • 2025-01-13
  • 2025-01-13

仏気鋭ピアニスト、バティスト・バイイ 欧州と地中海沿岸を旅する新譜『La Fascinante』

フランスの気鋭ピアニスト/作曲家バティスト・バイイ(Baptiste Bailly)の新譜『La Fascinante』は、欧州や地中海周辺の伝統的な音楽の影響を幅広く織り交ぜた、繊細で詩的な素晴らしい音楽作品だ。非常に映像的、物語的な印象を受けるアルバムで、楽曲の多様性は地中海周辺を巡る旅路のようにも感じられる。

  • 2025-01-12
  • 2025-01-10

シアトルの気鋭ピアニスト、ビル・アンシェルのユニークな個性と創造性『Improbable Solutions』

米国シアトルのジャズ・ピアニスト/作曲家、ビル・アンシェル(Bill Anschell)の2024年作『Improbable Solutions』。自分にとって名前も演奏も初めて聴くピアニストで、とても瑞々しく若い感性が作曲やサウンドの随所に感じられたので若手かなと思っていたが、なんと1959年生まれの還暦過ぎのベテランだった。

  • 2025-01-11
  • 2025-01-11

消化不良上等な究極的プログレ&カオス! ガムラン×サイケロックの衝撃、ペニ・チャンドラ・リニ新譜

インドネシアのシンガー・ソングライター、ペニ・チャンドラ・リニ(Peni Candra Rini)の新譜『Wani』は、おそらく多くの人にとって今まで聴いたどんな音楽よりも新鮮なリスニング体験をもたらしてくれるだろう。ギターやベース、ドラムスといった軸となる楽器編成は間違いなく西洋のロックに影響を受けているが、西洋音楽の理論では説明が不可能なガムランの音階、伸縮自在のリズムが一見カオスなようでいて、聴けば聴くほど神秘的な美しさを秘めた宝石の原石ような魅惑的な輝きを放つ。

  • 2025-01-09
  • 2025-01-07

デンマークの名手トーマス・フォネスベック、イタリア稀代の音楽家たちと奏でる至極のインタープレイ

デンマーク出身のベーシスト/作曲家トーマス・フォネスベック(Thomas Fonnesbæk)が欧州最高のメンバーを迎え録音した『In Rome』が素晴らしい。北欧ジャズの静かな抒情と、ピアニストのエンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)がもたらす古いイタリア映画のようなセピア色のノスタルジアが織りなす繊細なインタープレイが実に情感豊かな作品だ。

  • 2025-01-07
  • 2025-01-05

現代最高峰のオーセンティック・ジャズ。アリ・ホーニグ・トリオ新作『Tea for three』

米国のドラマー、アリ・ホーニグ(Ari Hoenig)の新譜『Tea for three』。ピアノのガディ・レハヴィ(Gadi Lehavi)、ベースのベン・ティベリオ(Benjamin "Ben" Tiberio)とのトリオ編成は前作『Golden Treasures』(2022年)と同じ面子で、長いキャリアを持つアリにとっても同じメンバーで2枚続けてアルバムをリリースするのは初めてのようだ。

  • 2025-01-05
  • 2024-12-30

イタリアのギター四重奏団、ギタリアン・カルテットが描き出す詩情豊かな中南米音楽集

イタリアを代表するクラシックギター四重奏団、ギタリアン・カルテット(Guitalian Quartet)が、中南米の音楽をテーマにした新作『Latin Landscapes』をリリース。エルネスト・ナザレー、ピシンギーニャ、アルトゥロ・マルケスといった作曲家たちの代表曲を、独創的なアレンジで演奏しており、中南米音楽やクラシック・ギターのファンにはぜひ聴いてもらいたい作品となっている。

  • 2025-01-04
  • 2025-01-04

トーゴ発の衝撃的アフロ・サイケ傑作!アラガア・ビートがアフリカ音楽の新時代を開拓する

トーゴ出身で米国ワシントンD.C.に20年間住み、現在はトーゴの首都ロメとワシントンD.C.を行き来するシンガーソングライター/ギタリストのドゴ・デュ・トーゴ(Dogo Du Togo)が率いるバンド、アラガア・ビート・バンド(The Alagaa Beat Band)のデビュー・アルバム『Avoudé』。彼が“アラガア・ビート”と呼ぶサウンドは、トーゴの伝統的なリズムや旋律にロックやファンクの要素が絡み、エネルギーに溢れる独特の創造的な音楽を作り上げている。

