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田方 春樹(Haruki Tambo)

  • 2024-11-10
  • 2024-11-09

カタルーニャの印象派ピアニストが綴る“モンポウへの再訪”

音楽の価値をその売上や再生回数で測ろうとするとき、フェデリコ・モンポウの初期作品『内なる印象』のまるまる全曲をピアノトリオでジャズアップして売り出したいという企画を提案すれば、おそらくそれは即却下となるだろう。極端に内気な性格故にその人生や作品にはほとんど光が当たらず、マニアを除いて語られる機会も少ないこの地味な作曲家が残した地味な曲たちは、今日でも殆ど顧みられることがない。

  • 2024-11-09
  • 2024-11-08

イランのピアニスト、ハムゼ・イェガネ。独創的なペルシアン・ジャズで見せる濃厚な音楽世界

ペルシアン・ジャズの雄、イラン・テヘラン出身のピアニスト/作曲家ハムゼ・イェガネ(Hamzeh Yeganeh)の新譜『Hand in Hand』がリリースされた。基本的にピアノトリオ編成で、エレクトリック・ベースのイディン・サデグザデ(Idin Sadeghzadeh)、ドラムスのアミン・タヘリ(Amin Taheri)とともに奏でるペルシャの伝統音楽を取り入れた独創的なジャズ・フュージョンは、なかなか他では聴けない楽しさがある。

  • 2024-11-08
  • 2024-11-06

祖国の危機に想いを馳せるドラマー、ファビオ・ロハス 緊張感に満ちた圧巻のジャズ『Perseverance』

ベネズエラから米国に移住し、ニューヨークで活動するドラマー・作曲家ファビオ・ロハス(Fabio Rojas)の初リーダー作『Perseverance』。アルバムのタイトルは英語で“忍耐力”だが、彼が好むスペイン語の“el que persevera, vence”(耐え忍ぶ者が勝つ)という諺からインスパイアされたものであり、これは祖国ベネズエラの混迷を極める独裁的な政治への言及と、個人的な葛藤の想いを反映したものとなっている。

  • 2024-11-06
  • 2024-11-06

欧州ジャズ新世代最高のカルテット誕生! チェロ奏者アデル・ヴィレ、創造性を発揮したデビュー作

フランスのチェロ奏者/作曲家アデル・ヴィレ(Adèle Viret)のデビュー・アルバム『Close to the Water』が素晴らしい。チェロ、トランペット、ピアノ、ドラムスというジャズの編成としては珍しいフォーマットで、混ざり合う地中海周辺の世界の“今”を体現するような複雑さと美しさが織り重なる。

  • 2024-11-03
  • 2024-10-31

時代を超越する普遍的な音楽。リアナ・フローレスのメジャーデビュー作『Flower of the soul』

ロンドンのシンガーソングライター、リアナ・フローレス(Liana Flores)のメジャーデビュー作『Flower of the soul』は、万人におすすめしたい傑作だ。イギリスのフォークに60年代のブラジルのボサノヴァとジャズの雰囲気をまぶし、時代を超えた魅惑のベッドルーム・ポップに仕立て上げる。

  • 2024-11-02
  • 2025-02-22

変幻自在のイスラエルジャズ!最高峰ベーシスト、アヴィシャイ・コーエン 独自の感性で魅せる新譜

イスラエル・ジャズを象徴する存在であるベーシスト/作曲家のアヴィシャイ・コーエン(Avishai Cohen)が、近年の活動の集大成ともいえる新譜『Brightlight』をリリースした。レギュラートリオであるロニ・カスピ(Roni Kaspi, ds)とガイ・モスコヴィッチ(Guy Moskovich)との演奏を軸に、ほかにも10名近いミュージシャンを迎え、独創的なコンポージングと豪快なアップライトベース演奏から生み出される彼独自の圧倒的なジャズを展開する。

  • 2024-11-01
  • 2024-10-31

ジューイッシュ・ジャズの象徴ダニエル・ザミール、SSWとしての新章を告げる新譜

ダニエル・ザミール(Daniel Zamir)といえば、イスラエルの現代ジャズシーンを代表するソプラノサックス奏者として世界に広く知られていることに疑念の余地はない。その音楽観は非常に個性的で、彼は2000年代以降一種のムーヴメントとなった所謂“イスラエル・ジャズ”勢の中でも突出してユダヤの伝統に強くインスパイアされた“ジューイッシュ・ジャズ”の音を鳴らし続けてきた。

