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lessthanpanda

  • 2024-08-09
  • 2024-08-10

生粋の天才サンビスタ、ニルジ・カルヴァーリョ 音楽や人生への限りない愛に満ちた久々の新作

ブラジルの天才音楽家ニルジ・カルヴァーリョ(Nilze Carvalho)。芸歴45年を迎えた彼女が久々の新譜『Nos Combates da Vida』をリリースした。ほとんどの曲でヴォーカルとカヴァキーニョを弾き、生粋のサンビスタとしての強かな生き様を静かに見せてくれる素晴らしい作品に仕上がっている。呼吸をするように楽器を弾き、声だけでなく体中で音楽を表現する。その姿はあまりに自然で、まるで体の中から音楽が溢れ出しているかのように思える。

  • 2024-08-08
  • 2024-08-08

世界を音で繋ぐクラリネット奏者オラン・エトキン、平和への祈りを込めた新譜『Open Arms』

ワールドワイドな活動で知られるイスラエル出身のクラリネット奏者オラン・エトキン(Oran Etkin)の新譜『Open Arms』は、ブラジル、ジンバブエ、カナダ、チェコ共和国、トルコ、そして米国と世界中で現地のミュージシャンたちと録音した意欲的な作品だ。そのタイトルのとおり、分断と相互破壊が進む近年の世界において、あらゆる文化を尊重し受け入れ、つながることに焦点をあてている。

  • 2024-08-06
  • 2024-08-06

ロンドンのベーシスト、ダニエル・カシミールが超豪華オーケストラと共に描き出す現代ジャズ絵巻

イギリス・ロンドンを拠点に活動するベーシスト/作曲家ダニエル・カシミール(Daniel Casimir)が新譜『Balance』をリリースした。絶賛された前作『Boxed In』に引き続きジェイムズ・コパス(James Copus, tr)やヌバイア・ガルシア(Nubya Garcia, sax)らを揃えた絢爛なジャズ・オーケストラを従えつつ、ドラマーはモーゼス・ボイド(Moses Boyd)からジェイミー・マーレイ(Jamie Murray)に交代。人力ドラムンベースを主体とした解像度の高いドラミングで、ロンドンの現代ジャズのかっこよさが全面に押し出された。

  • 2024-08-04
  • 2024-08-03

UKジャジー・ソウル新鋭ブライオニー・ジャーマン=ピント、様々な変化を経て深化した5年ぶり2作目

2019年のデビュー作『Cage And Aviary』が大絶賛された英国のSSW、ブライオニー・ジャーマン=ピント(Bryony Jarman-Pinto)が待望の2ndアルバム『Below Dawn』をリリースした。パンデミックや自身の出産といった出来事を経験し様々な心境の変化を経て、彼女のサウンドや歌はより落ち着きと深みを増し、進化している。

  • 2024-08-03
  • 2024-08-03

バジ・アサド新作はまさかのレニーニ『魚眼』カヴァー!30年の歳月を経て甦る名曲たち

ブラジルのギタリスト/歌手バジ・アサド(Badi Assad)の新譜『Olho de Peixe』は、まさかのあの名盤の再解釈だった。タイトルを見てピンと来る人も多いだろう。オーリョ・ヂ・ペイシ(魚眼)。レシーフェ出身のSSWレニーニ(Lenine, 1959 - )が、斬新なパンデイロ奏法を含む様々な打楽器を操る魔術師のようなマルコス・スザーノ(Marcos Suzano, 1963 - )とともに録音した1993年の同名のアルバム『Olho de Peixe』は、地球の裏側日本のファンにも激烈な衝撃を与えたように、バジ・アサドや今作で共演するオーケストラのディレクターであるカルリーニョス・アントゥネス(Carlinhos Antunes)にとっても音楽家人生を左右するほどの作品だったようだ。