  • 2025-01-03
  • 2025-01-02

アルゼンチン・ジャズの女傑ノラ・サルモリア、その創造性の真髄を見るピアノ弾き語り作

アルゼンチンのピアニスト/歌手/作曲家、ノラ・サルモリア(Nora Sarmoria)が自身のピアノ弾き語りを中心としたアルバム『Amniótica』をリリースした。アルゼンチン・ジャズ、あるいはネオ・フォルクローレの粋の結晶のような極上のアルバムで、ノラ・サルモリアの傑出した才能にあらためて感服させられる。

  • 2025-01-02
  • 2025-01-02

フランスのフルート奏者リュディヴィーヌ・イッサンブール、名手たちを迎えたファンク・パーティ

フランスの気鋭フルート奏者、リュディヴィーヌ・イッサンブール(Ludivine Issambourg)が贈る熱いジャズ・ファンク新譜、『Above The Laws』。アルバムのタイトルには史上最高のジャズ・フルート奏者ヒューバート・ロウズへの最大限のリスペクトが込められている。バンドにはエリック・レニーニ、ニルス・ラングレン、シャソールといったヨーロッパを代表する錚々たる面子が名を連ね、一大ファンク・パーティーの様相を呈している。

  • 2025-01-01
  • 2025-01-01

ドイツを代表するトランペッター、マルクス・シュトックハウゼンが描き出す壮大な祝福の抒情詩

ドイツのトランペッター/作曲家、マルクス・シュトックハウゼン(Markus Stockhausen)。彼が自身のカルテットに加え6人のゲスト・ミュージシャンを招いて録音した新譜『Celebration』は、ジャズ、現代音楽、プログレなどを境界なく内包した稀有な作品だ。

  • 2024-12-30
  • 2024-12-23

NYのインド系ヴァイオリン奏者アルン・ラママーシーが表現する、悠久のカルナティック・ジャズ

ヴァイオリン奏者/作曲家のアルン・ラママーシー(Arun Ramamurthy)は米国生まれだが、南インドのベンガルール生まれの祖母アージによってカルナティック音楽を学び、その経験からジャズとカルナティック音楽を自然に融合させた独自の道を探求している。彼の新作『New Moon』は同じくインド系のドラマー/タブラ奏者のサミール・グプタと、世界中のトップ・ミュージシャンと共演歴のあるベーシストのデイモン・バンクスとのトリオ作で、独創的なカルナティック・ジャズが悠久の歴史の新たな交叉点を感じさせる内容となっている。

  • 2024-12-29
  • 2024-12-22

サンバ・ヒップホップの先駆者マルセロD2、“新しいトラディショナル・サンバ”を謳う新作

全編生バンドでのブラジリアン・ヒップホップ作『Direct-to-Disc』を2024年11月にリリースしたばかりのサンバ・ヒップホップの先駆者、マルセロ・デードイス(Marcelo D2)が、早くも新しいプロジェクトからの新譜『Manual Prático Do Novo Samba Tradicional, Vol. 1: DONA PAULETE』をリリースした。“新しい伝統サンバの実践マニュアル”という意味を持つ今回のプロジェクトでは、2025年のカルナヴァルまでに4枚のアルバムをリリースする予定。

  • 2024-12-27
  • 2024-12-29

ジャズ、カリビアン、ソウルなど多彩な”遺産”を音楽の軸とするフランスの素晴らしいバンド、Yusan

韓国語で“遺産”(유산)の意味を持つフランスのバンド、ユサン(Yusan)の2024年新譜『Ba Yo』が素晴らしい。現代ジャズ、ネオソウル、アフロ・カリビアン、ゴスペルなど様々な要素が溶け込んだ技巧的かつ斬新な音楽性で、今作ではさまざまなリズム、声を組み合わせた万華鏡のような音楽観で強いインパクトを与える。