  • 2024-10-31
  • 2024-10-30

米国随一のトロンボーン奏者ライアン・ケバリー、“カタルシス”名義での5年ぶり新譜

アメリカ合衆国のトロンボーン奏者/作曲家ライアン・ケバリー(Ryan Keberle)が率いるバンド、カタルシス(Catharsis)の新譜『Music is Connection』がリリースされた。メンバーにはチリ出身のギターのカミラ・メサ(Camila Meza)、ペルー出身のホルへ・ローダー(Jorge Roeder)、そして米国出身のドラマー、エリック・ドゥーブ(Eric Doob)を擁し、南米音楽からの影響も濃いコンテンポラリー・ジャズ作品に仕上がっている。

  • 2024-10-29
  • 2024-10-28

澄んだ歌声とスピリチュアルなジャズが魅力。インド系SSWシャラダ・シャシダール新作

米国ロサンゼルスを拠点とするインド系のシンガーソングライター、シャラダ・シャシダール(Sharada Shashidhar)。父親の影響で幼少時からインド古典音楽に触れ、ジャズを学んでいた兄の影響でジャズに傾倒、ニューヨークのニュースクールでジャズ・ヴォーカルを学んだという経歴の彼女の2nd EP『Soft Echoes』がリリースされた。エレクトロニック/ネオソウル色の強かったデビュー作『Rahu』(2020年)と比較すると、今作はよりオーガニックな前面に出し、ソウルフルなヴォーカルが映える作品となっている。

  • 2024-10-27
  • 2024-11-18

南米を代表する音楽家カルロス・アギーレ、新グループで奏でる洗練されたアルゼンチン・ジャズ

アルゼンチンを代表する作曲家/マルチ奏者カルロス・アギーレ(Carlos Aguirre)が、ラテンアメリカのリズムを探求するために2017年に結成したバンド、アルマレグリア(Almalegría)を率いての最初のアルバム『Melodía que va』をリリースした。この素敵な作品を注意深くも大胆にまとめるとしたら、“無限の空間を持つ南米室内楽ジャズの壮大な実験場”といったところだろうか。

  • 2024-10-26
  • 2024-10-26

ブラジル北東部音楽とジャズ・ヴァイオリンの個性的な融合。名手ヒカルド・ヘルス、トリオ新作

ブラジルのヴァイオリン奏者ヒカルド・ヘルス(Ricardo Herz)、ピアニストのファビオ・レアンドロ(Fabio Leandro)、そしてドラマーのペドロ・イトー(Pedro Ito)によるトリオ作『Sonhando o Brasil』は、ブラジル土着のリズムとジャズやクラシックが混ざり合った楽しい音楽を聴くことのできる逸品だ。

  • 2024-10-25
  • 2024-10-25

カメルーンをルーツに持つベルギーの女性コラ奏者/SSWルビアナ、音楽の本質を捉えた傑作新譜

カメルーンとベルギーのハーフであり、世界的に見ても珍しい女性コラ奏者/シンガーソングライターのルビアナ(Lubiana)の新譜『Terre Rouge』が素晴らしい。アルバムのタイトルはフランス語で“赤い大地”を意味する。それは彼女が幼少期から毎年家族とともに訪れた父の故郷アフリカ・カメルーンの真っ赤な土の色の記憶であり、コラの繊細な音に乗せて歌うその声にはアフリカへの強い望郷の想いが滲む。

  • 2024-10-24
  • 2024-10-19

ブラジルとラテンアメリカを結ぶ、懐かしくも新しい音楽紀行。マリ・ジャスカ 1st『Disparada』

シンガーソングライター/ギタリストとして12年のキャリアを持つブラジルのマリ・ジャスカ(Mari Jasca)が、自身初のアルバム『Disparada』をリリースした。ブラジルやラテンアメリカの伝統音楽を参照しながら、現代的なサウンドテクスチャに落とし込んだ注目すべき作品に仕上がっている。