  • 2024-08-01
  • 2024-08-01

ホジェリオ・タヴァレス、優美なチェンバー・ジャズで歌うシコ・ブアルキ作品集

イタリアを代表するジャズ・レーベルであるEGEAより、ブラジル出身でイタリアを拠点に活動するシンガー、ホジェリオ・タヴァレス(Rogerio Tavares)の新譜『Assentamento』がリリースされた。本作はブラジルを代表する音楽家であるシコ・ブアルキ(Chico Buarque, 1944 - )の楽曲のカヴァー集となっており、ブラジルが誇る珠玉のメロディーと、イタリアが誇る室内楽ジャズの幸せな融合だ。

  • 2024-07-30
  • 2024-07-29

リード・リズムギターの妙技に痺れる!コリー・ウォン、メトロポール・オルケストとの共演新譜

リード・リズムギターのトップランナー、コリー・ウォン(Cory Wong)がオランダのオーケストラ、メトロポール・オルケスト(Metropole Orkest)との共同名義の新譜『Starship Syncopation』をリリースした。タイトルどおり、ご機嫌なシンコペーションに溢れた眩しいほどのファンクネスが次々と畳み掛けてくる快演の連続が最高に楽しい作品に仕上がっている。

  • 2024-07-28
  • 2024-07-27

インドネシア伝統音楽を基調に、革新性も探求する現代のガムラン。ペニ・チャンドラ・リニ新譜

インドネシア・ジャワ島の伝統音楽に根差しながら、独自の現代的な感性を持ったシンガーソングライター、ペニ・チャンドラ・リニ(Peni Candra Rini)の新作『Wulansih』。米国の民族音楽博士アンディ・マグロウ(Andy McGraw)やニューヨーク出身のチェロ奏者レスター・セントルイス(Lester St. Louis)らとともに作り上げた、“未来志向の伝統音楽”とも呼ぶべき素晴らしい作品だ。

  • 2024-07-27
  • 2024-07-27

ブラジルとフランスの風が吹く。新世代SSWナンナ・ミラーノ あまりに素晴らしいデビュー作

ブラジル・サンパウロ出身で、サンパウロとフランス・パリの二拠点で活動するシンガーソングライター、ナンナ・ミラーノ(Nanná Millano)の極上のデビューアルバム『Can't Translate Saudade』。ボサノヴァ、ジャズ、MPB、フレンチポップなどがほのかに香る非常に完成度の高いサウンドで、新世代の歌姫の登場を強く印象づける。

  • 2024-07-26
  • 2024-07-24

ブラジルのSSWパウロ・オハナ、耳心地の良いジャジーなインディーロック『Língua na Orelha』

ブラジリア出身で現在はサンパウロを拠点に活動するシンガーソングライター、パウロ・オハナ(Paulo Ohana)の4枚目のアルバム『Língua na Orelha』。2本のギターを中心に、フェルナンド・サガワ(Fernando Sagawa)によるジャジーなサックスがアクセントとなったバンドサウンドに自然体のヴォーカル、爽やかで馴染みやすいメロディーラインが特徴的な親しみやすいアルバムだ。

  • 2024-07-25
  • 2024-07-24

Auster Loo、アフリカ、西洋、中東から日本までをも包む多国籍民族ジャズ

2016年に打楽器奏者シモン・ルルー(Simon Leleux)とフルート奏者リディー・トナール(Lydie Thonnard)の二人でアルバム『Rhythm and Breath』でデビューしたベルギーのデュオ、Auster Loo が多様なバックグラウンドを持つミュージシャンたちを迎えて制作した2ndアルバム 『Collective』をリリースした。アフリカから西洋、東洋まで、無国籍で混ざり合った豊かな音楽が楽しめる優れたワールドミュージック×ジャズの作品だ。

  • 2024-07-23
  • 2024-07-15

世界最高峰ドラマー、マーク・ジュリアナがたった一人で作り上げた独創的な音楽の世界

米国を代表するドラマー、マーク・ジュリアナ(Mark Guiliana)の新作、その名も『MARK』は、彼の独創的な音楽観を堪能できる作品となった。今作で彼はドラムスやパーカッションだけでなくピアノやシンセ、マリンバやヴィブラフォン、エレクトロニックにスポークン・ワードといったあらゆる表現手段をすべて自ら手がけている。